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海軍技術者の戦後史 沢井 実(著) - 名古屋大学出版会
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海軍技術者の戦後史 (カイグンギジュツシャノセンゴシ) 復興・高度成長・防衛 (フッコウコウドセイチョウボウエイ)

歴史・地理
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A5判
重さ 455g
256ページ
上製
価格 4,500円+税
ISBN
978-4-8158-0943-0   COPY
ISBN 13
9784815809430   COPY
ISBN 10h
4-8158-0943-7   COPY
ISBN 10
4815809437   COPY
出版者記号
8158   COPY
Cコード
C3021  
3:専門 0:単行本 21:日本歴史
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年3月30日
書店発売日
登録日
2019年2月25日
最終更新日
2019年3月25日
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紹介

戦後日本の復興と発展に、海軍技術者たちが果たした役割とは何か。造船、自動車、新幹線開発、土木などで高度成長を下支えした技術継受の全体像を復元、防衛生産も視野にその質的・量的インパクトを客観的に叙述するとともに、技術者たちの敗戦経験の歴史的特質をも浮き彫りにする。

目次

序 章 海軍技術者とは誰か

第1章 造船王国の担い手へ
 ―元海軍造船技術者の戦後―
はじめに
1 戦後日本造船業の技術アドヴァイザーとしての役割
2 民間でのさまざまな試み
3 民間造船所での活動
4 ある造船官の戦後――小野塚一郎の場合
5 艦艇建造での役割
おわりに
 付論 元海軍造船技術者の戦後における経歴に関する資料

第2章 輸送機械・産業機械・電機へ
 ―元海軍技術科(造機)士官の戦後―
はじめに
1 造機技術官の構成と教育
2 元技術科(造機)士官が3名以上勤務する民間企業・国家諸機関
3 個別企業の諸事例
4 日本国有鉄道・鉄道技術研究所と防衛庁・自衛隊
5 海軍経験と戦後の研究活動
おわりに――技術開発と共同研究

第3章 土木国家の源流
 ―元海軍施設系技術者の戦後―
はじめに
1 運輸省運輸建設本部の役割
2 元海軍施設系技術者の戦後
3 元海軍施設系技術者の活動と発言
おわりに――集団としての軍民転換

第4章 流転する海軍将校
 ―海軍機関学校卒業生の戦後―
はじめに
1 海軍機関学校の教育と卒業生の進路、留学
2 海軍機関学校卒業生の戦後
おわりに

第5章 エリート技術者たちの悔恨と自覚
 ―国鉄転入技術者・引き揚げ技術者の戦後―
はじめに
1 国有鉄道転入技術者の戦後
2 日本技術士会会員技術者の戦後
おわりに――技術ナショナリズムの共有

第6章 戦後防衛政策への展開
 ―海空技術懇談会の設立とその活動―
はじめに
1 海空技術懇談会と経済団体連合会防衛生産委員会の連携
2 保科善四郎の活動
3 海空技術(懇談会)調査室および海空技術調査会の活動
4 海空技術懇談会会員の構成
おわりに

終 章 軍民転換の歴史的特質


あとがき
索 引

前書きなど

戦後日本と戦前・戦時日本の「連続と断絶」を問う作業は、依然として大きな意味を持っている。軍事技術はいったん否定され、その担い手たちは陸海軍以外の官庁・民間部門に吸収されていった。総力戦を戦うために陸海軍はあらゆる資源を動員した。それは技術者においても変わりがなかった。敵を圧倒するためには優秀な兵器が開発されなければならず、そのために優秀な技術者が求められた。陸海軍は多くの優秀な技術者を集め、敗戦によって陸海軍が消滅すると彼らは民間部門のさまざまな産業に分散し、戦後の経済成長を支えたという言説がいまでもよく語られる。

しかし優秀な元陸海軍技術者が戦後の優秀な民生技術を生み出したという言説には、決定的に欠落しているものがある。陸海軍技術者は総力戦という本番において日本を勝利に導くことができなかった。その悔恨が戦後の彼らをどのように規定したのかを問う視点である。その数において陸軍技術者を大きく上回った海軍技術者の戦後史を検証する作業は、戦後日本が戦前・戦時日本から継承したものの大きさを計量し、同時に継承のされ方の歴史的特質を問う作業でもある。

内田星美の推計によると、1934年時点で大学・高等工業学校卒の技術者は民間部門で2万5331人、官庁部門(学校部門を含む)で1万5749人であり、官庁部門(学校部門を含まない)では鉄道省2240人、海軍省1108人、内務省803人、陸軍省794人、逓信省724人の順であった。また42年9月の繰り上げ卒業者までを対象とした学士会編『会員氏名録』昭和18年用によると、帝国大学卒科学技術者のうち海軍に勤務する者は997人、陸軍勤務者は662人であった。戦後直後に承継・受け皿官庁・機関が存在しないという意味で、……

[序章冒頭より/注は省略]

著者プロフィール

沢井 実  (サワイ ミノル)  (

1953年生
1978年 国際基督教大学教養学部卒業
1983年 東京大学大学院経済学研究科第二種博士課程単位取得退学
現 在 南山大学経営学部教授、大阪大学名誉教授、博士(経済学)
主 著 『日本鉄道車輌工業史』(日本経済評論社、1998年)、『通商産業政策史9 産業技術政策』(通商産業政策史編纂委員会編、経済産業調査会、2011年)、『近代日本の研究開発体制』(名古屋大学出版会、2012年、日経・経済図書文化賞、企業家研究フォーラム賞受賞)、『近代大阪の工業教育』(大阪大学出版会、2012年)、『近代大阪の産業発展』(有斐閣、2013年)、『八木秀次』(吉川弘文館、2013年)、『マザーマシンの夢』(名古屋大学出版会、2013年)、『機械工業』(日本経営史研究所、2015年)、『帝国日本の技術者たち』(吉川弘文館、2015年)、『日本の技能形成』(名古屋大学出版会、2016年)、『久保田権四郎』(PHP研究所、2017年)、『見えない産業』(名古屋大学出版会、2017年)

上記内容は本書刊行時のものです。