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幻視する近代空間
迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2006年10月
- 書店発売日
- 2006年10月12日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2017年7月5日
紹介
近代化の波のなか、民俗社会の危機的な状況に浮上したさまざまな事件──血税一揆、トラホーム、狐憑き、座敷牢などを軸として、変容する民衆の心性・コスモロジーと、それが国家による「死の共同体」へと統合されていく過程を透視する転換期の精神史。
目次
はじめに──厄災の「民俗」あるいは歴史の記憶からの出立
I 〈迷信〉と感情教育
1 「血税一揆」の民俗的心性
「血取り」「膏取り」の流言/「血税一揆」の生成/「血取り」のフォークロア/〈異人〉のフォークロア/〈異人〉の再生
2 トラホームと感情教育
文明開化と〈迷信〉/〈迷信〉のあぶりだし/病いと衛生/トラホームの出現/「迷信を避けよ」/感情教育への水路
II 狐憑きから「脳病」「神経病」へ
1 狐憑きの民俗
狐憑きの報道/近世の狐憑き論/生活世界での狐憑き/民俗治療と処遇
2 精神医学の狐憑きへの視線
狐憑きのフィールド・ワーク/ベルツの狐憑き論/呉秀三の狐憑き論/門脇真枝の狐憑き論
3 「脳病」「神経病」のイデオロギー
「脳病」「神経病」の来歴と流布/感覚・知覚の変容/「脳病」「神経病」薬の効能/「脳病」「神経病」の通俗化/イコン
III 座敷牢と幻視する霊魂
1 座敷牢の生産
相馬事件と「精神病者監護法」/座敷牢の実態/座敷牢のフォークロア
2 狐憑きから妄想へ
狐憑きの試練/「芦原将軍」の闘争/「妄想」考/パロディスト「芦原帝」
3 出口なおの近代/日常性批判
霊魂の覚醒/死と再生の空間/世の立替え/みたまの立替え/水晶のみたま/メディアとしての自己組織化
IV 近代日本と霊魂の行方
1 位牌の漂泊
「家殺し」の時代/祖先教の登場/先祖の再発見
2 霊魂の近代
日露戦争と心の交通/遊離魂の前線への逃亡/靖国教の霊魂管理/忠魂祭祀と人神思想/霊魂の記号化/先祖供養と民衆救済/死者との共存―共闘
あとがき
上記内容は本書刊行時のものです。