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ピアノ演奏への道 ニキタ・ユジャニン(著) - スタイルノート
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ピアノ演奏への道 (ピアノエンソウヘノミチ) 創造的なピアノ教育について (ソウゾウテキナピアノキョウイクニツイテ)

芸術
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A5判
136ページ
並製
価格 2,800円+税
ISBN
978-4-7998-0204-5   COPY
ISBN 13
9784799802045   COPY
ISBN 10h
4-7998-0204-6   COPY
ISBN 10
4799802046   COPY
出版者記号
7998   COPY
Cコード
C1073  
1:教養 0:単行本 73:音楽・舞踊
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年10月17日
書店発売日
登録日
2023年10月4日
最終更新日
2023年10月25日
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紹介

コンサートピアニストとして「ステージでの演奏」とは何かを熟知し、50年以上にわたる指導歴の中で数々の主要な国際ピアノコンクールの受賞者を輩出した著者。手の故障などで演奏を断念したピアニストをステージにカムバックさせる特別なメソッドを開発し、ピアニストの身体的・心理的特性も含む個性を最大限に開き、演奏表現へと繋ぐ方法を理論と実践両面において創り上げ、成果を出してきた創造的な提案の書。

・音楽とは――作曲家のメッセージを読み解く
・ピアノの為のアーティスティックなテクニック
・個人の身体と心の特性を生かすメソッド
・創造的な師弟関係
・音楽における趣味のよさを教育する
・全く新しいタイプの音楽作品へのアプローチ
・手の故障を克服してステージに返り咲くために
といった観点から、全ての知性あるピアニスト、学習者、ピアノ教育者へ、創造的な考え方を提案する。また、著者の20年以上にわたる日本におけるピアノ教育の経験と研究から、特に日本人の身体的・心理的な特性の傾向と対策についても触れられている。画期的なオリジナル日本語版。

目次

はじめに

第1章 音楽とは
 1 音楽というユニークな現象
  (1) 「音楽とは何か」を考えてみる
  (2)音楽における「形」と「イメージ」
  (3)音楽的なイントネーション
 2 楽譜について
  (1)楽譜から作曲家のメッセージを読み取る
  (2)音楽の言語としての楽譜
  (3)エディションについて
     (1)エディションのタイプ・(2)フィンガリングについて・

第2章 メソッドとピアノ指導法のタイプ
 1 ピアノメソッドの目的
 2 ピアノメソッドの様々な側面
 3 様々なタイプの生徒たち
 4 コンサートピアニストの教育

第3章  ピアノ演奏テクニックについての考察
 1 テクニックとは
 2 「身体のパート」と「全身」の相互作用
  (1)演奏時の全身の筋肉のコネクションとエネルギーの循環
  (2)身体のポジションについての考え方
  (3)演奏時に身体が固くなる現象:原因と対策
 3 タッチ・打鍵テクニックの基本
  (1)タッチ・打鍵とは
  (2)基本の手のフォーム
  (3)タッチ・打鍵における基本的な考え方
 4 練習について
  (1)練習の目的。何を目標として練習するのか
  (2)聴くことによるコントロール
  (3)身体感覚によるコントロール
  (4)練習において避けた方が良いこと

第4章 演奏を原因とする手の障害
 1 故障の主な原因
 2 症状の発生・進行のプロセス
 3 身体と演奏法を変え、不調を克服するには
 4 ピアノ演奏の技術的な問題と手の故障などを克服した事例

第5章 ペダルについて
 1 人の心に深い影響を与えるペダルの効果
 2 ペダル用法の二つの側面
 3 解釈と条件から導かれるペダルの用法の多様性
 4 ペダル用法の現状と可能性
 5 ペダルのタイプとその習得段階について
 6 ペダリングのテクニックの問題を解決するには
 7 ペダリングの実践上のポイント
 8 足・踵のペダルに対する向きやポジションについて
 9 左ペダル(una corda)の機能と使い方の問題
 10 左のペダルに関する記述法の問題点
 11 高度なペダルのテクニックについて

第6章 ピアノ教育における師弟関係
 1 日本人のメンタリティーとピアノ教育
 2 師弟間の相互関係
 3 ピアノ教育の心理的側面
 4 高い芸術的成果を生み出す師弟関係

第7章 音楽における美意識について
 1 美における「好み」とは何か
 2 美の教育は可能か
 3 芸術における評価の二面性
 4 日本人の持つ美的センス
 5 美意識の教育

