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現代中国と日本文学の翻訳 孫 軍悦(著) - 青弓社
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現代中国と日本文学の翻訳 (ゲンダイチュウゴクトニホンブンガクノホンヤク) テクストと社会の相互形成史 (テクストトシャカイノソウゴケイセイシ)

文芸
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発行:青弓社
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ27mm
重さ 411g
372ページ
上製
定価 3,600円+税
ISBN
978-4-7872-9259-9   COPY
ISBN 13
9784787292599   COPY
ISBN 10h
4-7872-9259-5   COPY
ISBN 10
4787292595   COPY
出版者記号
7872   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年2月26日
書店発売日
登録日
2021年1月6日
最終更新日
2021年4月10日
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紹介

1960年代から2000年代までの日本文学の翻訳・舞台化・映画化を中国の政治・経済・法律などの諸制度とも絡めて考察して受容の実態に迫り、原作-翻訳-受容のダイナミックな相互作用が中国社会に与えたインパクト、そして文学と社会の共振の諸相を描き出す。

目次

まえがき

序 章 新たな翻訳研究に向けて
 1 中国での日本文学翻訳の概況
 2 翻訳と社会の相互形成史
 3 本書の構成と内容

第1部 翻訳の歴史と歴史の〈翻訳〉

第1章 日中関係史のなかの『天平の甍』
 1 「鑑真」の発見――「国民外交」としての翻訳
 2 鑑真の招請と行基の影――翻るテクスト
 3 「政治的意図」の行方――連載から単行本へ
 4 歴史認識の歴史性――「二千年余にわたる友好の歴史」

第2章 運動としての演劇
 1 芸術性・大衆性・政治性――前進座の歩みと中国の演劇改革
 2 階級闘争と民主集中制――長翫コンビ消失の舞台裏
 3 「共生」の物語から「共同」の事業へ――『天平の甍』の舞台化
 4 宗教者・革命者・科学者――「鑑真」像の変容

第2部 文芸・推理・法治

第3章 「推理小説」の点と線
 1 「推理(detective)」と「推理(inference)」――「推理小説」という名の翻訳
 2 近代法学への接近――「法律論理学」の創成
 3 科学と法の文学――新しいジャンルとしての「推理小説」
 4 語る政治/読む快楽――探偵小説の合法化

第4章 「法治化」と日本映画ブーム
 1 「法」とは何か――中国語版『君よ憤怒の河を渉れ』
 2 悪と罪――文化大革命後の『人間の証明』と『砂の器』
 3 揺れる「法」――「毒/薬(ルビ:パルマコン)」としての翻訳

第5章 「法制文学」の誕生と変容
 1 イデオロギーの競技場――外国推理小説の出版をめぐる攻防
 2 「中国社会主義法制文学」の提起――外国推理小説に抗して
 3 法教育から社会批判へ――「法制文学」の転換

第3部 世界はあなたたちのもの、またわたしたちのもの

第6章 『ノルウェイの森』と文学生産体制の転換
 1 文学が商品になる時代――一九八九年の『ノルウェイの森』
 2 格調が高いベストセラー――「村上春樹」ブランドの生成
 3 市場経済のなかの文学と政治――村上春樹評価の転換

第7章 『ノルウェイの森』の翻訳と受容
 1 牧歌の余韻――翻訳テクストにおける一九六〇年代
 2 美感の等値――文体と感情の動員
 3 「老上海(ルビ:オールド・シャンハイ)」をのぞく万華鏡――『ノルウェイの森』の読書体験

第8章 「誤訳」のなかの真理
 1 「誤訳」の連鎖――翻訳テクストの意味論的ネットワーク
 2 なぜほかでもなくこのように「誤訳」したのか――翻訳研究の課題

終 章 〈翻訳〉による「脱階級化」と「再政治化」
 1 啓蒙としての翻訳――再び反封建の時代へ
 2 意味の読み替え――言語表現の「脱階級化」
 3 「人民」から「国民」へ――「階級」の消失と日中関係
 4 その土地の人民の魂に触れ――翻訳の地点

初出一覧

あとがき

版元から一言

戦後の日本と中国は、対立と友好の狭間で揺れ動きながら関係を形作ってきた。そのようななか、日本の文学は中国でどう翻訳されて、中国の人々にどう受容され、いかなる影響を与えてきたのだろうか。

1960年代から70年代までの井上靖『天平の甍』の翻訳と舞台化、70年代末から80年代末までの日本推理小説や映画のブーム、80年代末から2000年代にかけての村上春樹『ノルウェイの森』の翻訳と受容という3つのテーマに焦点を当てる。そして、国交正常化、文化大革命、社会主義の諸政策など、各時代の社会的な背景とともに人々の翻訳の受容の実態を浮き彫りにする。

日本文学の翻訳・舞台化・映画化を中国の政治・経済・法律などの諸制度とも絡めて考察して、原作-翻訳-受容のダイナミックな相互作用が中国社会に与えたインパクト、そして文学と社会の共振の諸相を描き出す。

著者プロフィール

孫 軍悦  (ソン グンエツ)  (

2010年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。東京大学教養学部、人文社会系研究科・文学部教員を経て、現在、立命館大学国際関係学部教員。専攻は比較文学、翻訳研究。共著に『国際日本学研究の最前線に向けて――流行・ことば・物語の力』(国立台湾大学出版中心)、『村上春樹と小説の現在』(和泉書院)、訳書に溝口雄三『方法としての中国』『李卓吾――正統を歩む異端』、新崎盛暉『現代日本と沖縄』など。

上記内容は本書刊行時のものです。