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武士の絵画
- 初版年月日
- 2020年10月10日
- 書店発売日
- 2020年10月7日
- 登録日
- 2020年9月1日
- 最終更新日
- 2020年9月26日
紹介
江戸時代に生きた画家たちが憧憬した「文人」の精神や生き方を捉え、その絵画の成立背景を明らかにする。
明治の世となって西洋の哲学や思想が流入したことに加え、二十世紀半ばの大東亜戦争(太平洋戦争)敗北を承け、江戸時代における思潮の中心であった儒教的価値観は、結果的に前近代の悪しき身分制や封建主義の象徴と見做されるにいたった。その風潮は現在に至るまで影響を及ぼし、江戸時代の美術を論じるにあたっても、儒教的な解釈を必要とする作品に十分な考察が加えられないばかりでなく、場合によっては意図的に無視したり、その影響を矮小化してとらえる傾向すら存在している。歴史的事実を明らかにするために必要なのはイデオロギーではなく、当時において当たり前に存在した価値観をしっかり見つめることであり、それを理解すべく努めなければならないのは改めて言うまでもない。
このような状況を江戸時代に関する美術史研究の根本問題ととらえ、すでに我々からは縁遠くなってしまった儒教的価値観に注目し、十八世紀から十九世紀という時代をとらえ直せば、どのような歴史観が構築できるかとの観点に立ち、これまでに執筆した論考から数本を選んで本書にまとめることとした。(「序」より抜粋)
目次
序
Ⅰ 徳川吉宗と徂徠学派の絵画観
はじめに
第一章 八代将軍・徳川吉宗の中国絵画受容と狩野派
第二章 荻生徂徠の絵画観と文人精神の受容
第三章 服部南郭の絵画観と文人精神の受容
第四章 増上寺の学僧・忍海と復古思想
おわりに
Ⅱ武士の絵画と文人精神の展開-鑑戒と暢神-
はじめに
第一章 三河田原藩士・渡辺崋山と肖像画
第二章 美作津山藩士・関口雪翁と墨竹画
第三章 備後岡藩士・田能村竹田と山水画
第四章 備中鴨方藩士・浦上玉堂と山水画
おわりに
結
図版出典/初出一覧/索引
上記内容は本書刊行時のものです。