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基礎から鍛える量子力学 松浦 壮(著) - 日本能率協会マネジメントセンター
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基礎から鍛える量子力学 (キソカラキタエルリョウシリキガク)

ビジネス
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A5判
縦210mm 横148mm 厚さ28mm
424ページ
定価 2,700 円+税   2,970 円(税込)
ISBN
978-4-8005-9252-1   COPY
ISBN 13
9784800592521   COPY
ISBN 10h
4-8005-9252-6   COPY
ISBN 10
4800592526   COPY
出版者記号
8005   COPY
Cコード
C3041  
3:専門 0:単行本 41:数学
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2024年8月27日
書店発売日
登録日
2024年7月5日
最終更新日
2024年9月10日
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紹介

本書は、基礎となる数理・物理から出発し、丁寧なステップを積み上げながら、量子力学のスタンダードな計算を自分の手で実行できるようになることを目指す、独習可能な教科書です。
• 言葉や雰囲気だけの量子力学では飽き足りず、
• 誤魔化しなく、自分の言葉で量子力学を理解したい、
• けれども、専門書の行間を埋めながら読むのはちょっとつらい ⋯
という方を想定しています。社会に出てから改めて学びたくなった方や、量子力学に初めて触れる大学生がちょうど当てはまるでしょう。高校数学から説明しているので、学ぶ意欲があれば高校生でも読めるはずです。

大まかな構成は以下の通りです。
出発点は古典力学です。古典と侮ることなかれ。ニュートンの運動方程式を突き詰めると、「時間発展はハミルトニアンによって生成される」という理解に到達します。この構造は、量子力学にそのまま受け継がれる非常に重要なものであり、量子の世界へのアクセスポイントになります。
続いて、量子を表現するために必要な数理の代表格、線形代数の基礎を構築します。具体例を用いて、ベクトルの本質が線形性にあることを学び、それを自然に抽象化することで、量子の道具であるベクトルと線形演算子の概念を手に入れます。これらの理解を総合し、ハイゼンベルク形式の量子力学、別名行列力学を構成することが前半の目標です。
ハイゼンベルク形式は、古典力学との接点が見やすい半面、少々扱いづらいのが難点です。そこで私たちは、量子力学を、より扱いやすいシュレディンガー形式、別名波動力学に書き換えます。これによって、いわゆる「シュレディンガー方程式」という、扱いやすい微分方程式を通じて量子力学を扱えるようになります。
ここから先は、論点が「量子力学を構成すること」から「完成した量子力学を使って自然現象を説明すること」にシフトします。量子力学で説明できる自然現象は多岐にわたりますが、本書では、シュレディンガー方程式が手計算で解けて、量子の典型的な特性を学べる題材に絞ります。具体的には、外力が働かない自由粒子、ポテンシャル障壁をすり抜けるトンネル効果、解ける量子系の典型例である調和振動子、そして、量子力学の金字塔である水素原子について個別に解説します。
これらをひと通り学び終えた暁には、皆さんは自信を持って、「私は量子力学の基礎を修めた!」と言えるようになることでしょう。

目次

第1章 日常の底にあるもの ~位置と速度~
1.1 ひとつの実験からみえること
1.2 「位置」の背後の経験則
1.3 速度・加速度/微分・積分
1.4 もう一歩踏み込んだ微分と積分
1.5 位置が決まれば速度が決まる?

第2章 ニュートンからハミルトンへ ~古典力学の洗練~
2.1 力と運動方程式
2.2 力と仕事とポテンシャル ~保存力~
2.3 ハミルトン形式の古典力学
2.4 ポアソン括弧の数学構造

第3章 量子の表し方 ~重ね合わせの原理~
3.1 量子の「状態」
3.2 「同時存在」を表すアイディア
3.3 確率振幅
3.4 重ね合わせの原理
3.5 数からベクトルへ

第4章 ベクトルことはじめ ~矢印で表されるベクトル~
4.1 ベクトルはブラケットで
4.2 まずは見慣れた定義から
4.3 矢印ベクトルとその表現
4.4 矢印ベクトルの線形和
4.5 矢印ベクトルの長さと内積
4.6 共役ベクトルと内積
4.7 どうしてこんな面倒なことを?
4.8 矢印ベクトルの間の角度と内積
4.9 内積の4条件
4.10 一次独立性 ~基底と次元~
4.11 正規直交基底
4.12 正規直交基底での展開とベクトルの成分表示
4.13 矢印からの脱却

