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平和構築を支援する 谷口 美代子(著) - 名古屋大学出版会
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平和構築を支援する ミンダナオ紛争と和平への道

A5判
重さ 661g
390ページ
上製
価格 6,300円+税
ISBN
978-4-8158-0985-0
Cコード
C3031
専門 単行本 政治-含む国防軍事
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年3月30日
書店発売日
登録日
2020年2月27日
最終更新日
2020年4月9日
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紹介

リベラル平和構築論を超えて――15万人に及ぶ犠牲者を出し、日本も関わるアジアの代表的地域紛争の和平をいかに実現すべきか。徹底した現地調査により、分離独立紛争とその影に隠れた実態を解明、外部主導の支援の限界を示して、現地社会の視点をふまえた平和構築のあり方を考える。

目次

略語表
地図

プロローグ

序 章 リベラル平和構築論とミンダナオ紛争
1 なぜ「平和構築」が重要なのか
2 先行研究の批判的検討
3 分析概念
4 調査手法と制約
5 主な用語の説明
6 本書の構成

第1章 海域イスラーム社会から米国による国民国家形成へ
はじめに
1 ミンダナオ・スールーの基層社会とイスラーム受容
2 東南アジアのイスラーム化とミンダナオ・スールーにおける受容
3 ミンダナオ・スールー地域でのイスラーム王国の設立と発展
4 米国・日本植民地政府によるフィリピン統治
5 米国植民地政府によるミンダナオ・スールー地域の統治
小括

第2章 フィリピン独立後のミンダナオ統治
――イスラーム系反政府武装勢力の生起と発展
はじめに
1 独立後ミンダナオのムスリム統合政策とその帰結
2 モロ民族解放戦線による分離独立運動と比政府によるミンダナオ統治
3 ムスリム・ミンダナオ自治地域政府の成果と課題
小括

第3章 バンサモロによる平和構築への展開
はじめに
1 モロ・イスラーム解放戦線の設立と展開
2 比政府とモロ・イスラーム解放戦線の和平プロセス
3 ドゥテルテ政権下における新たな平和構築の実践
小括

第4章 複雑化・多様化する紛争・暴力の構造
――ムスリム・クラン間抗争と分離独立紛争の関係性
はじめに
1 「リド」言説
2 クラン間抗争
3 ミンダナオの紛争と暴力の発生状況
4 マギンダナオ虐殺事件はなぜ起こったのか
5 イスラーム系過激主義勢力の台頭による紛争・暴力の複雑化
小括

第5章 下からの平和構築
――マギンダナオ州ダトゥ・パグラス町とウピ町の事例
はじめに
1 調査の方法
2 ダトゥ・パグラスの事例――伝統的首長による平和構築の実践
3 ウピの事例――三民族共存社会での平和構築の実践
小括

終 章 リベラル平和構築論を超えて
1 紛争・暴力・平和の構造的メカニズム
2 新たな平和構築への視座――公共空間の創出を目指して
3 平和構築の未来と支援のための示唆

参考文献
エピローグと謝辞
図表一覧
索引

前書きなど

2013年4月、東京にある国際協力機構(Japan International Cooperation Agency, JICA)の会議室。そこでは分離独立、後に自治拡大を目指していたモロ・イスラーム解放戦線(Moro Islamic Liberation Front, MILF)のムラド議長をはじめとする幹部とJICAの緒方貞子理事長(当時)との会談が予定されていた。MILF関係者は、緒方が部屋に入ってくるのを緊張の面持ちで待っていた。緒方が入室すると、ムラドを含めたMILFの参加者たちがむせび泣く様子が見られたという。しばらくして、ムラドが、次のように語った。

マダム・オガタ、貴方がダラパナン〔MILFの軍事拠点〕に来てくれたことによって、われわれは「テロリスト」から「正統な革命組織」として国際社会に認知された。
これは、2006年9月、緒方がダラパナンを訪問した時のことを指す。その訪問が「JICA理事長」という立場を超えてのものだったことで、それまでの国際社会での人道・平和貢献に関する実績と信頼性から得た緒方の外交的(あるいは政治的)影響力を通じ、MILFの正統性が国際社会で認められたことに対するMILFからの謝辞を示すものと解釈できる。このことは、国際政治の文脈において、以後のミンダナオ和平の方向性を決定づける重要な意味をもつことになる。

当時、日本政府は、冷戦後に勃発する国内民族紛争の終結後の平和構築への支援をODAの基本方針のひとつに掲げていた。ミンダナオ和平に関しても、……

[「はじめに」冒頭より/注は省略]

著者プロフィール

谷口 美代子  (タニグチ ミヨコ)  (

1968年 広島県尾道市に生まれる
1996年 オランダ社会研究院(Institute of Social Studies)修士課程修了(開発学)
報道機関を経て、1997年より国際開発コンサルティング会社に所属、国連機関、
国際協力機構、NGOなどを通じ、世界各地の紛争影響国の開発現場で平和構築
支援に従事。2012年よりアテネオ・デ・マニラ大学大学院・ノートルダム大学
大学院客員研究員
2017年 東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(国際貢献)
2018年 アジア太平洋研究賞(井植記念賞)受賞
現 在 独立行政法人 国際協力機構(JICA)国際協力専門員(平和構築)

上記内容は本書刊行時のものです。