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歴史小説のレトリック 霜田 洋祐(著/文) - 京都大学学術出版会
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歴史小説のレトリック (レキシショウセツノレトリック) マンゾーニの〈語り〉 (マンゾーニノカタリ)

文芸
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A5判
304ページ
定価 4,900円+税
ISBN
978-4-8140-0150-7   COPY
ISBN 13
9784814001507   COPY
ISBN 10h
4-8140-0150-9   COPY
ISBN 10
4814001509   COPY
出版者記号
8140   COPY
Cコード
C3398  
3:専門 3:全集・双書 98:外国文学、その他
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2018年2月22日
最終更新日
2018年3月28日
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紹介

ゲーテも絶賛し,イタリア人なら誰でも知っているマンゾーニの『婚約者』。実は,ていねいに読むと小説なのに史実と虚構が判別できるように書かれているという。個性的な語り手が用いる2種類の「我々」や引用技法の分析から,独特の〈語り〉の仕掛けに迫る。

目次

口絵
はじめに
本書で言及する主なマンゾーニの著作の邦題と略号一覧

第1章 『婚約者』の成り立ち
    ―文学の最前線としての近代小説
   1.『婚約者』という作品(小説のあらまし)
   2.『婚約者』の語りの形式:語り直される物語
   3.『婚約者』の三つのテクスト:一つの物語、3篇の小説
   4.『婚約者』の言語:現実を描く新しい言葉遣い
   5.イタリア最初の「近代小説」
   6.歴史小説ブームと『婚約者』
   7.マンゾーニの詩学における「事実性」の意味
   8.本書の意義

 インテルメッツォ1 ゲーテの賞賛と歴史嫌い――マンゾーニの国際的名声

第2章 「発見された手稿」と虚実の判別可能性
   1.読まれる史劇と「パラテクスト」による事実の提示
   2.「匿名手稿」への言及と実在の人物の想像上の言動
   3.小括:史実と虚構の滑らかな接続と判別可能性

 インテルメッツォ2 マンゾーニ一家のフィレンツェ旅行と「アルノ川での洗濯」
           ――『マンゾーニ家の人々』より

第3章 「語り手」による一人称の使い分け
   1.「私」か「我々」か:従来の二項対立
   2.「我々」の分類:「共感の一人称複数」の発見
   3.2種の「我々」が果たす異なる機能
   4.小括:〈人称=人格〉のある語りと事実の陳述

第4章 「聞き手」への執拗な呼びかけ
   1.作者と読者の新たな関係
   2.聞き手を含む「我々」と呼びかけの頻度
   3.小括:近代的読者像とマンゾーニ詩学の交差

 インテルメッツォ3 声に出して読みたい(?)イタリア語
          ――『婚約者』の現実の読者たち
第5章 「歴史叙述」における引用のレトリック
   1.歴史部分の“歴史叙述らしさ”
   2.引用の技法と「真実効果」
   3.小括:小説の“設定”がもたらした論述的な歴史叙述

 インテルメッツォ4 『汚名柱の記』の今日性と怒りのレトリック

第6章 「創作部分」における現実性の強調
   1.メタ物語的・メタ文学的言説を通じた「現実性」の強調
   2.『婚約者』における「現実性」の示唆
   3.小括:“現実に似た”創作部分と「ロマネスク」との対決

 インテルメッツォ5 カワイイだけではない、ゴニンの挿絵

第7章 「反文学」的かつ「反歴史」的な歴史小説
   1.既存の文学・歴史からの脱却
   2.例外者、例外的事象の役割
   3.小括:現実の全てを描き込む新しい表現

結 び

付録 『婚約者』の「序文Introduzione」の翻訳

参考文献一覧
初出一覧
あとがき/Ringraziamenti
Abstract Rhetoric of the historical novel:
      studies on the narrative technique of Manzoni
索引

著者プロフィール

霜田 洋祐  (シモダ ヨウスケ)  (著/文

1984年生まれ、大分県出身。2007年3月京都大学文学部卒業。2013年3月京都大学大学院文学研究科博士課程(イタリア語学イタリア文学専修)研究指導認定退学。2016年3月京都大学にて博士(文学)の学位を取得。現在、日本学術振興会特別研究員PD(東京大学)。

本書のもとになった論文のほかに「スコットの歴史小説が表示する「小説性」――マンゾーニ『婚約者』との戦略の違い――」(國司航佑・霜田洋祐・村瀬有司編『天野惠先生退職記念論文集』、2018年)、「ランドルフィ『二大世界体系対話』の世界」(『イタリア学会誌』第59号、2009年)、翻訳ローレンス・ストーン「物語りの復活:新たな旧い歴史学についての考察」(共訳、福島大学行政社会学会編『行政社会論集』第27巻第4号、2015年、第29巻第3号、2017年)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。