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新制大学の時代 天野 郁夫(著) - 名古屋大学出版会
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新制大学の時代 日本的高等教育像の模索

教育
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A5判
重さ 896g
558ページ
上製
価格 4,500円+税
ISBN
978-4-8158-0956-0   COPY
ISBN 13
9784815809560   COPY
ISBN 10h
4-8158-0956-9   COPY
ISBN 10
4815809569   COPY
出版者記号
8158   COPY
Cコード
C3037  
3:専門 0:単行本 37:教育
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年8月10日
書店発売日
登録日
2019年6月28日
最終更新日
2019年7月30日
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紹介

戦前からの試みとGHQ占領下の大転換をへて到達した高等教育の新時代。だが、それは新たな模索の始まりだった。様々なアクターによる議論と交渉を通して、何が選ばれ、どのような問題が遺されたのか。現在の大学改革につながる課題の由来と制度の構造を歴史的に浮き彫りにする。

目次

凡 例

プロローグ
 新制と旧制
 ヨーロッパ・モデルとアメリカ・モデル
 学制改革論議
 戦間期から戦時期へ
 教育刷新委員会
 新制大学の誕生
 本書の狙いと構成
 「三八答申」

 第I部 模索と選択

第1章 未完の大学改革

1 情報と認識のギャップ
 戦後の学制改革
 不十分な相互理解
 日米の認識ギャップ
 アメリカ側の日本理解

2 専門学校の存在
 専門学校から大学へ
 多様化と画一化
 残された改革課題

第2章 設置認可と適格判定

1 設置認可基準の問題
 大学の設置認可
 二つの基準の関係

2 設置認可の現実
 時間の問題
 負の遺産
 二元的システム導入の経緯
 設置基準と大学基準の間
 設置基準の最高基準化
 新制大学の現実
 単一の基準

第3章 新制度への移行と短期高等教育問題

1 日米の短期高等教育論
 問題の発端
 技能専門学校案
 トレーナーの述懐
 日本側の短期高等教育論議

2 教育刷新委員会と移行問題
 教刷委の建議と学校教育法
 旧制高等学校と専門学校
 曖昧な決定
 新学制への移行問題
 天野と南原
 専攻科と前期課程

3 三年制大学論の登場と挫折
 三年制大学という現実論
 二年制大学論
 女子専門学校救済策
 修正案の決定
 三年制大学構想の挫折

4 暫定措置としての短期大学
 二年制論の再登場
 暫定措置という選択
 短期大学の発足
 短期大学設置基準
 設置認可の過程
 トレーナーの評価

第4章 大学の管理運営問題

1 大学と国家の関係
 第三の課題
 私立大学と私立学校法
 国立大学地方移譲論
 教育刷新委員会の反対決議

2 大学の内部管理運営組織
 私立大学と私立学校法
 国立大学の自治慣行
 ボード・オブ・トラスティーズ
 第十特別委員会での審議
 「商議会」をめぐる議論
 大学基準協会案の挫折

3 教育刷新委員会案とCIE案
 「大学の自由及び自治の確立について」
 GHQ案の提示
 「大学法試案要綱」
 GHQの管理運営機構案
 文部省の論点整理

4 教育刷新委員会の決議と法案の挫折
 教刷委の決議
 「試案要綱」との違い
 大学法案の挫折

5 管理法案の国会上程と挫折
 管理運営問題その後
 管理法案の上程
 具体的な内容
 日本側の反応
 アメリカ側の反応
 管理法案の挫折
 暫定的な措置

第5章 大学院像の模索

1 教育刷新委員会案と大学基準協会案
 大学院問題
 アメリカの大学院
 日本の大学院
 学位制度との関係
 帝国大学の独立大学院論
 教刷委案と基準協会案
 研究大学院と職業大学院

2 大学院基準の制定と改訂
 教育刷新審議会の敗北
 重要な修正
 昭和三〇年の改訂
 論文博士制度
 職業大学院問題

3 職業大学院と学部教育
 大学及び大学院問題研究委員会
 法学教育の問題
 商・工・農の場合
 独自の道

第6章 学部教育の課程編成問題

1 戦前から戦後へ
 統一性への執着
 戦前期の教育課程
 学制改革論議
 米国教育使節団の批判
 基準設定協議会の役割

2 大学基準協会と一般教育課程
 審議の開始
 教育課程の編成基準
 務台理作の回顧談
 編成の標準化・画一化

3 専門教育と専門学部制
 専門学部制という制約
 大学基準の別表
 分科教育基準と関係学部設置要項
 専門的職業人の養成構想
 医学・歯学教育
 表面化した矛盾