第8章 音楽の「今」とピアニストの新しい課題
 1 異なる国や民族の文化と音楽言語
 2 現代社会と音楽の様相
 3 ピアノ演奏と教育の新しい課題

Summary
あとがき

前書きなど

 この本の内容や構成は、一般的なピアノメソッドの本とは異なるものになっています。
 このそれほど大きくはない本の趣旨は、ピアノ演奏における様々な面についての主体的な理解と創造的な考え方を促す「試み」です。ピアノ音楽、ピアノ演奏とそのための教育における様々な側面について、よりよく知りたい、理解を深めたいと望んでいる全ての知性ある賢明なピアニスト、学習者、ピアノ教師への一助になることができれば、というのが私の思いです。
 この目的のために、様々な違った「道」「方法」を示すことができると思います。例えば「音楽」という、私達が演奏するものの現象の本質とは何なのか、また、それが人の感情や思考に与える説明し難い大きな影響はいかに起こるのか、といったテーマについても、できるだけ分かりやすい言葉で平易に記述することを試みています。このような問題について真剣に思索してみることで、ピアノ演奏においての新しく深い理解と進展をもたらすことができるはずだからです。
 ピアノ演奏や音楽に関しての、様々な本質的な問題について厳密に述べようとすると、言葉の限界という壁に突きあたります。これは日本語に限らず、いかなる言語においても等しく起こる問題で、音楽やピアノ演奏に関する、あらゆるアイディアや概念の一つひとつを名付けるはっきりした言葉・定義というものが、一般的に存在していないからです。
 例えば「ピアニストの職業病(手の故障など)に関する問題解決」は、身体面に関わる指導・教育の「実践的な」領域です。 しかし私が知る限り、今までのピアノメソッドにおいては触れられておらず、その定義や原因についての十分な記述がありません。これは定まった言葉の使い方がまだない領域なのです。ですから、このような特殊で非常に難しいタイプの事柄についての「記述」が、読者にとって、ある程度理解しうるものとなっていれば……と念じています。
 また、この本の規模と形には収めることのできない「コンサートピアニストの教育」に関する、複雑で「精妙」の域に属する様々な分野のテーマは他にもまだたくさんあります。例えば、「ヴィルトゥオージティ(技巧の名人的な卓越)」や「芸術的才能を伸ばす」ということについて。また、コンサートのステージでの演奏における「聴くコントロール」や「無意識的な不安」を含む、聴衆を前に演奏する際の「不安」という心理的問題について。また、演奏家から聴衆に向かって流れ、その心を強く捉え、最後まで逸らさせない「心的エネルギー」の教育。非常に繊細な音のグラデーションを創り出すことのできる「最高度のテクニックの洗練」というような、芸術的でありながら非常に実践的な問題もあります。さらには、感情と社会心理の領域に入る「ピアニストと聴衆の間の相互作用」についての、非常に大きくまた複雑な問題もあります。これは、音楽に対して異なった感受性を持つ様々なグループに対しての、演奏が与える影響・作用の違いの認識を含めた演奏教育という、実践面でも非常に大事な問題です。これもまた、異なった社会や文化水準に属するグループの、また国際的に見て異なった国民的・民族的メンタリティーを持つ聴衆についての理解をも含めた、大きなテーマです。
 そしてもう一つ、ピアノという楽器の場合だけに限定的で、非常に特殊な「音の創出」についての領域があります。それはペダルです。これは他の楽器にはないもので、唯一ピアノだけが、この全く違った次元の特殊な音の「色彩」を創ることのできる機能を備えているのです。厳密にいうと、今日のピアノには右、左、中央(例外的な場面で非常に稀まれに使われるにとどまる)の三つがあります。プロのピアニストは、これらのそれぞれの効果と組み合わせ方や、アーティスティックな使い方についての専門的な教育を受ける必要があります。また、ペダルのプロフェッショナルな使用における二つの重要な側面:ペダルを1)Where:楽曲の「どこで」また「どのタイミングで」使うのか、また2)How:「技術的」に身体を「いかに」使って踏むのか―について知ることも必要です。また、ピアノのテクニックの中でも「ペダルのヴィルトゥオーゾ・テクニック(名人芸的な卓越した技巧)」は、指導するのが最も難しいものの一つでもあります。この極めて複雑でありながら興味の尽きない領域―ピアノの「音」の中でも「魔術的な」といってもよいほど特別な「ペダル」については、できれば将来あらためてまとまった研究として発表したいと考えています。
 ここに挙げた様々な側面の一つひとつが、ピアニストの高度な教育の実践に関わり、コンサートでの「大きな成功」に繋がってくる大きなテーマです。しかし、これらの全てが同時に―つまり心理面と技術面、また楽器の機能や社会的な面など、様々な面の作用が一体となって働いてはじめて、真の成果を生むことができるのです。

