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落語と小説の近代 大橋 崇行(著) - 青弓社
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落語と小説の近代 (ラクゴトショウセツノキンダイ) 文学で「人情」を描く (ブンガクデニンジョウヲカク)

社会一般
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発行:青弓社
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ24mm
重さ 376g
308ページ
上製
定価 2,800円+税
ISBN
978-4-7872-9272-8   COPY
ISBN 13
9784787292728   COPY
ISBN 10h
4-7872-9272-2   COPY
ISBN 10
4787292722   COPY
出版者記号
7872   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年2月24日
書店発売日
登録日
2023年1月16日
最終更新日
2023年6月5日
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紹介

三遊亭円朝の「怪談 牡丹灯籠」「怪談乳房榎」などから、明治期の物語の様相や「人情」の語られ方を読み解く。そこから小説が落語に翻案されるプロセス、物語がメディアを越境する諸相を分析し、日本近代文学研究、アダプテーション研究の新たな地平を示す。

目次

序 章 落語の近代――アダプテーションの視点から考える
 1 本書の目的と初代三遊亭円朝についての研究状況
 2 落語と〈近代〉
 3 アダプテーションの理論とテクスト
 4 アダプテーションの、その先へ
 5 本書の構成

第1部 人情噺と怪談噺のあいだ

第1章 「人情」を語る怪談――三遊亭円朝「怪談 牡丹灯籠」
 1 人情噺としての「牡丹灯籠」
 2 円朝の談話における「人情」
 3 語る「人情」、演じる「人情」
 4 坪内逍遥の「人情」論と人情噺の関係
 5 小説表現への接続

第2章 「幽霊」と「神経病」――三遊亭円朝「真景累ヶ淵」
 1 「幽霊」と「神経病」
 2 「神経病」言説の流行
 3 「真景」「真情」としての「執念」

第3章 「見えがたきもの」を見えしむる――三遊亭円朝「怪談乳房榎」
 1 奇談としての病
 2 人情噺への翻案

第2部 落語と小説のあいだ

第4章 メロドラマの翻案――三遊亭円朝「錦の舞衣」
 1 「錦の舞衣」について
 2 「錦の舞衣」の概要と先行研究
 3 「やまと新聞」の翻案物と「錦の舞衣」
 4 「小説」をめぐる言説
 5 「悲劇」と「メロドラマ」
 6 仇討物によるジャンルの翻訳

第5章 小説を落語にする――三遊亭円遊「素人洋食」
 1 「素人洋食」の評価と原作の存在
 2 二つの「素人洋食」
 3 長屋噺への変更
 4 「士族の商法」「素人鰻」との関係

第6章 講談・落語・小説の境界――快楽亭ブラック「英国実話 孤児」
 1 実話としての落語
 2 快楽亭ブラックの西洋人情噺
 3 様式としての実話
 4 講談と落語のあいだ
 5 小説との関わり

第7章 落語を「小説」化する――談洲楼燕枝「西海屋騒動」
 1 「西海屋騒動」について
 2 初代談洲楼燕枝と「小説」
 3 翻案としての「西海屋騒動」
 4 落語を「小説」化する
 5 燕枝による「小説」の変容

第3部 「人情」と言文一致

第8章 翻訳と言文一致との接点
 1 明治初期の「豪傑訳」
 2 逐語訳による翻訳
 3 アダプテーションとしての「豪傑訳」
 4 文体としての言文一致体
 5 翻訳と言文一致との接点

第9章 『源氏物語』と坪内逍遥の「人情」論
 1 「世態」の反映としての『源氏物語』
 2 英語圏の「小説」観との差異
 3 『小説神髄』と『源氏物語玉の小櫛』との関係

第10章 キャラクターからの離脱――坪内逍遥『小説神髄』「小説の裨益」「主人公の設置」
 1 円朝と日本の近代文学
 2 「人情(ルビ:にんじやう)」論と『倍因氏 心理新説』
 3 キャラクターからの離脱
 4 逍遥による円朝の評価

主要参考文献一覧

初出一覧

おわりに

人名索引

事項索引

版元から一言

江戸期から明治期にかけて、大衆芸能である落語は小説にどのような影響を与えたのか。落語は西洋近代とどのように出会い、どのように向き合ったのか。

三遊亭円朝の「怪談 牡丹灯籠」「怪談乳房榎」「真景累ヶ淵」「錦の舞衣」のほか、三遊亭円遊、快楽亭ブラック、談洲楼燕枝など、同時代に活躍した噺家による落語も議論の俎上に載せて、明治期の物語の様相や「人情」の語られ方を丁寧に読み解いていく。

これらの議論を通じて、言文一致をめぐる問題、坪内逍遥の「人情」論を再考するとともに、小説が落語に翻案されるプロセス、物語が小説・落語・講談などのメディアを越境する諸相を分析し、日本近代文学研究、アダプテーション研究の新たな地平を示す。

著者プロフィール

大橋 崇行  (オオハシ タカユキ)  (

1978年、新潟県生まれ。作家、成蹊大学文学部准教授。専攻は日本近代文学。小説に『遥かに届くきみの聲』(双葉社)、『小説 牡丹灯籠』(二見書房)、著書に『言語と思想の言説――近代文学成立期における山田美妙とその周辺』(笠間書院)、『中高生のための本の読み方――読書案内・ブックトーク・PISA型読解』(ひつじ書房)、共編著に『ライトノベル・フロントライン』全3巻、『小説の生存戦略――ライトノベル・メディア・ジェンダー』(いずれも青弓社)など。

上記内容は本書刊行時のものです。