- ISBN
- 978-4-8038-0356-3
- Cコード
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C0095
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一般 単行本 日本文学、評論、随筆、その他
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2018年11月11日
- 登録日
- 2018年10月10日
- 最終更新日
- 2020年3月10日
書評掲載情報
2019-01-13 |
毎日新聞
朝刊 評者: 菊地信義(装幀家) |
2018-12-09 | 京都新聞 朝刊 |
紹介
織田作之助と川島雄三の共振、直木三十五と「ファシズム宣言」、佐藤春夫、中上健次を生んだ熊野と大逆事件~賀川豊彦の神戸労働運動、関西沖縄県人会~神戸モダニズムの空間、阪神間の建築表象を巡る考察~稲垣足穂、横溝正史……文学に始まって、映画、建築、または労働運動から前衛芸術まで。1920~30年代のメディアにおける文化表象を多様な角度から考察することで、「関西」という文化空間を立体的に捉えたまったく新しい〈関西学〉の誕生!
目次
まえがき
第一章 移動と差異化
酒井隆史 織田作之助と川島雄三
尾崎名津子 〈大阪人〉の視差──直木三十五「五代友厚」をめぐって
廣瀬陽一 金達寿における関西──〈神功皇后の三韓征伐〉と「行基の時代」
黒川創 小説『京都』に至るまで──土地と創作をつらぬくもの
【コラム】 福岡弘彬 ボロ・くず・ゴミ溜りの街、京都
第二章 場と営み
冨山一郎 宣言としての言葉をどう再読するか──関西沖縄県人会機関紙『同胞』を読む
辻本雄一 熊野新宮──「大逆事件」──春夫から健次へ
杣谷英紀 一九二〇年代前半の神戸労働運動と賀川豊彦──結節点としての労働学校・関西学院
【コラム】 磯部敦 言説としての奈良
第三章 メディアと文化環境
大橋毅彦 神戸モダニズム空間の〈奥行き・広がり・死角〉をめぐる若干の考察
永井敦子 一九二〇年代半ばの『神戸版』映画情報──新聞連載小説の映画化を中心に
島村健司 ロケーションへのまなざし──神戸一九二〇年代文学の背景・前衛芸術と郷土芸術の交差地点
【コラム】 荒井真理亜 関西のメディア人・北尾鐐之助
第四章 散種されるモダニズム
高木彬「理想住宅」と「煌ける城」──一九二〇年代・阪神間の建築表象をめぐって
山口直孝 複数の神戸を遊歩すること──横溝正史『路傍の人』のモダニズム
大東和重 昭和初期・神戸の文学青年、及川英雄──文学における中央と地方
【コラム】 季村敏夫『山上の蜘蛛』を書き始めた頃
あとがき
執筆者紹介
索引
版元から一言
吉本の笑い、道頓堀の食いだおれ、京都・奈良の名刹からハイカラな神戸……戦後のテレビ文化のなかで自然に出来上がってしまっている「関西」のイメージを、根底から覆す考察に充ち満ちた一冊です。元来「近畿」の「畿」は「みやこ」を表します。かのごとく、関西は歴史上、日本文化の中心を占めた地域でした。特に文学を始めとした豊かな「人文系」文化の蓄積は驚くべきものがあります。それらを立体的にとらえ、さまざまな角度から考察した論考をまとめた本書は、今後「関西」を語る上で素通りすることのできない本に仕上がっていると思います。