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ふだんづかいの倫理学 平尾昌宏(著/文) - 晶文社
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ふだんづかいの倫理学 (フダンヅカイノリンリガク)

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発行:晶文社
四六判
400ページ
定価 1,800円+税
ISBN
978-4-7949-7038-1   COPY
ISBN 13
9784794970381   COPY
ISBN 10h
4-7949-7038-2   COPY
ISBN 10
4794970382   COPY
出版者記号
7949   COPY
Cコード
C0012  
0:一般 0:単行本 12:倫理(学)
出版社在庫情報
在庫あり
書店発売日
登録日
2019年2月16日
最終更新日
2024年1月26日
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紹介

モラルなき現代に正義・愛・自由を問う、新しい倫理学!

社会も、経済も、政治も、科学も、倫理なしには成り立たない。
倫理がなければ、生きることすら難しい。
人生の局面で判断を間違わないために、正義と、愛と、自由の原理を押さえ、
自分なりの生き方の原則を作る!
道徳的混乱に満ちた現代で、
人生を炎上させずにエンジョイする、〈使える〉倫理学入門。


* * * *

科学はみんなが学ばなくても、科学者が研究してくれれば、それで進歩します。
でも、倫理は違います。
というのは、倫理に関する知識は放っておいてはちゃんと働かないからです。
そして、倫理がなければ、我々は生きることも難しくなる。
だから、一人ひとりが倫理について考えた方がよいのです。
倫理っていうのは、他人事じゃなくて、自分自身の人生の問題だからです。
――「まえがき」より

目次

まえがき
はじめに/最初で最後の倫理学の本/考える倫理学?/倫理学と自分たちを繫ぐ/数万人の著者がいる本/主人公は私

序章 この本の使い方
いきなりの抜き打ちテスト!/結局、この本で何ができるか/この本の読み方

パート0 倫理学とは何か

第1章 倫理とは何か
1 - 1 まずはざっくりと
ざっくり言って、倫理学って?/で、倫理って?/人間だもの/人間がいて、何かして/だから善悪が生まれる/ルールというか、規範/まとめ
1 - 2 倫理が必要なわけ
ふーん、それで?/ガリンペイロの世界/倫理、道徳の必要性
1 - 3 倫理、道徳が意識されないわけ
なぜ道徳は意識されないか/言葉・文法と道徳・倫理学の類似/小学校の「道徳」の時間はなんだったのか/空気のような/倫理学の小道1:倫理学がますます必要に?

第2章 倫理学とは何か
2 - 1 残念! 倫理にも弱点が……
道徳の弱点/善悪なんて人によって違う!?/倫理、道徳を整理する/仕方ないでは困る!
2 - 2 それは自由のために
「道徳は押しつけである」説/子どもは分かってくれない!/それを大人は教えてくれない/倫理学は人を自由にする/倫理学の小道2:科学と倫理学、原因と理由
2 - 3 最も役立つ知識
「倫理学は役立たない」説/役に立つのが分かりにくい/倫理学は独特の仕方で役に立つ/倫理のない医者、非道徳的な技術者/倫理学の小道3:技術と倫理の関係、ついでに職業倫理について
2 - 4 倫理学の答え
倫理学に答えは?/具体的な答えが欲しい!?/「倫理」と「倫理の原理」/そして、使うのは「私」/コラム1:倫理学と人生論
2 - 5 ちょこっと例題――運命のボタン
ボタンを押して一億円/思考実験/二つのレベルを分ける/心理の原因、道徳の理由/相互性/正義の原理/道徳の基本原理と理由

インターミッション1 倫理の三つの領域

第3章 倫理の三つの領域
3 - 1 三つの関係
分かれ道/人間の関係としての倫理/個人と社会と、そして/噓とカント/友人より義務が大事!?/コラム2:カントと『ライアーゲーム』とインターネット/人間像の違い/コラム3:カントの定言命法(倫理学用語の難しさと便利さ)/三つの関係
3 - 2 三つの関係を確かめる
二つの極とその中間/ある倫理学者の一日/具体例の分析/重なり合う関係
3 - 3 マンガに応用する
三つの関係を応用する/『デスノート』の分析/『ウロボロス――警察ヲ裁クハ我ニアリ』の分析/『ワンピース』の分析

