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日本最後のシャーマンたち ミュリエル・ジョリヴェ(著/文) - 草思社
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日本最後のシャーマンたち (ニホンサイゴノシャーマンタチ)

社会一般
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発行:草思社
四六判
352ページ
定価 2,200円+税
ISBN
978-4-7942-2626-6   COPY
ISBN 13
9784794226266   COPY
ISBN 10h
4-7942-2626-8   COPY
ISBN 10
4794226268   COPY
出版者記号
7942   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2023年2月16日
書店発売日
登録日
2023年1月19日
最終更新日
2023年1月31日
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紹介

東北、北海道、沖縄、そして東京――。
半世紀にわたって日本に暮らすベルギー生まれの日本学者が、
さまざまな文化的背景を背負ったシャーマンたちを訪ね歩き、
その肉声を多数採録した貴重なドキュメント。 
不可思議な世界との交流をやわらかな筆致でつづったユニークな一冊!


私は本書のサブタイトルを「もしそれが本当だったら?」にすることもできただろう。いずれにせよ、私がこの本を心から書きたいと思ったのは、なによりシャーマンがいなくなると、日本人の魂の一部も消えることになると思ったからだ。
今後しばらくは奄美大島や沖縄では生き延びるだろう、需要はいまも非常に多いからだ。しかしシャーマンは東北(青森県の八戸、恐山)でも、同じく北海道でも消滅の危機に瀕している。北海道ではレラが最後のアイヌのシャーマンで、東北でも、中村タケはこの地方で正真正銘最後のイタコと言って間違いないだろう。
 なによりも私の心を打ったのは、彼女たちが…自信にあふれていたことだ。彼女たちは自分たちの使命の重要さを一瞬たりとも疑っていなかった。それは人生につきまとう苦難への答えを求めて彼女たちのところに来る人たちを助け、苦痛を和らげ、その人生に意味を与えることである。私は幸運にも素晴らしい女性たちに接することができ、そのうちの何人かとは本当の友人になった。それだけで、この仕事に費やした私の努力が報われると思っている。(本書より)

目次

序文  

なぜシャーマンの本を書きたいと思ったのか?/お告げ/霧のロンドン/日本の霊に近づくのは難しい/非常に広い意味でのシャーマン……/幽霊について/百物語怪談会/歌舞伎、とくに能はさまよう霊に取り憑かれている/能に出没する幽霊/日本には百以上の妖怪が出没/無機質の物にも魂がある/人形にも魂がある/木にも魂が/鉱物にも魂/像にも魂/東北地方の幽霊/津波後の幽霊/死者と共に生きる/死者と電話

第1部 イタコ
東北のイタコ/盲目の女性たちの悲しい運命/差別され、社会の底辺で生きる/イタコの仕事/恐山──死のテーマパーク/イタコ不足?/絶滅危惧種/イタコは何をし、どんな仕事なのか?/修行/村の巡回/一九一八年頃の承認儀式/松田広子の修行/言霊/師匠上がり、または弟子上がり/儀式道具の伝達/苛高数珠/法衣と袈裟/オシラサマと遊ぶ/承認式・守護神との結婚(神憑式)/「死者との対話」の流れ/私の口寄せ/大勢に反対する意見/大がかりな茶番?/金になる?/受け皿? 神の啓示?/それでも……/人々が求めに来るもの/偽物に御用心……/社会を熱心に観察する/占いは「娯楽」ではない、軽く扱ってはいけない/現場で職を身につけた精神分析医/民間治療師? 健康な精神に健康な肉体?/身近な人の死で悲嘆に暮れる人を支援する(グリーフケア)/【水子】/子殺しの悲惨な現実/カッパ/子どもを「消す」/【間引き絵馬】/中村タケ、正真正銘の最後のイタコ/瞽女/「名替え」の儀式または親方との象徴的結婚/一つの悟りの形(証言)

第2部 沖縄
霊魂「商売」  
東北の「イタコ」、沖縄の「ユタ」/「医者半分、ユタ半分」/「職業」ゆえの苦悩/ユタの影響力が仏教を上回るとき/何人いる?/奄美大島(鹿児島県)
新納和文さん、ユタ(五一歳)  
医師半分、神半分/神さまと関係のある病気……
栄サダエさん(七九歳)  
「勉強の終わりはない! 修行の終わりはない!」/地球は怒っている/お布施について/汚れと祟り/死後四十九日間の重要性について/定命について
肥後ケイ子さん  
【水行】
沖縄──久高、伊平屋島、座間味  

