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「生類憐みの令」の真実 仁科 邦男(著/文) - 草思社
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「生類憐みの令」の真実

発行:草思社
四六判
304ページ
定価 1,800円+税
ISBN
9784794224132
Cコード
C0021
一般 単行本 日本歴史
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2019年9月24日
書店発売日
登録日
2019年8月26日
最終更新日
2019年9月7日
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書評掲載情報

2019-10-20 読売新聞  朝刊
評者: 宮部みゆき(作家)

紹介

将軍綱吉は、動物を愛していなかった──
「生類憐みの令の全貌」が初めて明らかに。

徳川五代将軍綱吉は、二十数年もの間、生類憐みの令を出し続けた。
犬、馬から、鳥、魚介類、虫まで、あらゆる動物への慈愛を説き、その理念と実践を人々に強要したが、
彼はなぜ、そこまで過剰な行為に走ったのか?
個人的な願望をこれほど赤裸々に表明し、周囲に強要し続けた将軍は、歴代将軍で綱吉しかいない。
生類憐みの全法令をつぶさに検証し、綱吉の心の闇に迫る。

<内容より>
●犬を実際可愛がった形跡は、史料上1件しかない
●将軍になるまでの肩書は「右馬うまの頭かみ」。馬を「自分の分身」として溺愛した
●鶴の保護令は、動物愛護ではなく、娘の「鶴姫」可愛さで出した法律
●同時代のライバル、徳川光圀の方がよっぽど動物愛護家
●中野犬小屋は、犬の楽園どころか正反対の空間だった
●綱吉政権下で起こった赤穂事件。赤穂城引渡しの時、城に犬は何匹いた?

目次

第一章 生類憐みの令はいつ始まったのか

1 嵐の発端、「浅草寺門前町、犬殺し事件」
2 「生類憐み的志向」と「生類憐みの令」の違い
3 江戸城台所での「鳥・魚介類料理」が禁止される
4 「祈禱による懐妊」を信じた綱吉

第二章 僧隆光は、生類憐みの令を進言したのか

1 生類憐みの令は「祈禱僧が進言したもの」とする諸説
2 「隆光による進言説」に反論する僧・学者たち
3 生類憐みの令が始まる数年前の、隆光と綱吉の接点

第三章 生類憐みの令、発令される

1 貞享三年七月、犬の「車による事故防止」と「養育令」
2 隆光の日記に「生類憐みの令」が出てこない不思議
3 多発する「主なし犬」の交通死亡事故
4 アヒル、ハト、猫の交通事故は重罪で、人身事故は軽罪
5 「主なし犬も養いなさい」「いなくなった犬は探しなさい」
6 続発する「捨て犬事件」と、伊勢神宮の犬問題
7 「犬同士が喧嘩をしたら、水をそそいで、分けなさい」
8 犬医者大繁盛。薬は何を使ったか

第四章 牛、馬、鳥、魚介、虫…連発される禁令

1 「捨て牛馬」の禁止令と、過酷きわまる処罰
2 「生きた鳥、魚介、亀」の売買・飼い置きの禁止
3 「虫」の売買・買い置きの禁止
4 愛娘「鶴姫」のための、鶴愛護令
5 俳人・宝井其角の、巧みな生類憐み批判

第五章 馬憐み令

1 綱吉が最も愛したのは「馬」だった
2 「馬のもの言い事件」の犯人追跡への執念
3 綱吉の異名、「右馬頭」に疑問を呈した「唐犬」権兵衛
4 晩年、馬憐み令を連発

第六章 「捨て子」の養育令・禁止令は、生類憐みの令なのか

1 歴史教科書が評価する、綱吉の「捨て子保護」
2 「生類」に「人」は含まれているのか
3 多くの捨て子を養い続けた老中・阿部忠秋
4 「金銭付きで養子をもらい、捨てる」事件への厳罰
5 元禄三年、江戸時代初の「捨て子禁止令」
6 捨て子がなくならなかった理由

第七章 徳川光圀の生類憐み

1 世継ぎをめぐる綱吉との確執
2 光圀は綱吉に「犬の皮」を贈り、生類憐みを諫めたか
3 綱吉に隠居を命じられた光圀が残した詩
4 光圀の方がよほど生類愛護家だった

第八章 「聖人君主」への道

1 「鳥、獣、魚…には、それぞれ住むべき場所がある」
2 「釈迦の慈悲」と「孔子の仁愛」の融合こそ、生類憐みの令
3 江戸城のお堀で魚を獲った町人九人、全員死罪
4 儒仏に、清めの「神道」が加わり、生類憐みの令完成

第九章 「トビとカラスの巣払い令」とは何か

1 なぜトビとカラスの巣を払うのか
2 紅葉山のカラス、島流しされる
3 「綱吉の御頭にカラスの糞」
4 江戸城と将軍家霊廟の聖域化
5 なぜ愛宕山だけが巣払いの対象から外れたか
6 江戸城で「ハトの糞」が忌避された理由
7 動物たちを「元いた場所」へ

第十章 中野犬小屋時代

1 始まりは、病犬のための「喜多見犬小屋」
2 犬の超過密都市、江戸。四谷、大久保、中野に犬小屋建設
3 綱吉への反逆。千住街道、犬の磔事件
4 相次ぐ犬殺し、捨て犬事件
5 犬や馬殺しを防ぐための「大酒飲み禁止令」
6 酒に酔って犬に脇差を向け、磔になった男の墓碑
7 病死で減り続ける犬小屋の犬
8 各藩の江戸屋敷の犬が次々と国元へ
9 町中の「残り犬」と、よそからの「来り犬」への対応
10 幕府、犬小屋の犬を近郊の百姓に預ける

終章 それぞれの終焉

1 赤穂城引き渡しの時、城に犬は何匹いたか?
2 元禄大地震、鶴姫死去、利根川氾濫、桂昌院死去、富士山噴火、京都御所炎上…
3 鳥を隠れて飼う者を、土蔵、穴蔵、押入、物置まで捜索
4 綱吉、最後の生類憐みの令。そして、はしかに倒れる
5 綱吉の遺言に、遺された者たちは…
6 中野犬小屋始末
7 隆光の蹴鞠熱と、失意の江戸退去
8 柳沢吉保の側室、町子にとっての綱吉
9 綱吉の側室、お伝の方(瑞春院)、吉保に反論
10 吉保が記した反省の弁と、吉宗の書き換え命令

著者プロフィール

仁科 邦男  (ニシナ クニオ)  (著/文

仁科 邦男(にしな・くにお)
1948年東京生まれ。70年、早稲田大学政治経済学部卒業後、毎日新聞社入社。下関支局、西部本社報道部、『サンデー毎日』編集部、社会部などを経て2001年、出版担当出版局長。05年から11年まで毎日映画社社長を務める。名もない犬たちが日本人の生活とどのように関わり、その生態がどのように変化してきたか、文献史料をもとに研究を続ける。ヤマザキ動物看護大学で「動物とジャーナリズム」を教える(非常勤講師)。著書に『九州動物紀行』(葦書房)、『犬の伊勢参り』(平凡社新書)、『犬たちの明治維新 ポチの誕生』『犬たちの江戸時代』『西郷隆盛はなぜ犬を連れているのか』(いずれも草思社)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。