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GIGAスクール・マネジメント 佐藤明彦(著/文) - 時事通信出版局
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GIGAスクール・マネジメント (ギガスクールマネジメント) 「ふつうの先生」がICTを「当たり前」に使う最先端自治体のやり方ぜんぶ見た。 (フツウノセンセイガアイシーティーヲアタリマエニツカウサイセンタンジチタイノヤリカタゼンブミタ)

教育
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四六判
縦188mm 横131mm 厚さ15mm
191ページ
定価 1,600円+税
ISBN
978-4-7887-1754-1   COPY
ISBN 13
9784788717541   COPY
ISBN 10h
4-7887-1754-9   COPY
ISBN 10
4788717549   COPY
出版者記号
7887   COPY
Cコード
C0037  
0:一般 0:単行本 37:教育
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2020年8月12日
書店発売日
登録日
2021年5月8日
最終更新日
2021年7月9日
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書評掲載情報

2022-04-30 朝日新聞  朝刊
評者: 神林龍(一橋大学教授・労働経済学)
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紹介

GIGAスクール構想により、いよいよスタートした児童生徒1人1台への端末導入。文部科学省の調査では97.6%の自治体で、20年度内に端末の導入を完了しました。一方で、学校現場からは、ただでさえ多忙な中、端末導入に対応しきれていないという先生方の声も聞こえてきます。
「どうやって使えばいいのか……」
「子供に聞かれたらどうしよう……」
「また負担が増える……」
こう思っている先生も、少なくありません。
そんな中で参考にしたいのが、熊本市教育委員会の先駆的な取り組みです。同教委は、2016年に起きた熊本市地震の復興を担う人材を育成するという目標を掲げ、2018年度からiPadの導入を開始。2020年にコロナ禍で全国の学校が一斉休校した際には、学校と家庭の端末を駆使して、オンライン授業を実現しました。熊本市のICT整備率は2017年度までは20政令指定都市中19位という状況だったことから、一連の出来事は教育界で「熊本市の奇跡」として一躍有名になりました。
現在、熊本市では、「ふつうの先生」が、ごく「当たり前」に、端末を気軽に利用しています。ICTが「苦手」で「嫌い」だった先生が、授業で「イキイキ」と活用しているようなケースもゴロゴロ転がっています。
どうしてこのようなことが可能になったのでしょうか。その秘密は、「マネジメント」にあります。本書は、熊本市教育委員会や学校管理職、ミドル・リーダー、ICT支援員、そのほかごく普通の先生たちがICTを「当たり前」にするために生み出した数々のメソッドを紹介するものです。これを読めば、ICTの得意・苦手に関わらず、どんな先生でも授業で端末を気軽に使いこなせるようになるはずです。
通常、学校教育の事例集は「学習指導案」が掲載され、体裁も「横書き」です。でも、本書には指導案は一本も載っていませんし、体裁も「縦書き」です。加えて、教育書としてはかなりライトな構成になっています。それは、「読み物」としてサクサク読み進めてもらい、読み終わった後に「これならできそう」「やってみようかな」と思ってもらうような本を目指しているからです。
全国には、1人1台の端末が導入されることに、煩わしさや不安を感じている先生もいることでしょう。初めてのことですから、当然です。そんな方は、ぜひ本書を読んでみてください。きっと「なあんだ。そんなことでいいのか」と肩の荷が下りると思います。

目次

はじめに
PART1 熊本市の学校ICT化、推進の狙いとは?―コンセプトのマネジメント―
 震災復興のために「主体的に「主体的に考え行動する子ども」を育てる!
 「主体的に考え行動する力」を育むための道具がICT
 わずか1年で端末の使用が「当たり前」に
 端末を活用した授業の具体例
 「個別最適化された学び」は主たる目的ではない
 ICTを使うべきは教師ではなく子供
 「思考ツール」を使って自分の考えを整理する
 PBLで威力を発揮
 授業後の「振り返り」の量が増え、質も高まった
 教科の枠を超えた「生きた知」を習得する 40

PART 2 教師の自由で創造的な実践を引き出す―教育委員会のマネジメント―
 セルラーモデルの端末を子供と教師に1台ずつ配布という「英断」
 将来を見据え異なる端末・OSでも使用できるアプリを導入
 活用の「分水嶺」は家庭への「持ち帰る・持ち帰らない」問題
 活用促進の敵は過度な「使用制限」
 子供・保護者向けの「同意書」で、端末使用のルールを徹底
 教員を集めるのではなく、チームが各学校を回る「導入研修」を実施
 各学校に「促進担当教諭」ではなく「推進チーム」を置いた
 活用推進のカギは行政サイドから教員への手厚いサポート体制!
 現場で生まれた実践をクラウドにあげ、市内の全教員で共有!

