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人類を熱狂させた鳥たち
食欲・収集欲・探究欲の1万2000年
- 書店発売日
- 2023年3月17日
- 登録日
- 2022年12月9日
- 最終更新日
- 2023年3月2日
紹介
人類の歴史が始まって以来、
私たちの信仰、科学、芸術、資源の源として存在し続けている鳥類。
精神と生命を支えてきたその生物を、
人はどのように捉え、利用し、そして保護しようとしているのか。
新石器時代の壁画に描かれた208羽の鳥から紀元前の哲学者が「予言者」として扱った鳥、
鷹狩りの歴史、ダ・ヴィンチが興味を引かれたキツツキの舌、
鳥が部位ごとに持つとされた薬効、一夫一婦制の真相、
海鳥の利用と個体数減少、長距離を移動する渡り鳥の研究など、
1万年以上にわたる人間と鳥の関わりを、イギリスを代表する鳥類学者が語り尽くす。
[書評]
ティム・バークヘッドは著名な鳥類学者で、優れた科学コミュニケーターでもある。
本書は、1万2000年にわたる鳥類との関わりを、鳥と私たちの視点から描いている。
鳥や鳥好きな人との個人的な出会いを、
巧妙な科学的厳密さを交えて意欲的な歴史研究を通じて、楽しげに語ってくれる。
――ティム・ディー(作家・ナチュラリスト・BBCラジオプロデューサー)
鳥と人との密接で時として驚くべき関係について一流の鳥類学者がしたためた魅力的な物語である。
――スティーブン・モス(作家・ナチュラリスト)
古代の時代からの鳥と人の関係を探るこの本は、衝撃的で、刺激と不思議に満ちている。
鳥と暮らす今日の私たちに痛烈な挑戦を投げかけてくれる。
――イザベラ・トゥリー(『英国貴族、領地を野生に戻す』の著者)
複雑な科学を魅力的で生き生きとしたスタイルで説明する著者の才能は高い評価を得ている。
――BBC Wildlife
目次
序文
第1章 新石器時代の鳥
鳥類学のゆりかごv 動物壁画の考察
第2章 古代エジプトの鳥
大量のトキのミイラの意味
墓壁に描かれた鳥
古代エジプトで見られた鳥
鳥のミイラの役割
第3章 古代ギリシャ・ローマにおける科学の黎明
生まれる子どもは誰の子か?
アリストテレスの方法
自然誌家プリニウス
古代ローマ人の珍味好き
鳥を通して見る世界
第4章 男らしさの追求──鷹狩り
バイユー・タペストリー
鷹狩りとステータス
装飾写本と鳥
フリードリヒの『鷹狩りの書』
アリストテレスの復活
鷹狩りに対する逆風
動物に対する敬意
第5章 ルネサンスの思想
キツツキの驚異の舌
解剖学的研究の発展
オオハシの真実を求めて
「有害鳥獣」の指定と駆除
鳥の薬効
第6章 科学の新世界
ターナーの鳥の絵
新しい科学の手法──観察と分類
ドードーの真の姿
魅惑の新大陸
ケツァールの輝き
先住民の鳥利用
ステータスとしての羽
植民地化による知識の搾取
自然科学と宗教のはざまで
第7章 海鳥を食べる暮らし
海鳥の楽園フェロー諸島
フェロー島民による鳥猟
ウミガラスの卵の味
銃がもたらした悲劇
フルマカモメを食べる
人語を真似るワタリガラス
セント・キルダ群島の場合
生きるための殺生
第8章 ダーウィンと鳥類学
セルボーンの博物誌とダーウィン
博物誌の読者たち
鳥を飼う利点──鳥の生態と人の思惑
神と自然選択
反ダーウィン論
カッコウという存在の矛盾
ラファエル前派と進化論
ジョン・グールドのハチドリ愛
第9章 殺戮の時代
裕福な青年鳥類コレクター
剥製ブームの到来
世界の大物コレクター
殺生とその正当化
収集活動と絶滅
コレクターの悲哀
収集欲と問われるモラル
博物館の存在意義
収集欲の果てに
第10章 バードウォッチング──生きた鳥を見る
観察して推論する
バードウォッチングの発展と標識調査
アマチュア鳥類学者の誕生
鳥好きの分類
鳥類学に向く人とは
鳥を記録する喜び
鳥を追跡する技術
第11章 鳥類研究ブーム──行動、進化と生態学
ある鳥好き夫婦の功績
ドイツの鳥類研究
ティンバーゲンによる動物研究の4つの指標
自然選択が働くのは個か種か
行動生態学の躍進
鳥類学と「利己的な遺伝子」
カササギの配偶者防衛
鳥類理解の深まり
第12章 人類による大量絶滅
消費の末の絶滅
海鳥保護のいきさつ
ファッションと羽
鳥類保護の第一歩
ウミガラスと私
ウミガラス研究の魅力
気候変動から受ける影響
長期研究の意義
エピローグ
新時代への転換点
自然への共感
心のときめきと科学
謝辞
訳者あとがき
図版クレジット
参考文献
原註
索引
上記内容は本書刊行時のものです。