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増補新版 おばあちゃんが、ぼけた。 村瀬 孝生(著) - 新曜社
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増補新版 おばあちゃんが、ぼけた。 (ゾウホシンバン オバアチャンガ ボケタ)

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発行:新曜社
四六判
192ページ
並製
価格 1,300円+税
ISBN
978-4-7885-1566-6   COPY
ISBN 13
9784788515666   COPY
ISBN 10h
4-7885-1566-0   COPY
ISBN 10
4788515660   COPY
出版者記号
7885   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年5月
書店発売日
登録日
2018年4月13日
最終更新日
2018年5月11日
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紹介

混沌をおそれず、この1冊でぼけを丸ごと学ぼう!

「ぼけの可笑しさ、不思議さ、怖さ、美しさを通して、私たちは人間というい
のちの限りない深みに触れるのです」──。詩人、谷川俊太郎さんが、「わた
しがボケたさいにはここに入りたい」と願った、福岡市内は認知症の人々が集
う「宅老所よりあい」。入所者、通所者、スタッフ、家族が繰り広げる、繊細
にして抱腹絶倒日々のすべてを、認知症当事者たちから「おにいちゃん」と呼
ばれ続け、ついぞ名前を呼ばれることのないまま20年、の頼りなくもたくまし
い施設長が語ります。谷川俊太郎氏のエッセイ「ぼけの驚異」や4コママンガ
を多数収録。書き下ろし「その後も、おばあちゃんは、ぼけた。」を増補。

目次

増補新版 おばあちゃんが、ぼけた。 目次

まえがき

第Ⅰ部

老人ホームは姥捨山? パート1
 リポビタンDばあさん/H2Oじいさん/なるな! ぼんくらと盗人だけには!/花盗りばあさん事件/ハツさん危うし

老人ホームは姥捨山? パート2
 縦六歩×横九歩の部屋/留吉さんの団子/十六人のオムツ交換/老いのゆっくりタイム
 /カミタマ村のにはキツネが出るそう。/ジョーズばあさん、探しものは何ですが?
 /あたいらここに捨てられたとばい。

生きることにつきあう! パート1
 柿どろぼうがおる!/涙のお別れなのに・・・・・・/野垂れ死にする覚悟で生きとる。/舌を噛んで死んでやる。
 /あたきの入れ歯を返せ!/チチちゃんの泣き声/南無阿弥陀仏、南無妙法蓮華経、なんまいだ~、アーメン

生きることにつきあう! パート2
 落ちる/縛る/食べる/出す/眠る

生きることにつきあう! パート3
 歩く/途方に暮れる/困り果てる/土下座をする/考える/折り合う/

生きることにつきあう! パート4
 笑う/怒る/泣く/抗う

生きることにつきあう! パート5
 忘れる/失う/集う/認める

死につきあう? パート1
 美しい。ぴしゃりとしとる。/形見分けのちゃぶ台/そういうわけにはいかないんですッ/今日の夕食は、魚の煮付けだ

死につきあう? パート2
 線路をつたえば、どこでも行ける/なにかを探して歩き続ける/お父さんが治った!?

ふつうに生まれて、ふつうに死ぬこと
 生まれる/働く/老いる/ぼける/当たり前を生きる

その後も、おばあちゃんは、ぼけた。
 あっ、花が咲く/婦人の滝/お母さん、お母さん、入れ歯がないの/天寿

ぼけの驚異 谷川俊太郎

 装幀=祖父江 慎+ 根本 匠(cozfish)

前書きなど

増補新版 おばあちゃんが、ぼけた。 その後も、おばあちゃんは、ぼけた

あっ、花が咲く

 「百年を生きるって、どんな感じ?」。文枝さんは「あら、あら、私はそんなに年寄りじゃありませんよ」と答えました。「今、何歳ですか?」と聞き直すと「あら、あら、ふふふ」と笑って目を閉じます。僕は百年を生きる人間の実感を知りたかったのでした。

 文枝さんの顔はとても大きいのです。それは、百年の間に関節がちぢんで体が小さくなったから。シワがたくさんあって、シミだらけなのです。それは、遊び、働くうちに、いっぱい陽を浴びたから。背中は亀の甲羅のように丸いのです。それは、家事や子育てに頑張ったから。

 体全体が固まっているのですが、〝ひょい〟と足を上げてお風呂に入ったりもします。「こう見えて、体は柔らかいのです」と長男さんが少し自慢げに話します。椅子に腰かけて、いつも居眠りをしています。たまに目を開けて、あたりをゆっくりと見回します。そして、静かに目を閉じます。

 目をつむったまま、顔は天を仰ぎます。その表情は悲しそうだったり、楽しそうだったり、無表情だったりします。「何を考えているのですか」と尋ねても返事はありません。何を聞いても応えてくれないので、「生きていますか、死んでいますか」と言ってみました。すると、「ふふふ」と笑います。

 僕たちが介護しなければ、文枝さんは何時間でも座っていることでしょう。ご飯も食べず、トイレも行かず、不平不満ひとつこぼさずに、そして、静かに死ぬでしょう。何事もなかったかのように。そうやって死なれては困ります。だから、僕たちは介護介護をします。

・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・

お年寄りはいろんなことを教えてくれます。同じ毎日はないということ。人は自分の思い通りにはならないということ。人は死ぬということ。そんな、当たり前のことを教えてくれています。

上記内容は本書刊行時のものです。