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文庫 経済政策で人は死ぬか? デヴィッド・スタックラー(著/文) - 草思社
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文庫 経済政策で人は死ぬか? (ブンコ ケイザイセイサクデヒトハシヌカ) 単行本版 公衆衛生学から見た不況対策 (コウシュウエイセイガクカラミタフキョウタイサク)

文庫
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発行:草思社
文庫判
384ページ
定価 1,300円+税
ISBN
978-4-7942-2608-2   COPY
ISBN 13
9784794226082   COPY
ISBN 10h
4-7942-2608-X   COPY
ISBN 10
479422608X   COPY
出版者記号
7942   COPY
Cコード
C0133  
0:一般 1:文庫 33:経済・財政・統計
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2022年10月10日
書店発売日
登録日
2022年9月15日
最終更新日
2022年9月21日
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紹介

不況下において財政刺激策をとるか緊縮財政をとるかは、
人々の健康、生死に大きな影響を与える。
世界恐慌からソ連崩壊後の不況、アジア通貨危機、サブプライム危機後の
大不況まで、各国の統計から、公衆衛生学の専門家が検証。
同じように深刻な不況へ陥った各国が、異なる政策をとった結果は、
国民の健康にどのような違いを生んだか? 
長年の論争に、イデオロギーではなく、「国民の生死」という
厳然たる事実から答えを導く一冊。
緊縮財政が著しく国民の健康を害して死者数を増加させるうえ、
景気回復も遅らせ、結局は高くつくことを論証する。

<目次より>

第1部 過去の「自然実験」に学ぶ
 第1章 ニューディールは人々の命を救ったか
 第2章 ソ連崩壊後の死亡率急上昇
 第3章 アジア通貨危機を悪化させた政策

第2部 サブプライム問題による世界不況に学ぶ
 第4章 アイスランドの危機克服の顛末
 第5章 ギリシャの公衆衛生危機と緊縮財政

第3部 不況への抵抗力となる制度
 第6章 医療制度改変の影響の大きさ
 第7章 失業対策は自殺やうつを減らせるか
 第8章 家を失うと何が起こるか

結 論 不況下で国民の健康を守るには

目次

まえがき
序文

第 1 部 過去の「自然実験」に学ぶ

第 1 章 ニューディールは人々の命を救ったか

イギリス政府に見捨てられたマカードル一家
大不況への対応 ―― 銀行救済のための福祉削減
一九三〇年代の大恐慌から学ぶべきこと
大恐慌の悪影響 ―― 労働者階級が苦境に
大恐慌の好影響 ―― なぜか死亡率が低下
疫学転換による長期的な死亡率低下傾向
不況になると交通事故死者数は減る
大恐慌下での政策論争 禁酒法廃止をめぐる論争
財政政策をめぐる論争
ニューディール政策と公衆衛生

第2章 ソ連崩壊後の死亡率急上昇

男たちはどこへ消えたか
旧ソ連の経済はどのように崩壊したか
ロシアの統計データを精査すると……
飲酒がらみで死亡するロシア人男性の数
ブルーカラーや失業者は死亡率が著しく高い
死亡率上昇を避けることは不可能だったか
市場経済への移行方法の選択はどう行われたか
市場経済移行の速度差による自然実験
死亡率、貧困率に違いは大きく表れた
ロシアはまだ回復していない

第3章 アジア通貨危機を悪化させた政策

一六歳の少女を襲った悲劇
アジア通貨危機はどのように起きたか
IMFに従った国、従わなかった国
貧困率、自殺率、物価が急上昇
医療支出削減が招いた悲惨な結果
自然実験の結果には明確な差が

第2部 サブプライム問題による世界不況に学ぶ

第4章 アイスランドの危機克服の顛末

小国アイスランドの医療制度が直面した危機
公衆衛生の実験室となったアイスランド
アイスランドが隆盛から凋落へといたる過程
IMFへの支援要請とアイスセーブ問題
金融危機下での政策選択をめぐる論争
国民が投票で政策を選択した
不況のせいで健康になった?
社会保護維持のために行われたこと
アイスランドから学ぶべきこと

第 5 章 ギリシャの公衆衛生危機と緊縮財政

「不況下での緊縮財政」という実験
ギリシャの急成長とその崩壊
ギリシャを襲った三つのショック
IMFの課した緊縮策をそのまま実施
公衆衛生への影響は当初隠された
医療費はどのように削られたか
人々は病院に行けなくなり健康状態が悪化
対策予算削減による感染症の拡大
公衆衛生の危機に政府はどう対応したか
政府は状況の悪化を見て見ぬふりで通した
政策はさらに現実から乖離していった
IMFも緊縮策の失敗を認める羽目に

第 3 部 不況への抵抗力となる制度

第 6 章 医療制度改変の影響の大きさ

健康保険を失ったために起きた悲劇
オバマ医療改革以前のアメリカの医療事情
市場原理が医療を不効率にしていた
国民皆保険制度の国々との比較
イギリスの国民保健サービス(NHS)の優秀さ
イギリスの「医療および社会的ケア法」

第 7 章 失業対策は自殺やうつを減らせるか

徴税公社に追い詰められ自殺した人たち
失業者が増加すると自殺者も増えるか
失業増加でうつ病も増えた
再就職を促す積極的労働市場政策(ALMP)とは何か
フィンランドとスウェーデンのALMPの効果
ALMPは福祉依存度と自殺率を下げる決定打
歴史に学ばず事態を悪化させたイギリス

第8章 家を失うと何が起こるか

突然現れた奇妙な病気
ウエストナイルウイルス蔓延の原因と大不況
フォークロージャー危機の健康への影響
家を失いそうになるだけで健康は悪化する
大不況でアメリカのホームレスが激増した背景
状況を改善させたアメリカの対応
状況を悪化させたイギリスの対応
ヨーロッパ諸国はどのように対応したか
予算削減へと舵を切ったその後のアメリカ

結 論 不況下で国民の健康を守るには

国民の命は経済政策に左右される
不況下での緊縮財政は景気にも健康にも有害
不況下での政策決定はどうあるべきか

謝辞
研究文献一覧
原注

著者プロフィール

デヴィッド・スタックラー  (デヴィッド スタックラー)  (著/文

デヴィッド・スタックラー(David Stuckler)
公衆衛生学修士、政治社会学博士。イェール大学、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学などで研究を重ねる。オックスフォード大学教授を経て、現在イタリアのボッコーニ大学教授。著書にSick Societies: Responding to the Global Challenge of Chronic Diseaseがある。

サンジェイ・バス  (サンジェイ バス)  (著/文

サンジェイ・バス(Sanjay Basu)
医師、医学博士。オックスフォード大学大学院にローズ奨学生として学ぶ。スタンフォード大学予防医学研究所助教などを経て、現在はプライマリケアに関する公益企業Waymarkの共同創業者。

橘 明美  (タチバナ アケミ)  (翻訳

橘 明美(たちばな・あけみ)
英語・フランス語翻訳家。お茶の水女子大学卒。訳書に、スティーブン・ピンカー『人はどこまで合理的か』(草思社)、ジェイミー・A・デイヴィス『人体はこうしてつくられる』(紀伊国屋書店)ほか。

臼井 美子  (ウスイ ヨシコ)  (翻訳

臼井美子(うすい・よしこ)
英語・フランス語翻訳家。大阪大学文学部卒。訳書にジェラード・ラッセル『失われた宗教を生きる人々:中東の秘教を求めて』(亜紀書房)、ローラン・オベルトーヌ『ゲリラ :国家崩壊への三日間』(東京創元社)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。