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ぼくと仕事、ぼくと子ども
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年2月
- 書店発売日
- 2018年2月25日
- 登録日
- 2018年1月24日
- 最終更新日
- 2024年4月26日
紹介
絵本作家のきくちちき氏ら、子どもに関係する仕事をしている、30代から40代前半の父親10人へインタビュー。父親と子どもが、大人と子どもが、一緒に生きてゆく社会を日々の営みのなかから考える。
目次
はじめに
子どもとつくる物語 きくちちき 絵本作家
百年前の絵本、百年後を生きている自分/授賞式の日に始まった新しい物語/きっと誰でも子どもの頃には当たり前にあった/子どもと親が一緒に絵本を読むこと/子どもと親の成長速度/時間も、国も、関係なく
子どもと大人が共振できる場所 齋藤紘良 保育園園長
保育園と子どもたち/子どもたちが考える余地を、大人がつくる/子どもたちの選択肢/大人って楽しいんだな、父親って楽しいんだな/子どもから老人まで/さまざまな価値観をごちゃ混ぜにして
父と子の歩き方 火神政博 子ども靴デザイナー
子どもが最初に履く靴/良い革靴が見つからなかったから/つくるだけでは終わらない/やってみなよと言ってあげれば/自分の興味がある、自分を活かせる場所で/大事なきっかけ
家族の食卓 冨田ただすけ 料理研究家
母の和食/食べることで、満たされること/言葉の代わりに料理をつくる/実家に帰った時、台所にあったもの
自然な人に 長谷部雅一 アウトドアプロデューサー
子どもたちが今もっている知恵や技術で/どんな時も自然体で/原体験って大事だなってあらためて思った/ゆるやかな時間で親になっていく/手伝いすぎず、見守ること/自然って、かなわない
父と子と絵本の関係 三輪丈太郎 子どもの本専門店
たくさんの余白を子どもたちへ/親と子どもの攻防戦/一番好きな絵本/子どもが生まれるまでは気づかなかったこと/どれだけ世の中が進んでいっても
家族をど真ん中に 秋庭覚 農家
僕らの秘密基地/畑で物語をつくろう/料理人になったからこそ気づけたこと/自分でつくるという豊かさ/家族をど真ん中において
子どもたちが大好きな世界を 浦谷和生 プランナー
子どもの新しい遊び/子どもたちの想像を超えた出来事、その感動がきっと心をゆさぶる/子どもたちと積極的に関わる世界をつくる/当たり前のことを当たり前のように/自分も楽しくて子どもたちも楽しい世界を
子どもたちの故郷 佐藤芳秋 大家
子どもたちの環境や可能性を左右する立場にいる/子どもが、たくさんいる街は/思い出の場所に/街づくりというよりも未来づくり/大人が子どもたちを、にこやかに見守れる街
大人の背中、子どもの背中 野村亮太 ランドセル職人
ピカピカの一年生/ひとつだけのランドセル/誠実に、真心をもって/やりたいことがあるのは、それだけでとってもいいこと/結局は人間だよ
あとがき
前書きなど
「すごい」
生まれたばかりの娘を見た瞬間、僕は思わずそう口にしていた。
文中に度々登場する我が娘が生まれたのは、二〇一五年十月。僕が生まれた時の半分くらいの大きさで、めでたく誕生した。予定よりひと月半も早く、僕は父親になった。それは三十三歳の時。
赤ちゃん用の布団や肌着、哺乳瓶など、必要なものはすでに奥さんが揃えていた。だけど、僕自身は準備万端なんてこともなく、父親になるという心構えなんてなんにもなかった。生まれてくるのを
ただドキドキしながら待っていただけだ。
とても小さかった娘は二歳を過ぎ、同年齢の子と見劣りしないくらいにまで成長した。毎日、よく騒ぎよく踊り、覚えたての言葉を口にし、自分のご飯ではなく僕のご飯を食べようとする。そのお返
しとばかりに、自分のご飯を僕に食べさせてくれる。どこかへ出かけるといつも抱っこをせがんでくるし、離れた場所にいると不安そうな顔をする。寝起きは機嫌が良くないけれど、ちょっとしたこと
ですぐに上機嫌だ。
どんなものにも染まっていない人生の始まりからの日々を、すぐ側で見ていられるなんて、とても貴重なことだと思う。
父親にならなければ経験できなかったこと、考えなかったであろうことはたくさんある。そもそもこの本だって、娘が生まれていなければつくっていなかった。
少子化の時代だからこそ、大人の力が合わされば、子どもにとって良い社会をつくれると思う。
この後に登場する十名は、直接的、間接的に、子どもに関係する仕事をしている。年齢は三十代から四十代前半で、全員父親だ。とはいえ、この本は子育てマニュアルのようなものではないし、イク
メンになるための本でもない。彼らと同じようにしたらいいと言いたいわけでもない。
きっと、百人の父親がいたら、百通りの考え方があり、生き方がある。父親の話しか聞いていないから、母親側からしたら何か言いたいことだってあるだろう。
それでも、この本が読者の方々にとって、子どものことをこれまで以上に考えるきっかけになったらいいなと思う。父親になるまではまったく子どものことを意識してこなかった僕自身が、以前より
も視野が広がったと感じているから。
彼らに話を聞いてから、少し時間が経ってしまった。子どもは日々成長していくし、仕事の面においても、話を聞いた時と今とでは状況が変わっていることだってあるかもしれない。この本をつくっ
ている間に、僕の娘もだいぶ成長した。
変化していくものだからこそ、こうして形に残したいと思った。彼らの子どもたち、そして僕の娘が、いつか大人になってこの本を開く日がきたとしたら、その時は感想を聞いてみたい。
子どもがテーマだけど、子育ての本ではない。
父親と子どもが、大人と子どもが、一緒に生きていく本だ。
子どもたちに、素晴らしい世界を。
上記内容は本書刊行時のものです。