PART 3 端末の活用が「自然に」広がる工夫―ミドルリーダーのマネジメント―
 CASE 1 教員たちがわいわい楽しむうちに活用が進んだ! 「放課後タブレットカフェ」 熊本市立尾ノ上小学校
 風穴を空けたコロナ禍の一斉休校
 全教員が公開授業の授業者になるシステムに抜本改革
 参加した教員が思わず笑顔になる「ワークショップ型」の校内研修を実施
 効果絶大!お菓子とともに歓談する「放課後タブレットカフェ」
 教委の柔軟な姿勢が教師の取り組みを支える!
CASE 2「きっちり」ではなく、「ゆるさ」が端末活用促進のカギ! 熊本市立白川小学校
 コロナ禍で「どうすればできるか」を考えた若手リーダー
 「一人一役」ではなく、皆で「ゆるく重なる」
 アンケートで「困りごと」を丁寧に拾って勉強会で解決!
 「使ってみよう」を支えた多様な「相談のチャンネル」
CASE 3 研究部と情報化推進チームが連携し、中学校の「教科担任制の壁」を突破! 熊本市立白川中学校
 「推進体制」と「研修」からアプローチ
 研究部と情報化推進チームの連携
 「他教科の授業を見たことがない」を変えたコロナ禍でのオンライン授業
 全教師でICT活用法を共有しあう校内研修
 クラウドに各教員のICT活用実践をどんどん蓄積

PART 4 活用を広げ、深める仕組みづくり―管理職のマネジメント―
CASE 1 超多忙な小学校教員たちに、端末活用が有効な単元を「見える化」する 熊本市立城東小学校
 6年間の「系統性」を意識して「情報活用能力」を育成
 端末活用が効果的な単元を年間指導計画に蓄積・共有
CASE 2 「ちょっと待て」ではなく「いいね、やってみよう!」で広まったICT活用熊本市立帯山西小学校
 子供から次々出てきた「わくわく」する特活のアイデア!
 転校生と仲良くなるために子供たちが考えた「Zoom鬼ごっこ」
CASE 3 生き生きと端末を使う生徒を見て、教員にも活用が浸透! 熊本市立北部中学校
 「生徒会活動」で生徒たちがICTをフル活用 
 3年生社会科のPBL型授業「1000万円で公園をつくる」
 「北部ESD学びの地図」の作成
CASE 4 カリキュラム・マネジメントでプログラミング教育を発展させる 熊本市立楡木小学校
 プログラミングに詳しい先生はほとんどいなかった
 グループでのPBL型学習にプログラミングを取り入れる
 年間指導計画の中にどう位置付けるか

PART 5 現場が安心して活用できるようにする―ICT支援員のマネジメント―
 「ICT支援員」は熊本市の宝!
 7・1校に1人の支援員
 超大忙しの支援員たち
 「空気」のように振る舞い、教師の授業をサポートする
 教師の「願い」を聞いて、オリジナル教材を開発
 ICT関連の研修も必ず支援員がサポート
 機器のメンテナンス、トラブル対応はどのように行うか
 教師の「働き方改革」にも貢献
 学校に「食い込む」ために制服やキャラクターも導入
 自治体にICTが広がるかは、支援員次第と言っても過言ではない!

PART 6 ICTが「苦手」だった私の実践 ―各教員の授業から―
 ICT活用の「格差」をどうとらえるか
 反響を呼んだ「ごんぎつねにBGM」の授業
 消防署と教室をZoomでつなぐ
 「活用」が先か、「資質・能力」が先か
 算数の文章題の「再現動画」を作る
 算数で学んだことを生かし、校庭に「巨大地上絵」を描く

著者プロフィール

佐藤明彦  (サトウアキヒコ)  (著/文

教育ジャーナリスト。1972年滋賀県出身。大手出版社勤務を経てフリーの記者となり、2002年に編集プロダクション・株式会社コンテクストを設立。教育書の企画・編集に携わる傍ら、自身は教育分野の専門誌等に記事を寄稿。教員採用試験対策講座「ぷらすわん研修会」の事務局長。「月刊教員養成セミナー」元編集長。著書に『教育委員会が本気出したらスゴかった。―コロナ禍に2週間でオンライン授業を実現した熊本市の奇跡』『職業としての教師』(ともに時事通信社)。

前田康裕  (マエダヤスヒロ)  (監修

1962年、熊本県生まれ。熊本大学教育学部美術科卒業。岐阜大学教育学部大学院教育学研究科修了。公立小中学校教諭、熊本大学教育学部付属小学校教諭、熊本市教育センター指導主事、熊本市立向山小学校教頭を経て、2017年4月より熊本大学教職大学院准教授。2021年3月退官。著書に『まんがで知る 教師の学び』『まんがで知る 未来への学び』シリーズ(さくら社)など多数。

上記内容は本書刊行時のものです。