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万葉集の発明 新装版
国民国家と文化装置としての古典
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年4月25日
- 書店発売日
- 2019年5月7日
- 登録日
- 2019年4月8日
- 最終更新日
- 2019年7月11日
紹介
私たちは「万葉集」についてどういうイメージをもつだろうか。大多数の人にとってそれは、「天皇から庶民まで」が「質朴な感動を雄渾な調べで真率に表現した」、日本民族が誇る国民歌集というものではなかろうか。著者は、万葉集についてのこの強固なステレオタイプのイメージはいかにして出来上がったかを問い、 古典が明治近代の国民国家の文化装置として成立したことを、文学史を博捜して緻密な論理で跡づける。
目次
◆目次
はじめに
第一章 天皇から庶民まで――『万葉集』の国民歌集化をめぐる問題系
一 国民歌集の構造
二 子規の再発見という通念
三 金属活字版『万葉集』の出現
四 一八九〇年という画期
五 国民の全一性の表象
第二章 千年と百年――和歌の詩歌化と国民化
一 国民歌集の前史
二 『新体詩抄』と和歌改良論
三 国文学と国民文学
四 子規のスタンス
五 国民歌集と国民教育
第三章 民族の原郷――国民歌集の刷新と普及
一 民謡の発明
二 万葉びとの創成
三 異端者伊藤左千夫
四 教育者の聖典――島木赤彦の万葉尊重1
五 伝統の発達――島木赤彦の万葉尊重2
おわりに/注/人名索引
前書きなど
『万葉集』は、広く読まれたために、「日本人のこころのふるさと」となったのではない。逆に、あらかじめ国民歌集としての地位を授かったからこそ、その結果として、比較的多くの読者を獲得することになった。いくぶん奇矯な言い回しになるが、その際、読者をはるかに上回る数の非読者までを獲得したともいえるだろう。国民歌集に対する尊敬や愛着は、学校を主要な舞台として、いわば文部省推薦の公式固定観念として広められてきたからである。(「はじめに」より
版元から一言
このたび新しい「令和」という元号が万葉集を典拠としているということから、「万葉集」ブームがおきております。本書もその「ブーム」のなかで、「万葉集」再考の契機として読むべき名著という声が多くあり、それにこたえて、このたび復刊することになりました。
上記内容は本書刊行時のものです。