パート1 社会の倫理:正義

第4章 正義の正体
4 - 1 釣り合いとしての正義
夜神君は正義か?/意見をまとめる/罪と罰の釣り合い/天秤のイメージ
4 - 2 社会、正義、ジコチュー
一人では決められない/正義とジコチュー/みんな同等
4 - 3 生きている社会
生きて動いている社会/正義は自然には生まれない

第5章 正義を洗う
5 - 1 勝った方が正義?
「正義」にしては薄すぎる?/「勝った方が正義」?/「正義の味方」?
5 - 2 正義なんてない?
「正義は人によって違う」?/「正義なんて自分の都合」?/正義は自分たちで作るもの
5 - 3 正義の理念と方法
もう一つの「正義はない」/理念と方法、目的と手段/理念は一つ、方法はたくさん/本の読み方についての注意

第6章 正義のパターン
6 - 1 調整の正義
正義にもパターンがある/調整の正義と法/復讐と正義は違う
6 - 2 交換の正義
交換の正義と経済/調整と交換、法と経済/臓器売買はオッケーか/コラム4:回るお金を支える倫理の力
6 - 3 分配の正義
分配の正義と政治/二種の分配方法/二種の分配の使い分け
6 - 4 パターン分けの意味
一つの正義、三つのパターン/三つのパターンは決め方の違い/パターン分けの意味/序章の問一の答え

第7章 個人と社会
7 - 1 なぜ正義が大事なのか
正義はなぜ必要か/正義がないと「ズルい!」になる/正義がないと「ひどい!」のまま/正義と権利/倫理学の小道4:権利、正義、法/他人同士が傷つけ合わな/倫理学の小道5:正義は時代によって変化する?――権利拡張の歴史
7 - 2 正義を「私」に落とし込む
正義と「私」?/正義と義務/個人の自由/「自由」というと?

パート2 個人の倫理:自由

第8章 二種類の自由
8 - 1 消極的自由
自由と制限/「無制限な自由」の罠/自由に制限が必要なわけ/愚行権/義務の範囲/消極的自由
8 - 2 積極的自由
積極的自由/『デスノート』から『バクマン。』へ/「自分」について/自律/自律と自立/「本当の自分」

第9章 自律と幸福
9 - 1 アリストテレス先生の幸福論
なぜ自分への制限が必要なのか/優先順位を決める/幸福/アリストテレスの幸福主義/お金と人気と快楽/幸福とは何か?/アリストテレスから離れて
9 - 2 幸福、目的、質
お金持ちか、幸せか?/質と量/目的と手段
9 - 3 幸福の正体
「質より量、目的より手段」の挙げ句に/例えば、安楽死/幸福の正体/コラム5:遊び、幸福、暇(アリストテレスとマルクス)

第10章 運命と出会い
10 - 1 運命と幸福
なぜ幸福になるのは難しいか/運命/運命と出会い
10 - 2 身近な関係と愛
幸福を成り立たせるもの/身近な関係で大事なもの?/ここは一丁「愛」ということで

パート3 身近な関係の倫理:愛

第11章 愛とは何でないか
11 - 1 恋愛こそ愛である?
難しい愛/余計なイメージを取り除く/「愛=セックス」説/「恋愛中心」説/愛の伝統的な分類法
11 - 2 愛とは感情である?
「愛=感情」説/ストーカーは愛するか/不安定な愛?/愛の形

