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大沢流 手づくり統計力学 大沢 文夫(著) - 名古屋大学出版会
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大沢流 手づくり統計力学 (オオサワリュウ テヅクリトウケイリキガク)

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A5判
厚さ12mm
重さ 258g
164ページ
並製
定価 2,400円+税
ISBN
978-4-8158-0674-3   COPY
ISBN 13
9784815806743   COPY
ISBN 10h
4-8158-0674-8   COPY
ISBN 10
4815806748   COPY
出版者記号
8158   COPY
Cコード
C0042  
0:一般 0:単行本 42:物理学
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2011年8月15日
書店発売日
登録日
2011年8月3日
最終更新日
2021年7月15日
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書評掲載情報

2011-12-18 毎日新聞
評者: 村上陽一郎(東洋英和女学院大学長・科学史)
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重版情報

3刷 出来予定日: 2021-07-20
2刷 出来予定日: 2014-04-30
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紹介

分子の気持ちを自分の手で体験しよう――本書は、サイコロとチップのゲームを楽しみながら、統計力学の真髄を直感的に納得することを目指す。高校生でも研究者でも面白い、今までにない入門書。生体内の現象に統計力学を応用した、最新の生物物理の話題も解説する。

目次

まえがき

序 章

第I部 統計力学の基本を自分の手で体験する

第1章 基本ルールの説明

第2章 分子の世界は消費税
2-1 チャンスを公平にすると、結果は不公平になる
2-2 やり取りをもっと多くすると
2-3 互いにやり取りをすると差が強調される
2-4 分配の方法をすべて書き出す
2-5 コンピューターシミュレーション
2-6 自分のチップが少ないのは他人のせい

第3章 ルールをいろいろ変えてみる
3-1 破産者消滅型:重合体の形成と平衡
3-2 所得税型:復元力がある場合
3-3 複数の箱に注目

第4章 いつでも今が最高
4-1 ここまでのまとめ
4-2 時間を逆にして見ても同じ
4-3 いつでも今が最高
4-4 反応はひゅっと進む
4-5 固体物性:磁化率についての考察

第5章 第I部のまとめ
5-1 ボルツマン分布と等重率の原理の成立の順序
5-2 少数の成分でも統計力学が体験できる
5-3 時間反転対称といつでも今が最高

第II部 生体の中の現象に統計力学を応用する

第6章 エネルギーのやり取りとその時間
6-1 低粘度(気体中)の運動
6-2 高粘度(液体中)の運動
6-3 低粘度と高粘度:シス・トランス変化
6-4 ATP加水分解の1分子計測
6-5 粘性とは何か
6-6 気体の中につるした鏡のねじれ運動

第7章 局所温度
7-1 箱の外から局所温度を測る
7-2 Fアクチンの“曲げ”運動
7-3 ファインマンの爪車(ラチェット)
7-4 Fアクチンの“滑り”運動のラチェットモデル
7-5 局所温度が測定できる
7-6 少数自由度にエネルギーがたまる
7-7 揺動散逸定理:信念の強さと環境変化への応答

第8章 ブラウン運動
8-1 ブラウン運動を体験する:N歩の2乗平均がN
8-2 海の魚を一網打尽に捕らえる方法
8-3 ブラウン運動とポテンシャル・セオリー:ミクロとマクロの接点
8-4 朝倉・大沢の力(depletion効果):コロイド粒子間の引力

付録A 海の魚を一網打尽に捕らえる方法
付録B Weylの撞球

あとがき
参考文献

前書きなど

この本は、統計力学への入門を意図しています。統計力学には多くの入門書があり、参考書があります。ところがこの本は入門書ではありますが、普通の統計力学の本とは門の入り方が少しちがいます。門は誰でも気がるに入れるようになっており、門を入った庭には粒子が漂っていて、集団になって動いているように見えます。

統計力学では、非常に多くの粒子が集まってめいめい自由に動いているとイメージすることがあります。この本の庭でばらばらに動いているのは、それに比べるとごく少数の粒子です。そこでの各粒子の動きと、これら少数の粒子の全体としての動きを同時に見ようというのです。そのために、粒子のばらばらとした動きに対応する“サイコロ”と、粒子の持つエネルギーに対応する“チップ”(サイコロの目の数に従ってやり取りする)との動きを追いかけてみます。そして、いろいろな設定でサイコロを振ってチップの分配のされ方を見ると、意外な状況が次々に現れるので、“プロ”の研究者でもびっくりする人が多いです。この意外性の中に統計力学の神髄がふくまれています。そこの面白さをじっくり、自分(達)でサイコロを振りながら観察してほしいのです。“手づくり統計力学”はそこから現れます。

さらに、統計力学の基本的な概念であるエントロピーの定まり方や自由エネルギー、温度などの話もこのサイコロとチップから現れます。集まりの中の粒子1個1個の動きと全体の動き、その動きの変化の速さを見ますと、そ……

[「まえがき」冒頭より]

著者プロフィール

大沢 文夫  (オオサワ フミオ)  (

1922年、大阪府に生まれる。1944年、東京帝国大学理学部卒業。名古屋大学教授、大阪大学教授、愛知工業大学教授などを経て、現在、名古屋大学・大阪大学名誉教授、愛知工業大学客員教授。日本学士院会員、日本生物物理学会名誉会員。

上記内容は本書刊行時のものです。