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フィルム・アート
映画芸術入門
原書: Film Art: An Introduction
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2007年9月20日
- 書店発売日
- 2007年9月1日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2021年5月7日
重版情報
4刷 | 出来予定日: 2021-05-06 |
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紹介
この1冊で、きっと映画の見かたが変わる!――初期から近年までの世界中の映画を視野におさめ、映画の技法・スタイルを中心に、製作・興行、形式・ジャンル、批評・歴史にわたる映画芸術のすべてを、多数の図版とともに体系的に解説したアメリカで最も定評ある映画入門、待望の邦訳。
目次
はじめに
第I部 映画製作、配給、興行
第1章 映画製作、配給、興行
1 映画のメカニズム
2 映画を観客にもたらす
コラム:独立系の製作と主流のハリウッド――グッド・マシーンの場合
3 映画を作る――映画製作
4 製作形態
さらなる探究のために
第II部 映画形式
第2章 映画形式の意味
1 映画形式という概念
2 映画形式の原則
3 まとめ
さらなる探究のために
第3章 形式上のシステムとしての物語
1 物語構成の原則
コラム:ストーリー上の時間をめぐるゲーム
2 語り――ストーリー情報の流れ
3 古典的ハリウッド映画
4 『市民ケーン』の物語形式
5 まとめ
さらなる探究のために
第III部 映画のタイプ
第4章 映画ジャンル
1 ジャンルを理解する
コラム:現代のジャンル――犯罪スリラー
2 3つのジャンル
3 まとめ
さらなる探究のために
第5章 ドキュメンタリー映画、実験映画、アニメーション映画
1 ドキュメンタリー
2 実験映画
3 アニメーション映画
4 まとめ
さらなる探究のために
第IV部 映画スタイル
第6章 ショット――ミザンセン
1 ミザンセンとは何か
2 リアリズム
3 ミザンセンの力
4 ミザンセンの構成要素
コラム:映画俳優の道具箱
5 すべてを1つに組み合わせる――空間と時間のミザンセン
6 ミザンセンの物語上の機能――『荒武者キートン』
7 まとめ
さらなる探究のために
第7章 ショット――撮影法
1 写真的な映像
コラム:怪物から日常まで――『ロード・オブ・ザ・リング』のCGI映像
2 フレーミング
3 映像の持続時間――ロング・テイク
4 まとめ
さらなる探究のために
第8章 ショットとショットの関係――編集
1 編集とは何か
2 映画編集の次元
3 コンティニュイティ編集
コラム:コンティニュイティの強化――『L.A.コンフィデンシャル』と現代の編集
4 コンティニュイティ編集に対するオルタナティヴ
5 まとめ
さらなる探究のために
第9章 映画の音
1 音の力
2 映画の音の基礎
3 音の次元
コラム:2つのトラックのリズム――『ラスト・オブ・モヒカン』の死のダンス
4 映画の音の機能――『抵抗』
5 まとめ
さらなる探究のために
第10章 形式上のシステムとしてのスタイル
1 スタイルという概念
2 映画スタイルを分析する
3 『市民ケーン』のスタイル
4 『透き歯の女たち』のスタイル
5 『ザ・リヴァーのスタイル』
6 『バレエ・メカニック』のスタイル
7 『ア・ムーヴィー』のスタイル
さらなる探究のために
第V部 映画の批評分析
第11章 映画批評――分析例
1 古典的物語映画
2 古典的映画に対するオルタナティヴの物語映画
3 ドキュメンタリーの形式とスタイル
4 形式、スタイル、そしてイデオロギー
さらなる探究のために
第VI部 映画史
第12章 映画形式と映画史
1 初期映画(1893-1903年)
2 古典的ハリウッド映画の発展(1908-27年)
3 ドイツ表現主義(1919-26年)
4 フランス印象主義とシュールリアリズム(1918-30年)
5 ソヴィエト・モンタージュ(1924-30年)
6 サウンド到来後の古典的ハリウッド映画
7 イタリア・ネオリアリズム(1942-51年)
8 フランスのヌーヴェル・ヴァーグ(1959-64年)
9 ニュー・ハリウッドと独立系映画製作
10 現代香港映画
さらなる探究のために
第VII部 映画を見るための手引き
第13章 映画の見方と書き方
1 映画を見る
2 映画について書く
用語集
用語集(英日対応表)
クレジット
訳者あとがき
索引
前書きなど
わたしたちが1977年に『フィルム・アート――映画芸術入門』の執筆に取りかかったころは、映画研究が大学の一般科目になり始めたばかりだった。当時、映画の入門書は多少は出版されていたが、そのどれもが簡略になりすぎていて、映画を構成する基本的な技法の説明を明確に体系化していないように思えた。
そこで、わたしたちはミザンセン、撮影法、編集、音といった技法を体系的に、わかりやすく、しかも網羅的に説明する入門書を作ることにした。それ以外にも、従来の入門書が見過ごしてきたこと、すなわち作り手が特定の技法を選択し組み合わせることによって生み出す、映画の全体的な形式(あるいは形、構造)を扱うことにした。映画の個別のシーンとしてではなく、全体として論じたかったのだ。
初版以来、本書は数回、版を重ねてきたが、映画の基本的な側面を芸術形式として読者に紹介するというねらいは同じである。映画を芸術として強調することで、映画を映画として成立させている基本的な特徴を抽出しようということなのだ。本書では、映画という表現媒体が、映画、彫刻、音楽、文学、演劇、建築、舞踊が人に与えるのと同じような経験を、どのように与えるのかを探究する。
この本を書きながら、わたしたちは三つのタイプの読者を想定した。まず、映画をよく見ていて、映画についてもっと知りたい、映画に興味のある一般読者。次に、本書を教科書に使う、映画入門の科目を履修している学生。そして、さらに上級レベルの映画専攻の学生である。この最後のタイプの読者は本書から、映画研究に役立つ主要な事項や概念とさらに専門的な研究のための示唆を得ることができるだろう。
本書が最初に出版されたのは、およそ30年も前になる。以来、数多くの映画入門書が出版されてきた。しかし、本書こそ、これまでに書かれた本のなかで、もっとも包括的で体系的な映画芸術の唯一の解説書であると信じている。映画のスタイルや形式についての権威ある典拠として本書を引用する映画研究書も多く、喜ばしいかぎりである。
[「はじめに」冒頭より]
上記内容は本書刊行時のものです。