著者プロフィール

ニキタ・ユジャニン  (ニキタ ユジャニン)  (

 国際的に高名なピアノ教授。ロシア、サンクト・ペテルブルグにてP.セレブリャコフに、モスクワにてG.ネイガウスに師事、またN.マガロフ、E.ギレリス、J.フリエール他の著名なピアニストの薫陶を受けた。音楽及び理学(哲学と心理学)の博士号を取得。また、国立研究所(当時レニングラード)で職業病と外傷のための特別な教育を受けた。
 1968年にサンクト・ペテルブルグ音楽院の教授に就任、以来26年間同職(内10年間は学部長)を務めた。1987年より国立グネーシンアカデミー(モスクワ)、中央フィンランド音楽院の教授を兼任。
 2000年より長年にわたり神戸女学院大学、昭和音楽大学、トロッシンゲン音楽大学(ドイツ)、サンクト・ペテルブルグ音楽院(ロシア)の客員教授を歴任。
 音楽大学・大学院からプロのピアニストのレベルにおいての教授の傍ら、氏は常に才能ある子供や若いピアニストたちの教育を、サンクト・ペテルブルグ及びモスクワの特別学校にて、また世界各国におけるマスタークラスで続けてきた。また、氏の広範にわたる教育業の中で、身体的・心理的な問題に悩むピアニストへの指導は重要な一部を占め、これらの問題を解決するための特別なメソッドを開発した。ユジャニン氏の指導に助けられ、一度は演奏を諦めた多くのピアニストがステージへのカムバックを果たした。
 リサイタルや主要なオーケストラとの共演(V.ゲルギエフ、M.ヤンソンス、I.ムーシンなどの著名な指揮者のもと)などの演奏と、マスタークラスでの指導におけるユジャニン氏の活動範囲は西欧・東欧諸国、南北アメリカ、ロシア、イスラエル、日本、中国、韓国、中央アジア、中近東、コーカサス地方、アフリカなど、世界各地の多くの国々に及ぶ。氏の国際的な活動はまた多くの音楽祭や国際・国内ピアノコンクールの主催、また芸術監督や審査員としての仕事も含む。
 氏はこれまでにピアノ音楽(解釈、演奏、指導など)、哲学及び美学の領域で30以上の論文・記事を学術誌や音楽雑誌に発表した(ロシア、ドイツ、ウクライナ、フィンランド、日本、韓国)。 ユジャニン氏の多くの生徒が著名な国際コンクールで入賞、また現在様々な国(ロシア、フランス、ドイツ、アメリカ合衆国など)でコンサートピアニストとして、またピアノ教授として活躍している。現在、フィンランドに在住。

石井 久美子  (イシイ クミコ)  (編著

 埼玉県出身、東京都在住。日本国内の音楽大学を卒業後、サンクト・ペテルブルグ音楽院 Postgraduate Courseunder Nikita JUZHANIN修了。1999年よりニキタ・ユジャニン教授に師事しピアノ演奏法、教授法を学ぶ。2009年より現在までユジャニン教授のマスタークラスにて助手を務め、指導にあたっている。国際ショパンシンポジウム、国際バッハシンポジウム、国際ラフマニノフシンポジウム(アメリカ)、国際ピアノシンポジウム(ドイツ)に参加しコンサートに出演、フィンランドや東京でのソロリサイタルなど、国内外で演奏活動を行っている。MaestroJapan主宰。

永木 早知  (ナガキ サチ)  (編共訳

 東京藝術大学、英国王立音楽大学大学院卒業後、中央フィンランド音楽院にてニキタ・ユジャニン教授に師事、同音楽院にて氏のアシスタントを務めた。ロンドンでのデビューリサイタル以来、ヨーロッパ、ロシア、日本、南北アメリカ、中近東にてオーケストラとの共演やソロリサイタル、室内楽など幅広い演奏活動と、CD、ラジオ、テレビ放送への録音を行っている。同時にこれまで日本、英国、フィンランド、ドイツにおいて、才能ある子供のための音楽学校から音楽院に至る様々な教育機関で、また2003年よりドイツ、テュービンゲン市にPiano College Maestroを開き、指導をしてきた

上記内容は本書刊行時のものです。