4 単位制度の導入
 日本的単位制度
 新しい単位制度の導入
 教育・学習観の違い
 講義・演習・実験実習
 一対二対三

第7章 国立セクターの再編統合

1 地方移譲と移行問題
 国立セクターの再編成
 地方委譲問題
 移行と再編統合

2 二つの十一原則
 CIEの十一原則
 学芸学部と文理学部
 教員養成と教養教育
 日本側の十一原則
 国立大学の諸類型
 講座制と学科目制
 「適当な制度」

 第II部 反省と批判

第1章 改革主体による評価

1 三つのレビュー
 拙速な出発
 三つの文書

2 教育刷新審議会の評価
 教刷審の報告書
 三つの課題
 「大学の自由」と政治教育

3 文部省の評価
 行政当局の立場から
 元学校教育局長の述懐

4 教育使節団とCIE
 第二次教育使節団のコメント
 トレーナーの回顧
 CIEの改善勧告
 理想と現実のギャップ

第2章 大学人たちの評価

1 大学基準協会の見解
 『新制大学の諸問題』
 大学人たちの声

2 奥井復太郎の新制大学論
 訪米の機会
 奥井の現状認識
 カレッジとファカルティ
 一般教育と専門教育
 大学像の日米間ギャップ

3 三学長の見解
 矢内原忠雄の新制大学論
 再改革より改善・改良を
 高橋里美の新制大学論
 大泉孝の新制大学論
 画一性打破と多様化促進

第3章 一般教育という問題

1 一般教育の問題化
 基準協会と一般教育
 研究委員会の発足まで
 IFELの役割
 ハンドブックの作成
 構造的な問題

2 一般教育と年限延長論
 玉蟲文一の一般教育論
 一般教育と専門教育
 外国語教育と基礎教育
 五年制大学論
 京大工学部の実験

3 単位制への疑問
 単位制の問題
 新単位制度の合理性
 画一的な制度運用

第4章 昭和三〇年代のレビュー

1 座談会の記録
 昭和三三年のレビュー
 年限と教育課程について
 大学院の性格について
 大学の自治について
 基準協会への期待
 大学人の反省と自己批判

2 「大学制度の再検討」
 民主教育協会と検討委員会
 大学の性格・種類について
 大学の自治と管理
 一般教育の課題
 専門教育と一般教育
 課程編成の硬直化批判

第5章 経済界の批判と要望

1 日経連の批判と要望
 経済界の新教育批判
 新旧卒業生の比較
 日経連の改革要求

2 科学技術教育の改革要求
 人材養成への焦点化
 科学技術教育の振興
 日経連理事の意見
 「もはや戦後ではない」

3 高等教育システムの構造と機能
 システムの現実
 短期大学
 大 学
 大学院
 進学状況
 受験競争の激化

 第III部 修正と改革

第1章 新制大学制度の再検討

1 政令改正諮問委員会の答申
 動き出した改革論議
 昭和二四年から二五年へ
 政令改正諮問委員会の設置
 「教育改革に関する答申」
 「専修大学」構想の登場
 国立大学再編論
 戦後改革への配慮

2 教育界の反応
 異例のアンケート調査
 大学界の空気
 文部省の見解

3 中央教育審議会の設置
 教刷審から中教審へ
 中教審と高等教育問題
 大学自治と管理運営問題
 大学管理法案の準備

4 占領期改革の見直し
 包括的な諮問
 医学・歯学教育問題
 受験競争と学制改革
 「専科大学」という緩和策

第2章 短期高等教育制度の模索

1 職業教育と短期高等教育
 短期の職業教育機関
 経済界の要請
 短大制度の恒久化論
 短大関係者の要望

2 中教審への諮問と答申
 諮問理由の説明
 「短期大学制度の改善について」答申

3 「科学技術教育の振興方策について」答申
 中教審への諮問と答申
 短期大学と科学技術教育
 対立する意見

4 「専科大学法案」の提出
 法案の提出
 三度の廃案

第3章 科学技術教育振興と大学改革

1 科学技術教育の振興政策
 経済界の学制改革論
 「科学技術教育の振興方策について」答申と大学
 質の向上を
 「大学教育の改善について」諮問
 激動の昭和三五年

2 科学技術教育振興と二つの答申
 科学技術会議の答申
 妥当な内容
 経済審議会の答申

3 高等専門学校制度の創設と理工系拡充
 高専制度の創設
 理工系拡充の大合唱
 「池正勧告」とマス化

第4章 政治の季節と管理運営問題

1 大学管理運営問題の再燃
 政治の季節再び
 国大協の中間報告案
 教授会側からの批判
 日本学術会議の勧告
 政治化する問題
 改善協議会の報告
 「答申原案」批判

