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スミスの倫理 竹本 洋(著) - 名古屋大学出版会
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スミスの倫理 『道徳感情論』を読む

A5判
重さ 468g
262ページ
上製
価格 5,400円+税
ISBN
978-4-8158-0990-4
Cコード
C3012
専門 単行本 倫理(学)
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年6月20日
書店発売日
登録日
2020年4月28日
最終更新日
2020年6月8日
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書評掲載情報

2020-09-12 日本経済新聞  朝刊
評者: 根井雅弘(京都大学教授)

紹介

スミス倫理学の真の射程とは。近代における倫理のメカニズムと意義を明瞭に説き、政治・経済・社会のよき運用を支える心理学的な人間学を打ち立てた、もうひとつの主著のから描き出す。『国富論』とは違った現代への示唆と、経済学にとどまらない社会科学的知への豊かな洞察を浮かび上がらせる。

目次

凡 例

序 章 アダム・スミスの倫理学
1 倫理学の性質
2 スミス倫理学のテーマ
3 『道徳感情論』の陰のタイトル

第1章 共感と共生
1 存在の矛盾と秩序
2 「道徳的存在」の基礎としての感情と自己利益
3 共感の二面的性質――結合と排除
4 共感と支配
5 認知的共感と文学的想像力
6 道徳の世界へ

第2章 倫理における「媒介」の問題
1 公正、公平、情報に精通した「中立的観察者」
2 コミュニケーションの媒体――言語、貨幣、中立的観察者
3 中立的観察者の二重性とその分岐――道徳の一般規則と良心
4 良心の脆弱性
5 交流と信頼、それを媒介するもの
6 媒介者のいない悲劇、媒介者の跳梁する悲劇

第3章 「傍観」と世界の分節化
1 日常としての傍観
2 「世界」の内部と外部――傍観の境界
3 自然的情念と社会的情念
4 マルチチュードとアウトサイダー
5 社会の身分的秩序と秩序からこぼれる人たち
6 国家と統治体制の安定――国家、中間団体、個人
7 人間らしく、男らしく――忍苦、怒り、憎しみ
8 世界の分節化からの脱出

第4章 実践的倫理としての徳
1 生存と正義と善
2 他者の承認と他者からの承認
3 自己承認と倫理的な生
4 敵という名の仲間
5 「称賛に値する徳」の証明不可能性と「卓越しない徳」

第5章 愛と憎悪
1 親和的情念、敵対的情念、利己的情念と情念の中庸
2 愛の階梯――自己愛、家族愛、友情
3 債務としての愛、贈与としての同情
4 祖国愛と「良き国民」の創造
5 隣国民への友情と人類愛
6 敵対的情念の社会性と復讐・開戦の四原則
7 戦争と党派闘争の道徳的意義――「自制心」の修養と「死の恐怖心」の克己
8 愛と憎しみの同時切断

第6章 幸福――真偽の向こうに
1 聖なる幸福
2 死者の幸福、死者の不幸
3 真の幸福、その内実と条件
4 偽の幸福
5 完璧な幸福、その幻影の作用
6 不幸の回避
7 公共善としてのヒエラルキー的秩序
8 繁栄と秩序との危うい均衡

終 章 未来からの倫理
1 意図原則と感情の不規則性
2 リスクと過失
3 倫理の虚構性と虚構の現実性

あとがき

人名索引
事項索引

前書きなど

二〇一九年四月、物理学者シュヴァルツシルトが第一次世界大戦の従軍中に予言したブラックホールの観測にはじめて成功したと、世界で同時に発表された。ブラックホールは生命の誕生とも関係しているといわれるが、門外漢には、ワトソンとクリックによるDNAの二重らせんモデルの発表(一九五三年)が、今日のバイオテクノロジーの隆盛につながる分子生物学革命を告げるものであることが分からなかったように、今回の観測の意味の重大さに後になって気づかされるのかもしれない。シュヴァルツシルトの予言はアインシュタインの一般相対性理論に拠ってなされたのだが、そのアインシュタインについて現在の物理学者は、かれの著作を、ましてやガリレオやニュートンの著作をまったく読まなくとも最先端の物理学を学ぶことはできると述べている。「文学や哲学では原著者や原典を重視するが、自然科学ではそういうことはない」からだという。おそらくそうなのであろう。

では、同じように経済学者も、たとえばアダム・スミスやマーシャルやケインズの著作を読まなくとも経済を研……

[「序章」冒頭より/注は省略]

著者プロフィール

竹本 洋  (タケモト ヒロシ)  (

1997年 関西学院大学経済学部教授
1999年 日本学士院賞受賞
現 在 関西学院大学名誉教授
著 書 『経済学体系の創成――ジェイムズ・ステュアート研究』(名古屋大学
    出版会、1995年)
    『『国富論』を読む――ヴィジョンと現実』(名古屋大学出版会、2005年)
    『重商主義再考』(共編著、日本経済評論社、2002年)
    『回想 小林昇』(共編著、日本経済評論社、2011年)
    ロック『利子・貨幣論』(共訳、東京大学出版会、1978年)
    J.ステュアート『経済の原理』(共訳、名古屋大学出版会、1993・98年)

上記内容は本書刊行時のものです。