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文庫 中国はいかに国境を書き換えてきたか 平松 茂雄(著/文) - 草思社
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文庫 中国はいかに国境を書き換えてきたか (ブンコ チュウゴクハイカニコッキョウヲカキカエテキタカ) 単行本版 地図が語る領土拡張の真実 (チズガカタルリョウドカクチョウノシンジツ)

文庫
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発行:草思社
文庫判
288ページ
定価 1,000円+税
ISBN
978-4-7942-2321-0   COPY
ISBN 13
9784794223210   COPY
ISBN 10h
4-7942-2321-8   COPY
ISBN 10
4794223218   COPY
出版者記号
7942   COPY
Cコード
C0131  
0:一般 1:文庫 31:政治-含む国防軍事
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2017年12月28日
最終更新日
2018年1月29日
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紹介

そもそも中国に国境という概念は存在しないのである。
世界は自らの「中華世界」とその周辺の「夷狄」で成り立っており、周辺の勢力が増せば縮小し、弱体化すれば拡張する。
中国の歴史はつねにそうした膨張と縮小の繰り返しであり、その「戦略的辺疆」を長期間にわたり実質支配すれば、
地理的境界を拡大することができると考えてきた。
時代によって「顔」を変え、「形」を変えて生き延びてきた中国。
その領土拡張政策を予測するうえでの重要な指針を与え、威嚇と恫喝の裏に隠された中国最大の弱点を浮き彫りにする。

目次

第1章 史上最大の版図に膨張する現代中国

1 中国は多様なる一つの世界
中国は国家の集合体 
国の在り方は地理的要素で規定される 
「地大物博」の国 
中国の半分は人が住めない過酷な地 
漢民族王朝が支配した土地は狭い 

2 極めて異質な国防意識
侵入者を「距離」のなかに埋没させる〝自然の障壁〞 
中華世界の求心力と遠心力 
中華帝国と失地回復主義 
時事状況によって変化する中国の領土観 

3 民族問題という内なる火種
中国は五十五の民族からなる多民族国家 
民族分断を目的とした意図的な省割り 
複数の国境にまたがる少数民族が中共政府を脅かす 
民族問題と資源問題が交錯する国境地帯

第2章 中国はいかに領土を拡張してきたか

1 「中原の地」と「化外の地」

2 満洲
満洲の地理概要
重工業施設は満洲にしかなかった 
列強「侵略」の教訓 
二回にわたる大きな区画改編 

3 蒙古
内蒙古の地理概要 
「モンゴルは中国領土」という意識 
露骨な行政区画 

4 新疆
新疆の地理概要 
半独立状態だった新疆 
地下資源を狙ったソ連との相克 
国共内戦と新疆 

5 チベット
世界に例を見ない過酷な自然条件 
「チベット解放」という名目の「チベット侵略」 
南西アジアをにらむ拠点 

6 併合できなかった地域

第3章 知らぬ間に築かれた軍事大国の礎

1 二度と侵略されない国へ
変化する国境の軍事的意味 
主敵の変化によって変わる「三線建設」とは 
米国による中国の封じ込め 
その後の発展の基盤となった鉄道建設 

2 地理的要素に配慮した中国の国防体制
敵を国土に引き入れてから「包囲殲滅する」戦法 
愚策と笑われた大躍進・人民公社の国防上の役割 
抑止力としての「人民戦争」 

3 米ソの間隙をつく第三国へのたくみな進出
最初は利害が一致していた中国とインド 
国境紛争からインドとの関係が急速に悪化 
あからさまなインド包囲網の形成とパキスタンへの急接近 

4 敵と味方は利害で変わる
「敵の敵は味方」 
利害が一致した米中の急接近 
核恫喝に六億の人民で対処 

5 毛沢東の異常なまでの防衛観
主敵の転換によって内陸重視の時代へ 
戦略部門への配慮を欠いた「劉少奇路線」 
「敵がどこからやってこようとも……」 
核兵器開発施設に囲まれた四川省 

第4章 アジアの大国から世界帝国への豹変

1 「現代版中華世界」の再興
清朝最盛期の版図を超え、宇宙と海洋へ 
戦略核ミサイル戦力の構築と通常戦力の現代化 
宇宙での制空権掌握を目指す「天軍」の時代へ 
大規模な兵員削減と軍隊の全面的な改革 
地域防衛軍から統合軍へ 
機械化軍隊からハイテク軍隊への転換 
主席が誰であろうとすでに盤石な中国軍 
現実の領土を大きく超えた中国軍の最新戦略地図 
小軍事委員会の設置と職務権限 
さらなる海洋進出を助長する上海協力機構 

2 南シナ海は核心的戦略区 165
南シナ海の概要
一九七〇年代に西沙諸島進出 
一九八〇年代に南沙諸島進出 
一九九〇年代にフィリピン海域進出 
「中国の最南端は曾母暗沙」というまやかし 
海南島の戦略的重要性と原子力潜水艦基地 
いつのまにか中国の支配下に組み込まれた東南アジア・南シナ海 

3 西アジア、インド洋から中東、さらにアフリカへ進出
兵器移転を通して浸透 
ミャンマーの果たす役割 
中印紛争でパキスタンに接近 
中国最大の兵器供与対象国 
南西アジアへの道を確保
エジプト経由でイラン、イラクへの兵器の移転 
早く、かつ急速だったアフリカへの進出 
中国にとって重要な一九六〇年の「アフリカの年」 
二〇〇一年にようやくアフリカ歴訪を果たした日本の首相
兵器を売って大量の石油を買う中国 
領土拡張を正当化する「戦略的辺疆」論とは 

第5章 中国はどこまで膨張するのか

1 東シナ海をわが物顔で徘徊する中国海軍
日本の裏庭・東シナ海は中国の西太平洋への玄関口 
突然、東シナ海の権益を主張し始めた中国 
尖閣諸島は明治初頭以来日本の領土である 
尖閣諸島に何の足跡も残していない中国 
日本と中国で異なる東シナ海大陸棚の解釈 
進展するガス田の開発 
ガス田は西太平洋に通じる重要な戦略ルート上にある 
対中最前線の南西諸島を守れ

2 海の辺疆、西太平洋
悲願の台湾統一へ 
西太平洋進出の真の目的 
徹底的に調べ尽くされた日本の沿岸海域 
沖ノ鳥島周辺海域で軍事演習を始めた中国 
日本最南端の領土・沖ノ鳥島 
中国が狙う沖ノ鳥島の地理的戦略的重要性 
「公海だから仕方がない」では中国から日本を守れない 

おわりに/文庫版のためのあとがき

著者プロフィール

平松 茂雄  (ヒラマツ シゲオ)  (著/文

中国の政治・軍事戦略研究の第一人者。1936年、静岡県生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科(政治学専攻)博士課程修了。法学博士。専門は現代中国(軍事・外交)。防衛庁防衛研究所研究室長を経て、1987年より2005年まで杏林大学教授。『中国の国防と現代化』『甦る中国海軍』『中国の海洋戦略』(正・続)、『中国の戦略的海洋進出』『台湾問題』『中国の安全保障戦略』(以上、勁草書房)、『中国は日本を併合する』(講談社インターナショナル)、『毛沢東と鄧小平の「百ヵ年計画」』(オークラ出版)など著書多数。

上記内容は本書刊行時のものです。