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音楽鑑賞指導入門 山﨑 正彦(著) - スタイルノート
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音楽鑑賞指導入門 新時代への音楽鑑賞指導のあり方と指導法 特別活動・総合的な学習への展開もふまえて

A5判
208ページ
価格 2,400円+税
ISBN
978-4-7998-0175-8
Cコード
C1037
教養 単行本 教育
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年9月26日
書店発売日
登録日
2019年8月30日
最終更新日
2019年9月20日
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紹介

音楽の授業で必ず行われる音楽鑑賞の授業。音楽鑑賞指導が苦手という先生も多いという。学習指導要領における音楽科の指導内容は大きく「表現」と「鑑賞」に分けられていて、その音楽鑑賞指導を避けて通ることはできない。本書では、鑑賞指導が児童生徒を対象とする学習指導であり、学力を保障しその定着度を評価しなければならないものとして指導法を解説。客観的な音楽鑑賞指導の方法をわかりやすく説明している。授業を受ける児童生徒全員が指導に際して掲げられた何らかの「ねらい」に即して学習活動に取り組み「学び」を実現するにはどうしたらよいのか。小学校、中学校、高校での指導事例、邦楽の鑑賞指導事例も収載されており、音楽鑑賞指導のガイドブックとしてすぐに活用できる。

目次

Ⅰ.音楽鑑賞指導とは
  1.音楽鑑賞と音楽鑑賞指導の違い
  2.音楽鑑賞指導は「誰もが聴きとれること」から
  3.教材とは そこに鳴り響いた音そのもの
  4.音楽鑑賞指導において可能なことと無理なこと
  5.知覚と感受について

Ⅱ.音楽鑑賞指導を「指導」として成立させるための基本的な考え方
  1.ねらいの焦点化
  2.ねらいの焦点化とは 「ピンポイント化」
  3.「教えられること」には3点ある
  4.(1)「音自体に即したもの」とは
  5.(2)「作曲家が表そうとした情景」とは
  6.(3)「演奏家が意図した表現」とは
  7.(4)「その音楽の背景」とは
  8.発問と授業ステップ
  9.「答えは音・音楽にある」
  10.再び発問と授業ステップ
  11.学習指導要領(平成29年告示)での指導事項

Ⅲ.音楽鑑賞指導の学習評価についての考え方
  1.指導内容・学習活動・学習評価の整合性
  2.評価についての考え方 国語科を例に
  3.音楽鑑賞指導における知覚
  4.知覚の見取りの規準の例
  5.感受の見取りの難しさ
  6.評価規準があっても……
  7.主観を評価するということ
  8.学力としての曖昧さ
  9.知覚との関連づけが必須
  10.指導内容と学習活動と学習評価
 コラム「スポーツと音楽鑑賞」

Ⅳ.音楽鑑賞指導の指導上の留意点
  1.知覚と感受の関わり その順番性
  2.感受から知覚 それまでの音楽経験がものをいう
  3.知覚と感受/感受と知覚 両者の関係性における注意点
  4.感受には注意が必要
  5.言語活動について 安易に結果を求めない
  6.感受には教師の潔い割り切りも必要
  7.音楽科における言語活動は精神行為 ゆえに慎重に
  8.「味わう」について
  9.「思考力・判断力・表現力」と知識
  10.永続的な学力 「音楽との関わり方」について
  11.永続的な学力 「児童生徒の感情に残る生涯学力」
  12.児童生徒の理解 学ぶために音楽を聴くということについて

Ⅴ.音楽鑑賞指導の事例
  小学校低学年 事例
  小学校高学年(または中学校) 事例
  中学校(または小学校高学年) 事例
  中学校 事例
  中学校 事例

Ⅵ.音楽鑑賞指導と総合的な学習の時間、特別活動
 ○総合的な学習の時間における音楽学力のさらなる発展
  1.音楽科指導事項についての留意点 時間芸術である音楽ならではの難しさ
  2.学校の教育活動について
  3.総合的な学習の時間における「音楽科と社会科の関連」がもたらす展開
  4.「探究的な見方・考え方/横断的/総合的」について
  5.「永続的な学力」と「実社会や実生活で活用できること」
 ○特別活動における音楽学力のさらなる発展
  1.特別活動について
  2.特別活動において鑑賞指導による学力が生きる活動(学級活動を例に)
  3.特別活動において鑑賞指導による学力が生きる活動(生徒会活動・児童会活動を例に)
  コラム「長い人生の中で」

Ⅶ.音や音楽に答えがある
  1.大人になって知っていたほうが良い音楽はまだまだある!
  2.音楽鑑賞指導における映像の使用について(1)
  3.音楽鑑賞指導における映像の使用について(2)

Ⅷ.音楽鑑賞指導についての悩みは尽きないけれど
  1.「音楽鑑賞指導は難しい」と言われるが
  2.音楽鑑賞指導の評価の難しさ
  3.音楽鑑賞指導の方法はすでに学習指導要領解説にも示されている
  4.誰にも同じことが聴きとれ、わかることを忘れない
  5.誰にも聴きとれる「強弱」を例に
  6.諸要素の知覚が目的ではない
  7.音楽鑑賞指導は教師自ら楽曲の特徴を聴き取ることから
  8.自らの確信に行き着けたら大丈夫
  9.生涯学力の保障のためにも

