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ジェンダーで学ぶメディア論 林 香里(編集) - 世界思想社
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ジェンダーで学ぶメディア論 (ジェンダーデマナブメディアロン)

社会科学
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発行:世界思想社
四六判
縦186mm 横130mm 厚さ18mm
重さ 277g
264ページ
定価 2,100円+税
ISBN
978-4-7907-1778-2   COPY
ISBN 13
9784790717782   COPY
ISBN 10h
4-7907-1778-X   COPY
ISBN 10
479071778X   COPY
出版者記号
7907   COPY
Cコード
C1036  
1:教養 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2023年3月20日
書店発売日
登録日
2023年1月27日
最終更新日
2023年2月6日
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紹介

ジェンダー概念が切り開く、これからのメディア論!

デジタル化と多様化が進むメディア。
SNSを介したフェイクニュースやヘイトスピーチの広がり。
それでもスマホを手放せない私たち。
メディアと社会の今をとらえるとき、「ジェンダー」は最適なレンズとなる。
メディア論の基礎をジェンダーの視点から学ぶ、新しい入門書。

【「序章」より】
日本の高等教育では、「女性」「ジェンダー」「多様性」といった概念は現在においてもまだ主流のテーマにはなっておらず、取り残された課題となっている。メディア論の領域でも例にたがわず、ジェンダー概念からメディアについて考える体系的な教科書はいくつかの例外を除いては刊行されていない。つまり、メディアに関する世界では、そもそも調査対象としての「メディア業界」がジェンダー不平等な構造になっているだけでなく、「メディア論」や「メディア研究」においても、男性の側から見た世界観、つまり社会の半分側からしか見ていない世界観を、あたかもそれがすべてであり全体像であるかのように考え、拡大、発展してきたと言えるのだ。

 しかし、そうであるからこそ、ジェンダーの視点は情報化社会の構造、ひずみ、課題を考察する際に用いるべき優れた拡大鏡となり、現代の情報化社会が抱える諸課題の所在を案内するナビゲーターになりうるのではないだろうか。たとえば、差別的な視点を含むCMに対するネットでの「炎上」や、Twitterによるヘイトスピーチやミソジニックな投稿、蔓延するフェイクニュース、あるいはアイドルやファン文化などは学生たちにも身近な話題だが、こうしたことは「ジェンダー」というレンズを通して見てみることで、あらためてその商業主義や権威主義、男性中心の嗜好とそれらへの対抗的な行為などがはっきりと浮かび上がるようになり、メディア特有の問題の諸相が明らかになっていくだろう。

目次

序章 ジェンダーの視点からメディア論を学ぶ(田中東子)
 1 なぜジェンダーの視点なのか?
 2 「メディア」とは何か、「ジェンダー」とは何か
 3 本書の構成
第Ⅰ部 メディアの思想とジェンダー
1 表現の自由
――なぜフェミニズムの議論は表現の自由と緊張関係を持つのか(小宮友根)
 1 表現の自由とジェンダー
 2 「わいせつ」表現と性差別表現
 3 ステレオタイプな女性像――広告の場合
 4 ヘイトスピーチ
 5 何のための表現の自由か
2 メディアと公共性
――「公共性」未満を押し付けられてきた女性たち(林 香里)
 1 「公共性」とは何か
 2 民主主義思想から生まれる「公共性」概念
 3 「公共性」概念におけるジェンダー、ダイバーシティ視点の欠如
 4 「公共性」概念の限界、それでもなお残る希望
3 メディアと表象の権力
――日常を通じたジェンダーの生産(田中東子)
 1 表象とは何か
 2 なぜ表象が重要なのか
 3 メディア表象とステレオタイプ
 4 表象を通した女性の「モノ化」
第Ⅱ部 インターネット空間とジェンダー
4 SNSと政治
――デジタル時代の民主主義(李 美淑)
 1 SNS時代の政治とメディア
 2 SNSにおける多様な「声」の登場と拡散
 3 デジタル時代の新たな政治――フェミニズム運動と対抗的公共圏
 4 SNSは民主主義の敵か味方か――結束と分断のなかで
 5 ジェンダーの視点から考えるSNSの空間
5 巨大IT産業
――テクノロジーに潜むジェンダー・バイアス(阿部 潔)
 1 テクノロジーが映すジェンダー・イメージ
 2 アルゴリズムによる「偏り」
 3 IT産業によるジェンダー差別の再生産
 4 デジタル・テクノロジーの可視化に向けて