第5章 本当のベクトルの世界へ ~ベクトル空間~
5.1 線形性によるベクトルの定義
5.2 こんなものまでベクトルに!?
5.3 内積
5.4 内積の具体例
5.5 ベクトルの直交性
5.6 一次独立
5.7 ベクトル空間の基底と次元
5.8 基底と次元の具体例
5.9 正規直交基底
5.10 ベクトルの成分表示とエルミート共役
5.11 ブラケット表記による基底の簡略化

第6章 ベクトルをあやつるもの ~線形演算子~
6.1 ベクトルからベクトルへの写像
6.2 線形演算子
6.3 線形演算子の成分表示 ~行列~
6.4 行列の成分ベクトルへの作用
6.5 線形演算子の非可換性と交換子
6.6 X^とd/dxの交換子
6.7 交換子が満たす4つの性質
6.8 逆変換と逆行列
6.9 行列と連立方程式

第7章 量子を表す道具たち ~固有値・固有ベクトル・エルミート演算子~
7.1 固有値と固有ベクトル
7.2 固有値と固有ベクトルの計算例
7.3 X^の固有ベクトルとディラックのデルタ関数
7.4 微分演算子の固有ベクトルと指数関数
7.5 演算子のエルミート共役とエルミート演算子
7.6 代表的なエルミート演算子
7.7 エルミート演算子の固有値と固有ベクトル
7.8 エルミート演算子の交換子と同時固有状態
7.9 ベクトルの確率解釈

第8章 量子力学の完成 ~行列力学~
8.1 ベクトルとしての量子状態
8.2 位置表示の確率解釈
8.3 状態ベクトルの規格化
8.4 物理量としてのエルミート演算子
8.5 運動量表示
8.6 量子力学の目的
8.7 古典から量子へのジャンプ
8.8 ハイゼンベルク表示での量子力学
8.9 運動量演算子の位置表示
8.10 不確定性関係
8.11 時間発展演算子とハイゼンベルク方程式の形式解

第9章 シュレディンガー形式へ ~波動力学~
9.1 シュレディンガー表示
9.2 1次元シュレディンガー方程式
9.3 位置表示での1次元シュレディンガー方程式
9.4 3次元シュレディンガー方程式
9.5 運動量表示の波動関数
9.6 波動力学

第10章 シュレディンガー方程式をどうやって解く?
10.1 エネルギー固有状態による変数分離
10.2 エネルギー固有状態の規格化と確率解釈
10.3 波動関数の接続条件

第11章 自由粒子
11.1 古典的な1次元自由粒子
11.2 1次元自由粒子のシュレディンガー方程式
11.3 シュレディンガー方程式の解
11.4 解の別表記
11.5 エネルギーと運動量の関係
11.6 運動量固有状態との関係
11.7 自由粒子の波動性
11.8 位相速度
11.9 位相速度と粒子の速度
11.10 粒子の速度を見る簡単な例
11.11 波束と群速度
11.12 境界条件による“量子化” ~1次元の箱~
11.13 3次元の自由粒子と電子の二重スリット実験

第12章 定数ポテンシャルとトンネル効果
12.1 シュレディンガー方程式とその解
12.2 一般的なポテンシャル中の波動関数
12.3 トンネル効果
12.4 ガモフの透過因子

第13章 調和振動子
13.1 古典的な調和振動子
13.2 シュレディンガー方程式
13.3 正攻法による解法
13.4 生成・消滅演算子による解法
13.5 調和振動子の運動

第14章 水素原子
14.1 水素原子についてわかっていること
14.2 水素原子のシュレディンガー方程式
14.3 運動の分解
14.4 回転と角運動量演算子
14.5 ハミルトニアンの分解
14.6 角運動量の固有状態
14.7 極座標と球面調和関数
14.8 動径方向の波動関数
14.9 演算子を使った解法
14.10 水素原子の“形”
14.11 水素原子の発光スペクトルと自然科学としての量子力学
14.12 電子と光の相互作用

著者プロフィール

松浦 壮  (マツウラ ソウ)  (

慶應義塾大学 商学部教授 日吉物理学教室所属
1974年生まれ。1998年、京都大学 理学部卒業。2003年、京都大学大学院で博士号(理学)を取得。その後、素粒子物理学者として日本、デンマーク、ポーランドの研究機関を渡り歩き、2009年、慶應義塾大学商学部勤務、2016年から同大学教授。研究テーマは、超弦理論やグラフ理論を使ったゲージ理論の解析。研究の傍ら、自然科学を専門にしない学生を対象に物理学の講義を行う。趣味は、武術、水泳、クラシックギターなど。著書に『時間とはなんだろう』『量子とはなんだろう』(ともに講談社ブルーバックス)、『宇宙を動かす力は何か』(新潮新書)など。

上記内容は本書刊行時のものです。