前書きなど

 学校教育になぜ音楽科があるのか。我々にとり重要な問いです。
 音楽を趣味として、音楽に満たされて日々を過ごしている人も少なくないと思います。それなのに、どうして学校で音楽を学ぶのでしょうか。高等学校入学試験の教科でもなく、大学入学試験の科目でもありません。それはその段階での音楽の学力を測ることに意味がないからです。
 それでも音楽科は学校の教科です。その学びによる学力は、先のように高等学校や大学の入試に直接的には関わりがなくとも、例えば、中学校を卒業してから後の人それぞれの人生に大きな意味をなすものです。人々が生き抜く生涯を、より明るく豊かにするために必要なのが音楽学習による学力です。
 もちろん、学校教育ですから「学習のねらい」をさだめ、それを達成するための学習活動を工夫し「前時よりは本時」「本時よりは次時」というように、思考・判断の学力や技能の学力等を児童生徒から見えやすく納得しやすいように身につけさせることが責務です。
 ただ、忘れてはならないことは、それらのみが音楽学習のゴールではないということです。中学校3 年生が音楽科教育のひとつの区切りとはなりますが、音楽というものを組織的・系統的に学ぶことのない、その先の長い人生の折々に、中学校までに身につけた音楽の学力が折に触れて花開くようにしておくことが、我々に与えられた、実は大切な使命なのではないでしょうか。上級学校への進学のためにではなく、人それぞれの人生がより豊かになるように、児童生徒が30 代、あるいは50 代になったときに意味をなすことになる音楽の学力を、我々は彼らに身に付けさせるのです。
 音楽科教育では、児童生徒は音や音楽に触れて学ぶことになります。「聴く・歌う・奏でる・つくる」などの経験を通して、初めて学びが叶うということになります。彼らは音や音楽に自らの心を向ける必要がありますし、体や頭も使います。そして、幸いなことに、我々が教材とするその音や音楽は、うまくすると人々の心に残るものです。心に残るということは、簡単に消えるものではないということを意味しています。頑張って覚えても数日もすれば忘れてしまうことの方が多い記憶の学びと全く次元の異なるものです。
 その経験の学びのなかで、特に重要なのが音楽鑑賞の学びです。楽曲を歌うにせよ、楽器を奏でるにせよ、その前に、もしくはそれと同時に、音を聴き音楽を聴くことが必要になります。音や音楽を聴かなければ何も始まらないのです。ですから、その音や音楽をどのように聴くのか。音や音楽の何に注意を払って聴くのか。これらのことに学びとしての意識が向けられていることが音楽科の授業では大切なことになります。そして何より、聴いたその音楽の良さ、もしくは美しさに心動かされる経験を数多く経ることです。
 その経験の学びにより、児童生徒の「聴くことができた!」「この曲から感じとれたことがたくさんあった」「わけもなく涙が流れた」というような思いを引き出すことが可能となります。そのように、音楽を聴いての学びの意味を彼らが実感できるなら、それらが次の動機づけともなり、引き続き、その学びを蓄積していくことも可能になります。それは少なくとも、中学校3年生まで可能です。
 仮に、小学校、中学校の9年間に音や音楽に溢れた経験を通した学びが実現できていれば、彼らの人生のどこかで花開く種が数多く蒔かれていることになるのではないでしょうか。
 本書では、音楽鑑賞指導について、どのようにすれば児童生徒の人生に資する授業とすることができるのか、さらには、先に触れたように、なぜ音楽科が必要なのかをできるだけわかりやすく解説したつもりです。本書を通じて、教師のみなさん、あるいはこれから教師になろうとしているみなさんが、音楽鑑賞指導について、さらに音楽科について、より考えを深めていただくことができれば、著者にとっても望外の喜びです。

版元から一言

音楽の授業で音楽鑑賞は欠かすことのできない重要な分野です。その音楽鑑賞指導を考えるとき、「音楽鑑賞と音楽鑑賞指導は違う」という点が大切です。音楽鑑賞では、その音楽をどう感じようとどう思おうと個人の自由ですが、音楽鑑賞指導は授業ですから、これは学校における教育活動を意味することになります。そして、授業である以上、評価も避けて通れません。この評価も鑑賞指導では難しい部分であるようです。感想文を書かせて文章が長いほど評価が高いというわけにもいかないでしょう。

本書では、音楽鑑賞指導の基本的な考え方から説明し、さらに、実際の授業をどう行ったらいいか、小学校、中学校、高校の指導事例も掲載しました。そして、評価はどうすればよいのかも解説しています。いずれも、読みやすくわかりやすい説明となっているので、多くの先生方に参考としていただけると思います。主観的な鑑賞指導から客観的な鑑賞指導へ、という考え方で、音楽鑑賞指導が苦手という先生でも苦手意識を克服できるきっかけとなるかもしれません。

著者プロフィール

山﨑 正彦  (ヤマザキ マサヒコ)  (

長野県生まれ。中学校、高等学校、小学校の教員を経てから武蔵野音楽大学大学院音楽研究科に入学し音楽教育学を専攻。修了後、武蔵野音楽大学音楽教育学科講師として後進の指導にあたっている。現在、武蔵野音楽大学(音楽総合学科)専任講師、東邦音楽大学(教職実践専攻)非常勤講師。主な研究領域は教員養成と音楽鑑賞指導。これまでに小学1年生から大学生までのすべての学年での教育経験があり、現在、幼児教育現場における指導アドバイザーも行っている。音楽鑑賞指導に関しては、2006年より全国各地で指導方法などについての講演を行ってきている。

上記内容は本書刊行時のものです。