6  消費文化とブランド化
――ジェンダーを再階層化するランク社会(田中東子)
 1 SNSとランク社会
 2 メディア技術と文化の変容
 3 非物質的労働を通じた二重の搾取
 4 評価され、監視され続ける社会
第Ⅲ部 マスメディア、ジャーナリズムとジェンダー
7 マスメディア
――新聞社・放送局の歴史に見るオトコ(会社)同士の絆(北出真紀恵)
 1 マスメディア企業のジェンダー・ギャップ
 2 戦争と競争――新聞社の産業的発展と全国紙の寡占化
 3 テレビの登場と「メディア・イベント」
 4 ネットワークと「系列化」による東京への集中
 5 オトコ(会社)同士の“絆”――「全国紙・キー局」チームの独占的地位
 6 オンナたちからの問いかけ
8 ニュースとは
――報道が描く女性像(四方由美)
 1 ニュース価値とメディアの議題設定
 2 ニュースにおける象徴的排除と偏見
 3 インターネット社会におけるニュース
 4 犯罪報道の現在――女性はどのように報道されるか
 5 「報道被害」とネットミソジニー
9 メディアを使う
――オーディエンス論から考えるジェンダー・ステレオタイプの影響(有馬明恵)
 1 メディア×ジェンダー×オーディエンスの問題点
 2 社会・文化的装置としてのテレビ
 3 ジェンダー・性役割意識を培養するテレビ
 4 メディア利用の多様化と培養効果
 5 なぜオーディエンスはステレオタイプな描写の影響を受けるのか
 6 グローバルな課題としてのジェンダー・ステレオタイプ
第Ⅳ部 メディア文化とジェンダー
10 サブカルチャー論
――女性の抵抗文化とエンパワメントの循環(川端浩平)
 1 メインカルチャー/サブカルチャーを分かつ境界線の力学
 2 サブカルチャーとジェンダー秩序――自分の言葉で語ること
 3 ポストフェミニズム的状況と抵抗文化の変容――引き継がれる抵抗のバトン
 4 ポピュラーフェミニズムの循環と交差性
――ポップへの愛憎を「誠実」に問い返す
 5 サブカルチャーとエンパワメントの循環
――かつての「不良少女(レディース総長)」の現在地
11  ファンカルチャー論

――韓流ブームにみる女性たちのエンパワメント(吉光正絵)
 1 ジェンダーの視点からみるファンカルチャー
 2 「冬ソナ」のロケ地めぐりからコピーダンスブームへ――第一次・第二次韓流ブーム
 3 インスタ映え、K文学、ファン・アクティビズム――第三次・第四次韓流ブーム
 4 女性ファンのエンパワメントと抵抗
12 セクシュアリティとメディア
――表象と性をめぐる規範(堀あきこ)
 1 セクシュアリティとは
 2 女性表象とセクシュアリティ
 3 性の多様性
 4 性的マイノリティの描かれ方
 5 ジェンダーとセクシュアリティが複雑に絡んだBL
13 エスニシティとメディア
――ジェンダーとエスニシティが交わる「インターセクショナリティ」から考える(林 怡
蕿)
 1 エスニック・マイノリティの可視化
 2 声を取り戻すためのメディア実践――台湾のエスニック・メディア
 3 ステレオタイプ化されるエスニシティとジェンダーの表象
 4 複数の抑圧とその解放に向けて――「インターセクショナリティ」という視点
終章 情報化社会とジェンダーの未来(林 香里)
1 メディア研究の行き詰まり
2 ジェンダー概念が切り開く新たなメディア研究の地平
3 21世紀のデジタル・テクノロジーがもたらす問題
4 メディア研究におけるジェンダー概念の重み
コラム1 「ここはこうやろ!」を変える(武田砂鉄)
コラム2 #KuToo以降のSNSとの闘い(石川優実)
コラム3 「女子アナ」がいなくなる日(小島慶子)
コラム4 メディア・コンテンツに見る性的マイノリティへの蔑視(松岡宗嗣)
引用・参考文献
索   引
執筆者紹介

著者プロフィール

林 香里  (ハヤシ カオリ)  (編集

東京大学大学院情報学環教授。専門はジャーナリズム・メディア研究。
主著:『メディア不信──何が問われているのか』(岩波書店、2017年)、『〈オンナ・コドモ〉のジャーナリズム──ケアの倫理とともに』(岩波書店、2011年)、『テレビ番組制作会社のリアリティ──つくり手たちの声と放送の現在』(共編著、大月書店、2022年)、『足をどかしてくれませんか。──メディアは女たちの声を届けているか』(編著、亜紀書房、2019 年)

田中 東子  (タナカ トウコ)  (編集

東京大学大学院情報学環教授。専門はメディア文化論、カルチュラル・スタディーズ、フェミニズム。
主著:『メディア文化とジェンダーの政治学──第三波フェミニズムの視点から』(世界思想社、2012年)、『ガールズ・メディア・スタディーズ』(編著、北樹出版、2021年)、『いいね!ボタンを押す前に──ジェンダーから見るネット空間とメディア』(共著、亜紀書房、2023年)、『フェミニズムとレジリエンスの政治──ジェンダー、メディア、そして福祉の終焉』(マクロビー著、共訳、青土社、2022年)、『出来事から学ぶカルチュラル・スタディーズ』(共編著、ナカニシヤ出版、2017 年)

上記内容は本書刊行時のものです。