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質的研究の考え方 大谷 尚(著) - 名古屋大学出版会
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質的研究の考え方 研究方法論からSCATによる分析まで

菊判
重さ 637g
416ページ
並製
価格 3,500円+税
ISBN
978-4-8158-0944-7
Cコード
C3036
専門 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年3月31日
書店発売日
登録日
2019年3月4日
最終更新日
2019年12月9日
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重版情報

3刷 出来予定日: 2019-11-10

紹介

「量」では測れないものを科学的に考えるために――。質的研究に関する疑問・疑念に、ツボを押さえた説明や独自のモデルで答え、量的研究者も納得。認識論を起点に、研究を進めるうえで大切な考え方や質的データ分析手法SCATの使い方を解説する。人文・社会科学や医療等に携わる人にも最適。

目次

はじめに
本書の著者の研究的背景

第I部 質的研究のデザイン、方法、パラダイム

第1章 質的研究とは何か
――いくつかの基本概念とその検討
1 質的研究とは何か
2 質的研究「方法」と質的研究「方法論」
3 記録とコード化
4 質的研究における主観と客観
5 質的研究の評価規準としての客観性、信頼性、妥当性
6 「母集団とサンプル」概念の再考
7 質的研究における結果の再現性

第2章 リサーチ・クエスチョンの設定
1 質的研究のリサーチ・クエスチョン
2 リサーチ・クエスチョンの評価

第3章 研究デザイン
1 質的研究の研究デザイン
2 質的研究のためのガイドライン

第4章 データ採取
1 質的研究の研究参加者
2 観察やインタビューの中立性の再考――観察の理論負荷性
3 サンプリングとサンプルサイズ
4 観察と観察記録
5 個別インタビュー
6 フォーカス・グループ
7 文書研究・文書分析
8 人工物研究・人工物分析
9 アートを用いたデータ採取

第5章 データ分析
1 カテゴリー分析(テーマ分析)とシークエンス分析
2 分析的枠組みとしての概念的・理論的枠組みの適用
3 質的データ分析手法の必要性
4 「分析の妥当性を高めるためのスーパービジョン」の問題

第6章 理論化とモデル化
1 質的研究における理論化
2 質的研究におけるモデル化

第7章 質的研究の結果の表象
1 質的研究論文のタイトル
2 質的研究論文の執筆形式(IMRaDと質的研究)
3 Reflexivityの記述
4 アートを含む多様な表象

第8章 質的研究の研究倫理
1 研究倫理への深い配慮の必要性
2 「研究参加しないことは不利益にならない」という説明の問題
――研究倫理は研究デザインで保証する
3 教育研究に合った研究倫理はあり得るか
4 研究参加者名の実名表記について
――実名表記と匿名表記の判断
5 研究参加者がインフォームド・コンセントを超えるデータ採取を望んだら
6 質的研究における研究参加の同意の撤回について
7 解釈的な研究と研究倫理
8 データの改ざんとねつ造は何をもたらすのか

第9章 質的研究に関するその他の問題と課題
1 さまざまな質的研究手法の使い分けは可能か
2 教育実践研究と質的研究
3 量的研究手法と質的研究手法の併用
4 「定性的・定量的」という表現について
5 質的研究とエビデンスレベル
6 質的研究に関する諸概念・言説をその歴史的文脈において理解する必要性
7 プログラムやシステムの開発と評価における質的研究の有効な活用の可能性
8 質的研究のために研究者が備えておくべき知識、理解、能力とは何か

第II部 SCATによる質的データ分析

第10章 SCATとは何か
――その機能と意義
1 SCATとは何か
2 SCATの機能と特徴
3 諸刃の剣としてのSCAT
4 質的データ分析手法としてのSCATの意義

第11章 SCATによる分析
1 SCATのフォームを準備する
2 テクストをセグメント化してテクスト欄に記入する
3 コーディングの前にテクスト(データ)をよく読む
4 〈1〉の「テクスト中の注目すべき語句」を書く
5 〈2〉の「テクスト中の語句の言いかえ」を書く
6 〈3〉の「左を説明するようなテクスト外の概念」を書く
7 〈4〉の「テーマ・構成概念」を書く
8 分析的枠組み(概念的・理論的枠組み)の利用とその際の注意点
9 〈5〉の「疑問・課題」を書く
10 「ストーリー・ライン」を書く
11 「理論記述」を行う
12 「さらに追究すべき点・課題」を書く
13 その他の分析例

第12章 SCATでの分析の参考のために
――SCATのTips&Pitfalls
1 SCATのTips(コツ)
2 SCATのPitfalls(落とし穴)

第13章 SCATのFAQ
1 コーディング以前に関するFAQ
2 コーディングに関するFAQ
3 ストーリー・ラインに関するFAQ
4 分析結果に関するFAQ

結語にかえて
1 研究領域を超えた世界共通の研究言語としての質的研究
2 研究対象となる人々と社会の理解のために

謝辞
文献リスト
図表一覧
索引

前書きなど

近年、あらゆる領域で、質的研究ということばが人々の口に上っているし、質的研究に関連する多くの書物や論文が発表されている。したがって、本書を手に取る多くの人にとって「質的研究」ということばは、決して初めて見るものではないだろう。

しかしこのことばを初めて聴いたとき、どのように感じただろうか。人文科学や社会科学の多くの研究者や学生は、「いまさら質的などと言わなくても、研究というのは本来、質的に実施するに決まっているではないか」と思ったかもしれない。しかし逆に、科学、工学、そして医療系などの理系の領域の研究者や学生は、「いったいどうやったら、質的に研究することなどできるのか?」と思ったかもしれない。このように、質的研究はその名前がよく知られるようになったほど、その内容が知られているわけではない。

本書は、特定の領域における質的研究について解説したものではない。とはいえ、筆者の研究的背景や研究経験上、次のような人が読者として想定されている。それは、「質的研究」を自覚的に実施してきた、あるいは実施しようとしている研究者や学生、今日的な意味での「質的研究」ではなく、非量的な研究が伝統的になされてきた教育学などの領域の研究者や学生、医学や医療専門職教育の研究者、日常の職務から研究すべき課題を見いだしている医師、歯科医師、看護師、薬剤師などの……

[「はじめに」冒頭より/エピグラフは省略]

著者プロフィール

大谷 尚  (オオタニ タカシ)  (

1953年 東京に生まれる
1976年 東京教育大学教育学部卒業
1979年 筑波大学大学院博士課程教育学研究科中退
    長崎大学講師、トロント大学オンタリオ教育研究所客員研究員などを経て
現 在 名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授、
    名古屋大学アジア共創教育研究機構教授
著訳書 『質的心理学講座 第1巻』(共著、東京大学出版会、2008年)
    『これからの医療コミュニケーションへ向けて』(共著、篠原出版、2013年)
    デンジン/リンカン編『質的研究ハンドブック3巻 質的研究資料の収集と解釈』
    (共編訳、北大路書房、2006年)他

上記内容は本書刊行時のものです。