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インド経済史 ティルタンカル・ロイ(著) - 名古屋大学出版会
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インド経済史 (インドケイザイシ) 古代から現代まで (コダイカラゲンダイマデ)
原書: India in the World Economy

歴史・地理
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A5判
重さ 602g
340ページ
上製
価格 4,200円+税
ISBN
978-4-8158-0964-5   COPY
ISBN 13
9784815809645   COPY
ISBN 10h
4-8158-0964-X   COPY
ISBN 10
481580964X   COPY
出版者記号
8158   COPY
Cコード
C3022  
3:専門 0:単行本 22:外国歴史
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年10月10日
書店発売日
登録日
2019年9月9日
最終更新日
2019年10月4日
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紹介

古代以来、有数の巨大経済でありながら看過されてきた、独自の発展のダイナミズムとは何か。地理・気候から商品・技術・知識まで、インドの固有性と世界経済との接続の効果を縦横に論じ、アジアとヨーロッパを結ぶ経済の全体像を浮かび上がらせた、地域史からのグローバル・ヒストリー。現代の興隆への道筋をも示す。

目次

はしがき

第1章 序論:インドとグローバル・ヒストリー
接触の描写
初期の交易
インド・ヨーロッパ貿易
帝国を超えて
議論と仮説
各章の概要

第2章 1200年までの港と後背地
ルートと港の形成
インド・ローマ交易
古代後期のインド洋西部
コロマンデル、もしくは2つのデルタ地域
ベンガル
むすび

第3章 後退する陸のフロンティア 1200~1700年
視点
デリー・スルタン朝
1500年までのデカンとベンガルのフロンティア
ヴィジャヤナガル
ヴィジャヤナガルの南
ムガル支配下の北インド
ベンガル開放
グジャラートとコンカンの変容
知識の交流
むすび

第4章 インド洋貿易 1500~1800年
1500年時点でのインド洋世界
ポルトガルの活動
東インド会社――起源
会社形成とその問題
1600~1800年の貿易規模
パートナー、社員、仲介人
商人から領主へ――港市
国家の形成 1707~65年
知識の交流
私貿易と新たな企業活動 1765~1800年
ヨーロッパでの戦争と会社の終焉
インドとヨーロッパの貿易の意味
むすび

第5章 貿易、移民、投資 1800~50年
アヘンと中国
インディゴとベンガル
綿花と西インド
グローバル商人
労働移動
インドとヨーロッパの工業
陸上交易
むすび

第6章 貿易、移民、投資 1850~1920年
陸と海を架橋する
アヘンから綿花へ
小麦
資本――グローバル企業
グローバル銀行業
労働者
むすび

第7章 植民地化と開発 1860~1920年
帝国についての視点
帝国、市場、制度
農業――市場と機構
工場制工業化
職人の伝統の再創造
科学技術
帝国と法
むすび

第8章 恐慌と脱植民地化 1920~50年
戦後
恐慌の到来
ねじれた政策対応
農民と物価
製造業
銀行の利得
労働者の一次的利得
脱植民地化
むすび

第9章 貿易から援助へ 1950~80年
援助資金による工業化
ケイパビリティと知識
経済自立政策と脱工業化
新たな結び付き
移民とディアスポラ
むすび

第10章 市場への回帰 1980~2010年
貿易への復帰
伝統的製造業の成長と衰退
知識経済
むすび

第11章 結論:新しいインド?


参考文献
訳者解説
図表一覧
索引

前書きなど

本書は、南アジアと他の世界との、長期の相互のやりとりについての書である。南アジアからの遠距離にわたる異文化間経済交易の古さを示す一方で、新たな技術や新たな共同関係などの外的な要素と地勢のような内的要因が、こうしたやりとりをいかに形作ってきたのかを示している。このことから、これらのやりとりの歴史の中で、特定の画期を導き出すことが可能になる。

本書執筆のアイディアが生まれたのは、現在はすでに終了してしまっている、経済学者や歴史学者の国際的な集まりであったグローバル経済史ネットワークの活動に私が参加していた数年前のことであった。そこでの活動で展開された議論によって、他地域、とりわけアジアの諸地域で現在なされている興味深い研究にふれることとなった。この経験は確かに有益であった。しかし、本書は、インド内部の素材を用いて、そのネットワークの知的な計画を実行しようとするものではない。本書のアイディアの一部は、このネットワークのアジェンダにある重要項目、すなわち、現代世界における国際的な経済格差の要因は何かを探るというテーマへの反応として生み出されたものではある。しかし、私には、中心に格差という問題を置くことは、インドのグローバリゼーションの歴史を、あまりにもヨーロッパによるグローバリゼーションの歴史に依存したものとしてしまう危険をともなうように思われた。地域は、その地域の政治的あるいは地理的な要素に依存しながら、一定の自律性と独自のやり方によって、他の諸地域との関係を作り上げてきたのであるから、そうしたやり方はしてはならないはずである。実際、これらの地域的な要素のいくつかは、異例の長さで持続するものであるから、インドに焦点を合わせたやりとりの長期の物語が可能となる。私は、アジアとヨーロッパのどちらの地域が17世紀に世界の中心であったかというような不毛な議論に入り込みたくはなかった。むしろ、私が言おうとしたのは、インドの独特の性格を十分に理解したやり取りの歴史を……

[「はしがき」冒頭より]

著者プロフィール

ティルタンカル・ロイ  (ティルタンカル ロイ)  (

Tirthankar Roy
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス(LSE)教授。専門は経済史。A Business History of India: Enterprise and the Emergence of Capitalism from 1600 (2018), The Economy of South Asia: From 1950 to the Present (2017) など多数の著書がある。

水島 司  (ミズシマ ツカサ)  (

1952年生まれ
1979年 東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授、東京大学大学院人文社会系研究科教授などを経て
現 在 東京大学名誉教授、博士(文学)
著 書 『前近代南インドの社会構造と社会空間』
    (東京大学出版会、2008年)
    『グローバル・ヒストリー入門』(山川出版社、2010年)
    『日本・アジア・グローバリゼーション』
    (共編、日本経済評論社、2011年)
    『アジア経済史研究入門』(共編、名古屋大学出版会、2015年)

上記内容は本書刊行時のものです。