2 国立大学協会の抵抗
 国大協の「中間報告」
 国大協案の概要
 大学運営協議会の提唱

3 中央教育審議会の管理運営答申
 中教審主査の談話
 中教審の答申概要
 法案の提出と挫折

第5章 「大学教育の改善について」答申

1 大学の種別化構想
 中教審の「三八答申」
 「大学の目的・性格について」
 問題点と改善点
 五つの種別

2 教育の内容と方法
 種別に応じた特色化
 教育内容の改善
 教育方法の改善

3 大学の組織編成について
 大学の組織編成
 学部・学科の再編
 組織の再編
 国立大学への焦点化

4 大学の規模・設置・配置について
 高等教育の規模
 高等教育機関の配置
 設置計画と設置基準
 設置認可行政の強化

5 厚生補導と入学者選抜
 「学生の厚生補導について」
 三つの提言
 入試問題・昭和二九年の答申
 選抜制度の現状と問題点
 技術的な改善案

第6章 答申の評価と成果

1 文部省の新制大学観
 冷ややかな反応
 高等教育白書
 新制大学批判と文部省の反論
 中教審答申への期待

2 種別化と多様化
 種別化とは
 「大学院大学」と「大学」
 教育課程編成の見直し
 基準協会の「類型」化論
 日本学術会議の反対意見
 設置基準と文部省
 戦後改革理念の否定か

3 「三八答申」の残したもの
 忘れられた三八答申
 政治学者ペンペルの指摘
 設置基準省令化
 大学基準等研究協議会の答申
 日教組の反対意見
 国大協の意見書
 大学基準協会の意見書
 設置基準の政策的運用
 「マス」化への道
 短期高等教育問題の決着
 職業大学院問題
 修士課程の職業教育化

第7章 国立大学システムの再編成

1 一般教育組織の構築
 国立大学の組織編成
 一般教育の組織問題
 教養部の設置と格差問題

2 学芸学部と文理学部の再編
 学芸学部と文理学部
 学芸学部から教育学部へ
 曖昧な文理学部
 整備改善の方向
 専門学部への移行

3 大学院大学の種別化
 旧帝大の大学院大学化論
 総合・複合・単科
 講座制と学科目制
 国立セクターの序列構造

エピローグ
 漠然とした不安
 「三八答申」の意義
 アメリカ・モデルの相対化
 遺産の継承
 画一性と格差構造
 新たな諮問と「四六答申」
 エリートからマスへ
 アメリカ・モデル再び

あとがき
引用文献
図表一覧
答申一覧
索 引

前書きなど

昭和二二年(一九四七)に公布された学校教育法に基づいて、新しい大学制度が発足してから七〇年余になる。発足当時、旧制度の大学との対比で使われてきた「新制大学」という呼称は今では死語に近い。昭和四四年の『広辞苑』第二版になかった「新制大学」の語が第三版で採録されたのは、昭和五八年である。この頃にはすでに、歴史的な用語とみなされるようになっていたことがわかる。本書で取り上げるのは、その「新制大学」がまだ生きた言葉として、社会的に広く使用されていた時代の物語である。その時代の終わりを、ここでは昭和三〇年代の末に求め、昭和三八年に出された中央教育審議会の「大学教育の改善について」答申、いわゆる「三八答申」を、新制大学の時代の終わりを告げる象徴的な出来事としたい。その理由は追々見ていくこととして、「旧制」「新制」という対比の意味についてまず、簡単に説明しておく必要があるだろう。

新制と旧制

昭和二二年(一九四七)の学校教育法の公布は、一四〇年余のわが国の近代高等教育の歴史のなかで最大の転換……


[「プロローグ」冒頭より]

著者プロフィール

天野 郁夫  (アマノ イクオ)  (

1936年神奈川県生まれ。一橋大学経済学部・東京大学教育学部卒業。東京大学
大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。名古屋大学教育学部助教授、東京
大学教育学部教授、国立大学財務・経営センター研究部教授などを歴任。
東京大学名誉教授、教育学博士。
著 書 『試験の社会史』(東京大学出版会、1983年、サントリー学芸賞受賞;
     増補版、平凡社ライブラリー、2007年)
    『高等教育の日本的構造』(玉川大学出版部、1986年)
    『学歴の社会史』(新潮選書、1992年、平凡社ライブラリー、2005年)
    『日本の教育システム』(東京大学出版会、1996年)
    『日本の高等教育システム』(東京大学出版会、2003年)
    『教育と選抜の社会史』(ちくま学芸文庫、2006年)
    『大学の誕生』(上下、中公新書、2009年)
    『高等教育の時代』(上下、中公叢書、2013年)
    『新制大学の誕生』(上下、名古屋大学出版会、2016年)
    『帝国大学』(中公新書、2017年)他多数

上記内容は本書刊行時のものです。