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幸福と人生の意味の哲学 山口尚(著/文) - トランスビュー
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幸福と人生の意味の哲学 なぜ私たちは生きていかねばならないのか

四六判
272ページ
価格 2,400円+税
ISBN
978-4-7987-0170-7
Cコード
C0010
一般 単行本 哲学
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年5月20日
書店発売日
登録日
2019年4月12日
最終更新日
2019年5月27日
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紹介

「絶望することにも絶望するとき、私たちは『幸福という神秘』に包まれる」
――中島岳志 氏 推薦!


「不幸なのに、どうしようもなく苦しいのに、死んだ方が楽であるのに、
なぜ生きていかねばならないのか?」
……そう問う人に、あなたならどう答えるか。

身近な人の死や貧困、いじめ、そして大きくは戦争や自然災害など、この世は苦痛や痛みで溢れている。
もちろん、比較的幸福な人生を送る人も少なからずいるだろうが、その人たちとていつか不幸に陥るかもしれない。
そもそも他人から見て「幸福」な人生であったとしても、「何のために生きているのか」という人生の意味に悩まされるのが人間だともいえる。その点で、幸福と人生の意味とは密接に関連している。
では、いったい幸福とは何か? 人生の意味とは何なのか?
本書は、そうした問いに哲学の観点から答えようとするものである。

人は誰も「不幸の可能性」から逃れられない。
「どうせ死ぬのだから、人生は無意味だ」ということも、哲学的には正しい。
しかし、その「絶望」を超えて、なお人生が生きるに値すると示しうるならば、それはどのようにしてか。
パスカル、カント、ウィトゲンシュタイン、ネーゲル、中島義道、長谷川宏、船木英哲ら古今の思想家やトルストイ、カミュ、中島敦ら文学者の言葉を手掛かりに、私たち一人ひとりが人生と向き合うための思考の軌跡を示し、哲学の新たな可能性を拓く。

目次

はじめに

第1章 幸福の難しさ

第1節 幸福のどうにもならない側面

(1)この世の不幸
(2)なぜ生きていかねばならないか
(3)幸福の外在的側面
(4)幸福と幸運

第2節 幸福の内面化

(1)「外在的幸福」の不安定さ
(2)ストア派の幸福論
(3)不幸は考え方次第なのか
(4)意のままにならぬ内面――回復と時間

第3節 幸福の幻想性と脆弱性

(1)幸福のうちに見出される傷
(2)生きることと苦しめること
(3)〈幸福〉と〈現実から目を逸らすこと〉
(4)パスカル・ラッセル・長谷川の幸福論

第2章 人生の無意味さ

第4節 死と人生の意味

(1)幸福をめぐる問題と人生の意味をめぐる問題
(2)人生と世界の違和感
(3)どうせ死んでしまう
(4)生きてる間は楽しまなくっちゃ

第5節 国家や歴史は人生に意味を与えるか

(1)人生の意味と人間を超えた何か
(2)人生の意味と自殺
(3)国家・歴史・人生の意味
(4)人間がもつ〈一歩退く〉という知的能力
(5)国家や歴史を相対化しうることの必然性

第6節 物質と〈ただ在るに過ぎないこと〉――世界は絶対的に無意味か

(1)人生の意味と唯物論の問題
(2)一切はただ在るに過ぎない
(3)存在の脱意味化
(4)船木英哲の絶対的無意味

第3章 有意味さの不可避性と相対性

第7節 人生の不条理とアイロニーを伴った生き方

(1)絶対的な無意味さの不可能性
(2)人生の意味と無意味をめぐる不条理
(3)この不条理な生をどう生きるか――アイロニーの勧め
(4)李陵のアイロニカルな生き方

第8節 アイロニーと人生の意味

(1)自分自身の価値観との距離
(2)アイロニストがテロや暴力に反対する際の〈どっちつかずさ〉
(3)渡部昇一のアイロニー欠如
(4)アイロニーの意義
(5)アイロニーと人生の意味

第9節 「有意味な生とは何か」への応答

(1)語りえぬものを大切にする姿勢
(2)直接語らないこと
(3)メッツ批判
(4)伊勢田批判
(5)戸田山批判

第4章 幸福の可能性と現実性

第10節 幸福と語りえぬもの

(1)森村への「複層的」批判
(2)「分からない」という結論
(3)書かれている以上のことが何も染み出してこない
(4)すべてが美しい

第11節 超越的幸福

(1)〈眼前に現れうるもの〉と〈超越〉の区別の重要性
(2)幸福と不幸を世界内部的な基準で測ることの問題点
(3)幸福の可能性

第12節 信仰の重要性

(1)現実から目を逸らさぬこと
(2)信仰の重要性
(3)信仰とアイロニー

第13節 人生が幸福という意味をもつことを――
(1)幸福こそが人生の意味である
(2)超越の光に照らされて
(3)永遠の相の下に
(4)時間と事実

結びに代えて
あとがき

前書きなど

 本書は「幸福」と「人生の意味」を哲学的に考察するものです。話の全体の流れをあらかじめ述べておきましょう。
 本書の前半――第1章と第2章――は「絶望」が通奏低音になります。誰でも簡単に幸福になれる、などということはありません。努力は必ず有意味に実を結ぶ、ということも単純には言えません。国家や歴史に身を捧げることが人生を有意味にする、という見方も決して絶対的ではありません。そうではありませんか。すなわち、実際に、人生は苦悩で満ちみちており、何をしたところで根本的には虚しいではありませんか。ひとはしばしば、かりそめの幸福感を得るために、こうした自らの「悲惨さ」から目を逸(そ)らします。しかしながら私は、それは不誠実だ、と言いたい。私たちは自己欺瞞に陥(おちい)らないためにかかる不条理な現実をしかと直視せねばなりません。ある意味で、幸福なひとはいない。そして同時にある意味で、どのひとの生も無意味であるのです。
 本書の後半――第3章と第4章――は、相変わらず抜け出すことのできない絶望を基調としつつも、そこから目線を「上に」向けたいと思います。惨めに見捨てられた私たちであるのですが、上を向けば空が広がっています。地上的なものはたしかに地上的であらざるをえないのだが、雲の向こう側にある何かしらの星が、夜を夜としながら、私たちを照らしています。――私は本書において、こんな具合の人生の意味を、同じくこんな具合の幸福を、「語り」たいのです。

上記内容は本書刊行時のものです。