第12章 恋愛と友情
12 - 1 男女間に友情は成り立つか?
アリストテレスの恋愛論?/男女間に友情は成り立つか/男女間では恋愛しかない?/男女間の友情?/友情型と恋愛型/相補性と共同性
12 - 2 愛する人は一人だけ?
愛する理由/愛する人は一人だけ?/愛と正義/オンリー・ワン
12 - 3 友達がよそよそしくなるとき
愛の強さの違い/友達がよそよそしくなるとき/愛は外からは分からない/不釣り合いなカップルの謎/愛の偏り/コラム6:嫁姑問題はなぜ難しいか(あるいはマスオさんはなぜ磯野家に同居しているか)
12 - 4 あなたがここにいてほしい
愛で大事なこと/共通のものを大事にする/「徳は孤ならず」/本当の友情?/大事なものを大事にする/あなたがここにいてほしい/序章の問二の答え

第13章 愛のパターン
13 - 1 家族をバラバラにする!
親子愛は?/親子愛は相補型/相補型にも二種類ある!/『サザエさん』はなぜ面白いか/それでも一つのまとまり
13 - 2 愛の内と外
二×二で、四種類/縦の共同性/身近な関係としての会社?/身近な関係の内と外/コラム7:ぼくのおじさん
13 - 3 会社は面白い!
会社は面白い!/会社は作られる/何を大事にする関係か/契約があるか、ないか/会社は組織される/会社が社会的に見える理由

第14章 身近な関係と個人、社会
14 - 1 身近な関係と個人
ブラック企業が生まれるわけ/身近な関係と個人/音楽とスポーツの比喩/スポーツと会社、音楽と恋愛
14 - 2 身近な関係と社会
身近な関係と個人、社会/児童虐待はなぜ防ぎにくいか?/親子と社会/上司の不正な命令に従うか?/会社と社会/身近な関係と社会/視野を広く/コラム8:内部告発は裏切りか?

インターミッション2 倫理のケーススタディ

第15章 愛や正義の使い方
15 - 1 試験の採点
倫理の基本原理のまとめ/試験の採点をする1/試験の採点をする2/試験の採点をする3/直観と手続き/間違いを防ぐ/コラム9:税金の納め方
15 - 2 ジレンマの解決
道徳的ジレンマ/ハインツのジレンマ/人生の解釈学

第16章 人生の解釈学
16 - 1 マンガの解釈学
マンガの解釈学/『噓喰い』、『カイジ』などの場合/『逃げ恥』の場合/愛と契約/お金で愛は買えるか?
16 - 2 小説も読もう
小説も読もう/「半沢直樹」の原型/『火花』/自律からおじさんまで/活きた倫理学
16 - 3 ついでに映画も
ついでに映画も/『ゴッドファーザー』、ドンの場合/序章の問三の答え/身内、社会、居場所/マイケルの場合/倫理学の小道6:カント対孔子/地味な物語

第17章 身近な話題に倫理学はいかが
17 - 1 ネットとかSNSとか
インターネットの新しさ/SNSのSは何?
17 - 2 浮気とか不倫とか
友人と恋人の境目は?/どこからが浮気か?/浮気と不倫/三角関係は?/一夫多妻制の意味/『終末のハーレム』

パート4 攻めの倫理!

第18章 攻めの倫理、守りの倫理
今までを振り返ると/倫理、道徳の二つのイメージ/攻めの倫理と守りの倫理/必要条件と十分条件/「あれかこれか」と「あれもこれも」/やっぱり分けよう

第19章 身近な関係での攻めの倫理
19 - 1 縦の相補型(ついでにケア倫理)
身近な関係における守りと攻め/縦の相補型/ケアの倫理/ケアと正義/ケアと愛/倫理学も進歩する
19 - 2 横の相補型(ついでに医療倫理)
横の相補型/医療の社会性/医療の相補性/患者の権利とインフォームド・コンセント/問題が複雑になる理由
19 - 3 横の共同型(ついでのついでに共同体主義)
横の共同型/『3月のライオン』と『となりの怪物くん』/地域コミュニティ/倫理学の小道7:コミュニタリアニズム/実は私、町内会長です/守りであり、攻めであり
19 - 4 縦の共同型(おまけに経営倫理)
縦の共同型/会社は複雑な組織/攻めに出ると――横と縦の違い/自己目的化する組織/会社も主体である/経営倫理――コンプライアンスとCSR

