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忖度と腐敗
モリカケから「望月衣塑子」現象まで
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年9月20日
- 書店発売日
- 2019年9月30日
- 登録日
- 2019年9月20日
- 最終更新日
- 2019年11月12日
紹介
安倍政権がダラダラと続く中、人気だけで政策もない小泉二世大臣の誕生や隣国法相の就任前の疑惑追及が終日報じられながら、この国の現職政務官の汚職については追及なしのままの日本TV。政治の忖度と腐敗は限りなく深刻化している。その典型は防衛省問題で、アメリカから装備を爆買いする一方、杜撰極まりないイージス・アショア配備計画の醜態は秋田の市民のみならず、日本中の怒りを買った。
防衛省の腐敗・堕落ぶりを、真正面から全面直撃する田中稔のシリーズ最新刊!
目次
はじめに
【出版に寄せる言葉】
不正を許さない正義漢 『平和憲法レポート』初代編集長、元衆議院議員 常松裕志
1回 安倍官邸による「知る権利」侵害(上)
望月記者を孤立させてはならない
2回 安倍官邸による「知る権利」侵害(中)
官邸が報道の自由を侵害し望月記者に圧力
3回 安倍官邸による「知る権利」侵害(下)
戦争報道と「安田純平」自己責任論の危うさ
4回 安倍ベッタリ記者による詩織さん準レイプ事件(上)
「中村格」はぜ逮捕中止を指示したか
5回 安倍ベッタリ記者による詩織さん準レイプ事件(中)
性暴力被害者支援法案を超党派で提出へ
6回 安倍ベッタリ記者による詩織さん準レイプ事件(下)
「山口敬之」とペジコンの癒着関係
7回 森友学園の闇(上)
日本会議つながりの「安倍―籠池」
8回 森友学園の闇(中)
「安倍昭恵」の関与示す手紙とFAX
9回 森友学園の闇(下)
東京地検特捜部の存在価値が問われる
10回 加計学園の闇(上)
「国家戦略特区」利権にうごめく安倍一強内閣
11回 加計学園の闇(中)
「総理のご意向」文書など次々明るみに
12回 加計学園の闇(下)
官房長官への望月記者の追及が突破口
13回 前川喜平さんが夜間中学を語る
生きづらさに寄り添い、学ぶ機会の均等を
14回 「日本会議」の正体(上)
中枢部には元「生長の家」右翼学生運動家
15回 「日本会議」の正体(中)
閣僚の8割以上が極右議連に加盟
16回 「日本会議」の正体(下)
日青協が起こした自民党本部無法占拠事件
17回 辺野古基地建設利権の闇(1)
鳩山首相を欺き「最低でも県外」を葬る
18回 辺野古基地建設利権の闇(2)
「辺野古」官製談合疑惑の動かぬ証拠
19回 辺野古基地建設利権の闇(3)
反対運動封じ込め業務等に血税30億円を消費
20回 辺野古基地建設利権の闇(4)
「久間・小沢」の土地購入疑惑を追う
21回 普天間移設利権の闇(5)
名護市財政はモラルのない補助金漬け
22回 米兵のレイプ被害者・ジェーンさんの闘い(上)
日米両政府が米兵によるレイプを放置
23回 米兵のレイプ被害者・ジェーンさんの闘い(下)
日米地位協定の抜本的な改正を
24回 武器輸出ラッシュ(1)
対イスラエルに武器輸出の道へ
25回 武器輸出ラッシュ(2)
歯止めなき武器輸出へ踏み込む
26回 武器輸出ラッシュ(3)
防衛装備移転三原則で軍需産業に特需か
27回 武器輸出ラッシュ(4)
武器輸出企業に財政を悪用して資金援助
28回 危険な特定秘密保護法(上)
戦前の秘密警察国家への回帰か
29回 危険な特定秘密保護法(中)
「内閣答弁書」はなぜ誤ったのか
30回 危険な特定秘密保護法(下)
人権侵害の「適正評価」が強行される
31回 守屋次官と山田洋行事件(上)
「山田洋行」内紛が防衛利権事件に飛火