久高島とアマミキュによる女系信仰/一般人立入り禁止の聖地/聖なる自然の遊泳場/ここでも過疎化による大打撃/進む過疎化/すべて定められていた運命/女性が神に変わるとき/準備に一カ月/儀式の展開/神々は不貞な女性を好まない/「神々を送る儀式」/イザイホーの終焉/後生事件/サワさん/【ウミヘビのスープ、イラブー汁】
伊平屋島──神々と伝説がいまも息づく手つかずの島  
ウンジャミ(海神祭)/観光のためにはこの行事は続けたほうがいい/いまも水や山の神々に祈る
二〇一七年九月二日、座間味島で出会ったカミンチュ、サチコさん、七二歳                  
後継者は大きな問題/神さまが私の病気を治してくれました/鉱物にも、植物にも魂がある

第3部 東京ほか
鶴見明世さん  
プロフィール/臨死体験/浄化、呪われた土地を清める/ヨーロッパのほうが魔力が強く、日本よりシャーマニズムを求めている/好ましくない客/毎日の客
マリア──魂の傷を治す  
天体への旅/龍神/暗闇の世界、霊界、地獄のさまざまな段階/客の身体の痛みを転移して受け取る/魂の傷/除霊/セラピーの限界/治療されなかった深い傷は一人では治せない/登校拒否に対する独特の解釈/手のひらの凹みを埋める/セッションのやり方/職業上のリスク/予言──不確かな未来/【陰陽師と式神につい
て】/【水子供養】
コスモライト石橋  
私たちにはみんな、神さまと交流する能力がある──自分の心と魂に向き合うだけで十分/マリアが受け取ったメッセージの例/ガネーシャのチャネリング/イエス・キリストのチャネリング/聖母マリアのチャネリング/大天使ミカエルのチャネリング/マグダラのマリアのチャネリング/宇宙人のプレアデス星人アライキアのチャネリング/日本神話の神々(中国由来ものもある)/天鈿女命/中山みき(一七九八~一八八七年)
ミカさん: 「自分を霊能者とは思っていないけれど、
人には見えないものが見えます……」    
私は見聞きしたことを伝えるメッセンジャーで、写真のカウンセラー/忠告しても、黙っていても文句を言われる/せっかく予言しても、みんな聞いてくれない/紛失物も見つけます/生と死は継続していると感じている/死は肉体を離れること、でもエネルギーは残っている/まだ受肉しない子どものメッセージ……/その人の苦しみや、寿命もわかる……/手に電流が流れるのを感じます/上下対称の白い木の映像/人はこの世に来る前に人生を選んでいる/苦行の意味がわからないので、したことがない/地球の未来/社長の証言

第4部 北海道
アシリ・レラ──平取のアイヌのシャーマン  
「ア、イヌが来た!」/死者の王国へ好きなときに行ける/整骨と薬草で治療ができる/私は医学に本気で挑戦しています/大企業は金儲けでしか動かない/北海道のインフラの裏側……/科学の名による墓荒らし/犠牲者に謝罪を求める/つい最近、侵入者を追い払うのに竜巻を起こしました/私のところに、保育園や親に見放された問題児を連れてくる/人間は自然の神(カムイ)にはかなわない/レラの闘い/子どもを養子にするのは、アイヌの長い伝統/平取の状況/ダム建設反対運動の勝敗は?/大学が保管するアイヌ遺骨の返還問題/希望のヒント?

結論 最後のシャーマンを称えて  
完全に消滅する前に/いくつかの確認──白羽の矢が当たるように、それはあなたに突然「降りてくる」/西洋との比較と一致点/人生は奇跡であることを、あまりにも多くの日本人は忘れている/魂と精神の違い

著者プロフィール

ミュリエル・ジョリヴェ  (ミュリエル ジョリヴェ)  (著/文

ミュリエル・ジョリヴェ(Muriel Jolivet)
ベルギー生まれの日本学者、1973年から日本在住。早稲田大学と東京大学で社会学を勉強、東洋学博士。上智大学外国学部フランス語学科の教授を34年間務めたあと、2017年から名誉教授。日本社会に関する著書多数。うち邦訳は『子供不足に悩む国、ニッポン』(大和書房)、『ニッポンの男たち』(筑摩書房)、日本向け書き下ろしに『フランス新・男と女』(平凡社新書)、『移民と現代フランス──フランスは「住めば都」か』(集英社新書)などがある。

鳥取 絹子  (トットリ キヌコ)  (翻訳

鳥取 絹子(とっとり・きぬこ)
翻訳家、ジャーナリスト。主な著書に『「星の王子さま」隠された物語』(ベストセラーズ)など。訳書に『崩壊学』『感染症の虚像と実像』(以上、草思社)、『私はガス室の「特殊任務」をしていた』『ウクライナ現代史──独立後30年とロシア侵攻』(以上、河出書房新社)、『巨大化する現代アートビジネス』(紀伊國屋書店)、『地図で見るアメリカハンドブック』『地図で見る東南アジア』(以上、原書房)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。