第20章 社会における攻めの倫理
20 - 1 最大多数の最大幸福!?
社会における守りと攻め/社会改良のための功利主義/功利主義の弱点/倫理学の小道8:動物の権利/功利主義の弱点?/使える場合と使えない場合/倫理学の小道9:功利主義のあれこれ
20 - 2 倫理から政治へ
みんなにとって何が大事かが決まる場合/人によって何が大事か違う場合?/不妊治療を健康保険で?/なぜ「政治」なんていうものが必要なのか/多数決とは何か
20 - 3 アファーマティブ・アクション!
攻めの正義?/税金の使い方/アファーマティブ・アクション/積極的正義?
20 - 4 神の正義、人の正義
完全な正義/人間だもの(悪い意味で)/宗教マンガとしての『デスノート』/神の正義、人の正義/コラム10:宗教と経済/倫理学の小道10:グローバリゼーションと正義

第21章 個人における攻めの倫理
21 - 1 自己への自由
個人における攻めと守り/攻めに出るのも難しい/困難な自由
21 - 2 不確定義務
四つの自由/法的義務と道徳的義務/完全義務と不完全義務/「親切」/なぜ親切が不完全なのか/権利を伴わない義務/倫理学の小道11:グローバル正義論
21 - 3 他者への自由
不確定義務は義務なのか?/カントの「義務」論/他者への自由/厄介な自由
21 - 4 自己からの自由
チョー義務!/自己犠牲否定論?/もう一つ自己犠牲否定論/無償の愛/自己からの自由/コラム11:道元の言葉「仏道をならふといふは……」

終章 全体のおさらい
1 倫理の基本原理とパターン
三×四で、合計一二個/段階を分ける
2 人間関係に関する注意
関係の複合/関係の多面性/関係の変化
3 広く見て柔軟にバランスを
幅広く考える/「主人公は私」再び/全体のバランス/自分でも倫理学を作る、自分の人生を作る

あとがき

付録パート1 倫理学の内と外

I章 倫理学のアウトライン
I - 1 倫理学の三分野
倫理学の中身/規範倫理学/応用倫理学/メタ倫理学/記述倫理学
I - 2 ざっくり倫理学の歴史
規範倫理学の三つの立場/まずはソクラテスから、倫理学の始まり/徳の倫理/義務論と功利主義/問題は?

II章 倫理学のお隣さん
倫理学のお隣さん/社会・人間科学の基礎としての倫理学/法と倫理、二種の規範/法と道徳の違い/法に則って粛々と…/それぞれの強みと弱み/倫理学の小道12:倫理は文化によって違う?(相対主義の問題)

付録パート2 倫理学の方法

III章 倫理学の方法
III - 1 まとめる
倫理学者はどうやって研究しているか/やり方の基本/価値判断から規範へ/ノー・モア・ルールズ!/規範から基本原理へ/理由としての原理
III - 2 どーんと原理から考える
「まとめる」方法の難点1――手間がかかる!/「まとめる」方法の難点2――どこで止めたらいいの!?/発想の転換

付録パート3 倫理の基本原理

IV章 多すぎても少なすぎても
IV - 1 基本は一つか
ベンサムの場合/功利主義の弱点/ゴドウィンの場合
IV - 2 基本はたくさんか
ほんのついでのアリストテレス/徳倫理学の利点/徳倫理学の弱点/多すぎても少なすぎても

V章 基本原理の基盤を求めて
少数原理主義は倫理を狭く考えている/観点を定める/コラム12:道徳的柔軟性

著者プロフィール

平尾昌宏  (ヒラオ マサヒロ)  (著/文

1965年、滋賀県生まれ。立命館大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専門は哲学、倫理学。立命館大学、佛教大学、大阪産業大学などで講師を務めるかたわら、現在は邦訳スピノザ全集の計画に携わっている。主な著書に『哲学、する?』『愛とか正義とか』『哲学するための哲学入門』(いずれも萌書房)など。

上記内容は本書刊行時のものです。