32回 守屋次官と山田洋行事件(中)
私欲にまみれた「守屋天皇」
33回 守屋次官と山田洋行事件(下)
「水増し請求」と「天下り」の癒着構造
34回 守屋元次官への裁きと現在
出所後の2億円要求訴訟が棄却の醜態
35回 防衛利権フィクサー脱税事件(上)
軍需産業の裏金を巧妙にロンダリング
36回 防衛利権フィクサー脱税事件(中)
三菱から高額接待を受ける防衛族
37回 防衛利権フィクサー脱税事件(下)
ゴルフコンペで政軍財のパイプ役
38回 防衛省ヘリ官製談合事件を追う(上)
癒着のトライアングルが談合
39回 防衛省ヘリ官製談合事件を追う(下)
癒着と談合はなぜ繰り返されるのか
40回 イージス・アショア利権(1)
うごめく安保マフィアと武器商人
41回 イージス・アショア利権(2)
米国の言い値で決まるアショアの値段
42回 イージス・アショア利権(3)
米軍基地を防衛する“やらずボッタクリ”
43回 イージス・アショア利権(4)
調査報告書に重大ミス 秋田説明会「居眠り」に住民激怒
44回 朝鮮総聯本部ビル競売事件(上)
債務628億円処理めぐり激しい駆け引き
45回 朝鮮総聯本部ビル競売事件(中)
金融庁の介入で融資計画がとん挫
46回 朝鮮総聯本部ビル競売事件(下)
安倍首相が「競売」外交カードを投げ捨てた
47回 大阪地検の証拠改ざん事件(1)
「ストーリーありき」の捜査手法に落とし穴
48回 大阪地検の証拠改ざん事件(2)
若手検事の存在に検察改革のヒント
49回 大阪地検の証拠改ざん事件(3)
検察と報道は「主人」と「召使い」の関係
50回 大阪地検の証拠改ざん事件(4)
冤罪を防ぐには捜査の全面可視化を
51回 大阪地検の証拠改ざん事件(5)
特捜検事が自民党候補に転身した背景
52回 西松建設事件(上)
検察捜査の劣化と「国策捜査」
53回 西松建設事件(中)
無理筋の立件、「天の声」の具体性示せず
54回 西松建設事件(下)
行政側の供述なしでも「天の声」を乱発
55回 甘利前大臣のあっせん利得事件(上)
東京地検は甘利氏本人の立件を急げ
56回 甘利前大臣のあっせん利得事件(下)
耳を疑う不起訴処分と検察議決へ時効の壁
57回 除染事業利権を問う(上)
フレコンバックの質に重大な疑惑
58回 除染事業利権を問う(下)
ゼネコンの巨額利権 除染ではなく移染
59回 人間の復興なき「復興事業」5年間を検証(上)
予算がハード面に偏重し25兆円を消費
60回 人間の復興なき「復興事業」5年間を検証(中)
「心の復興」は置き去り PTSD症状の悪化
61回 人間の復興なき「復興事業」5年間を検証(下)
展望のない苦しみはもう限界
62回 キヤノン関連脱税事件(上)
「財界総理」側近仲介した構造的腐敗
63回 キヤノン関連脱税事件(下)
政官業癒着の底流にメスを入れず
64回 豊洲市場疑惑を追う(上)
「石原―浜渦」が東京ガスを強引に口説く
65回 豊洲市場疑惑を追う(中)
異常に高い落札率 官製談合の疑い
66回 豊洲市場疑惑を追う(下)
事件の本丸・石原元知事に迫れるか
67回 ブラック企業の実態(上)
アリ地獄の引越社関東 悪質な弁済金制度
68回 ブラック企業の実態(下)
セブン・イレブンが「見切り販売」権を妨害
69回 ヘイトスピーチとは何か(上)
新大久保で燃え盛る排外主義の炎
70回 ヘイトスピーチとは何か(下)
民族排外主義発言と法規制を考える
71回 「信教の自由」と集団参拝
安倍政権も立憲民主党も政教分離原則を侵す
72回 冤罪被害者五人を追う映画『獄友』
命の重さと冤罪被害の闇を浮き彫りに
73回 賠償金完済した「上原基金の会」
裁判では負けたが市民自治を獲得
74回 原発村の闇を追え(1)
巨額の広告費でメディアを操る電事連
75回 原発村の闇を追え(2)
これは麻薬だ 電源交付金が自治体を蝕む
