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戦後日本の〈帝国〉経験
断裂し重なり合う歴史と対峙する
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年11月26日
- 書店発売日
- 2018年11月26日
- 登録日
- 2018年10月2日
- 最終更新日
- 2020年6月15日
紹介
兵役を忌避した沖縄の人々、上海で慰安所に関与した日本人・朝鮮人、ブラジルで俳句に自らを表現した日系移民、タイから日本に密航した労働者――。「個人と戦争との軋轢」や「人々の内にある帝国の痕跡」から現代史を逆照射する歴史への挑発。
目次
“世界のどこかで私を待っている人”へ――「日本学叢書」刊行にあたって 川村邦光
まえがき 杉原 達
第1部 「内地」と「外地」のはざま
第1章 内地と外地の間で――戦前沖縄の軍事的特色 荒川章二
1 日本(ルビ:ヤマト)の「国民軍」と沖縄
2 日清戦争から徴兵制の施行へ
3 日露戦争・戦後軍拡と本部(ルビ:もとぶ)事件
4 本土との制度的一体化時期の沖縄在郷兵と勤務演習事件
第2章 漢詩人の越境と帝国への「協力」――籾山衣洲の台湾体験を例として 許時嘉
1 「無用」というレトリックの多義性と批判性――寺門静軒と成島柳北の場合
2 籾山衣洲の無用論の射程――「台北夢華録」を例として
3 「戯れ」の可能と限界――「台湾風俗詩」の「台北竹枝詞(ルビ:ちくしし)」を例として
第3章 上海に見る遊郭と慰安所の関係性 宋連玉
1 東洋茶館と領事館の性管理政策
2 日清戦争・日露戦争と料理店の発展
3 上海事変以降の慰安所と性風俗業の変容
第2部 「帝国」と「戦後」のはざま
第4章 『琉僑管理案』に見る沖縄出身者の歴史経験――経験のゆくえと場の関係性を中心に 冨永悠介
1 『琉僑管理案』について――史料の性格と「口述調書」
2 「捕虜」的状況からの脱出――奥平春雄・吉川仁之助の密航
3 「体験」の「経験」化――奥平春雄の植民地台湾
4 「台湾省琉球人民協会」の設立と喜友名嗣正(ルビ:きゆなつぐまさ)
5 追認型就労規則と琉球人民協会――奥平春雄と吉川仁之助のその後
6 台湾省職業訓導総隊への収容
第5章 二つの「大広島」――「軍都」と「平和都市」の貫戦史 西井麻里奈
1 帝国日本の「大広島」――「大広島の建設」から広島港の建設まで
2 昭和産業博覧会にみる地域と軍隊――満洲事変前後
3 広島工業港の構想と挫折
4 復興のなかの「大広島」
5 広島復興大博覧会と「大広島」――昭和産業博覧会の想起をめぐって
第6章 戦争への想いを抱えて――ブラジル日系社会と戦後 ソアレス・モッタ・フェリッペ・アウグスト
1 正史からこぼれ落ちた経験
2 移民短歌と戦争への想い
第3部 「戦後」と「日本」のはざま
第7章 ミシンと「復興」――戦後沖縄の女性たちの生活圏 謝花直美
1 HBT(アメリカ軍戦闘服)を着た知事――女子労働によるミシン業の出発
2 青空市場の既製服――女性たちの新天地市場形成
3 救済のミシン
4 ミシンとジェンダー
第8章 「働人(ルビ:はたらきど)」平井正治における歴史との向き合い方――労働運動と民衆史と 杉原 達
1 労働運動と民衆史と
2 フィールドワークという方法
3 歴史を往還する
第9章 外国人として日本で働くということ 崔博憲
1 在日――戦後日本の「埒外」
2 帝国からグローバリゼーションへ?
3 密航出稼ぎ外国人労働者の後景――『無言の帰郷』をしたあるタイ人
4 合法的な外国人単純労働者――『RENNAI忍耐』する研修生・技能実習生
5 外国人労働者とは誰か
版元から一言
帝国日本から戦後日本へ――。歴史教科書ではこのような近現代史の理解が一般的だが、現実に人々は〈帝国〉での経験をいや応なく引きずり、ときに〈帝国〉と対峙しながら「新しい戦後」を生き抜いてきた。
兵役を忌避した沖縄の人々、上海で慰安所に関与した日本人・朝鮮人、ブラジルで俳句に自らを表現した日系移民、沖縄でミシン業を営んだ女性やタイから日本に密航した労働者――。
人々の生活実態と、その背景にある軍事政策や社会的な制度の展開を多面的に掘り起こす。「個人と戦争との軋轢」や「人々の内にある帝国の痕跡」から現代史を逆照射する歴史への挑発。
上記内容は本書刊行時のものです。