76回 原発村の闇を追え(3)
正力と中曽根を操った米情報機関
77回 原発村の闇を追え(4)
利権にうごめく原発族議員の合従連衡
78回 原発村の闇を追え(5)
22兆円株主訴訟と幹部の財産隠し
79回 戦後70年談話問題を問う(1)
村山談話の事実上の見直しを許さない
80回 戦後70年談話問題を問う(2)
アジアの信頼が基軸 村山談話の継承を
81回 戦後70年談話問題を問う(3)
タカ派の小泉首相でさえ踏襲した村山談話
82回 戦後70年談話問題を問う(4)
日本の「過去」に向き合おうとしない
83回 米GAOが指摘したF35の欠陥
欠陥だらけのF35は購入中止を
84回 映画『新聞記者』と「望月衣塑子」現象
首相直轄の情報機関「内調」を正面から描く
前書きなど
はじめに
「田中さん、望月衣塑子ってどんな記者ですか?」
今から一年前、内閣情報調査室に勤務する旧知の知人からこう聞かれて、飲みかけたビールを吹き出しそうになった。望月は東京新聞の記者だ。私が得意とする軍事問題を彼女も追っている関係から多少の面識はある。一方、永田町と霞ケ関で「内調」と呼ばれる内閣情報調査室は、日本を代表する情報機関。その職員たちは、私のような永田町をフィールドにする記者たちに頻繁に接触し、選挙情勢から政治家の下ネタ・スキャンダルまであらゆる情報を聞き出そうとする。しかし、二〇年以上付き合いのある内調職員からたった一人の記者の素性を真顔で聞かれたのは初めてのことだった――。
映画『新聞記者』が六月二八日より全国でロードショー公開された。この映画の原案は菅義偉官房長官の会見で内閣に不都合な事実を突き付け、鋭い質問を浴びせ続ける望月記者の著書『新聞記者』(角川新書刊)だ。菅長官の嫌がる記者が原案者とあって、波紋を広げている。「忖度と服従」の安倍政治によって報道機関が委縮するほど、それに抗う望月記者の存在感が増し、人々の支持を集める――。筆者はこれを「望月衣塑子」現象と呼びたい。この映画が注目されるのは、取り上げること自体がタブー視されてきた内調を真正面から描いていることだ。本書の最終回で『新聞記者』について触れている。
「絶対的権力は絶対に腐敗する」。英国の歴史家ジョン・アクトンの言葉である。権限と予算の集中する所には必ず「腐敗」がまとわりつく。安倍一強政権の下で、忖度(そんたく)と腐敗の政治が続く。忖度とは広辞苑をひくと「他人の心中をおしはかること。推察」とある。官僚たちが安倍首相を忖度してしまう温床には内閣人事局がある。首相側近の内閣人事局長が局長級の人事に睨みを利かせるのだから、当然の現象なのかもしれない。しかし、この剣呑な流れにもう終止符を打たねばとの思いを、本書のタイトル『忖度と腐敗』に込めた。『憂国と腐敗』(二〇〇九年、共著)、『隠蔽と腐敗』(一八年、単著)と合わせた腐敗三部作はいずれも第三書館から出版された。
本書は、月刊誌『平和憲法レポート』に掲載された私のコラムを加筆してまとめたもので、テーマは東京新聞・望月衣塑子記者への官邸の圧力、モリカケ(森友学園、加計学園)事件、日本会議、武器輸出ラッシュ、特定秘密保護法、イージス・アショア、欠陥だらけの戦闘機F35、辺野古基地利権、西松建設、キヤノン、特捜部の証拠改ざん――等など多岐にわたるが、これらに共通するのは忖度と隠蔽と腐敗だ。特に毎年最大を更新する防衛予算を握る、防衛省と外局の防衛装備庁は自らを律することができるのか、今後も監視を続けたい。
関連リンク
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784807418787
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784807409013
上記内容は本書刊行時のものです。