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「いい会社」をつくった名経営者の言葉
- 初版年月日
- 2018年11月30日
- 書店発売日
- 2018年12月12日
- 登録日
- 2018年11月8日
- 最終更新日
- 2018年12月17日
紹介
無名の小さな会社の中にこそ、優れた経営者がいる。
そこには、自らを鼓舞し、艱難辛苦を乗り越える、力強い「言葉」がある。
31人の「名経営者」による珠玉の名言とエピソード集。
<目次>
序章 人を大切にする経営こそが正しい 坂本光司
第1章 困難を乗り越える心のあり方
01 井上株式会社 代表取締役社長 井上大輔
02 株式会社日本レーザー 代表取締役会長 近藤宣之
03 株式会社クロフーディング 代表取締役 黒岩 功
04 出雲土建株式会社 代表取締役 石飛裕司
05 株式会社ウインローダー 二代目代表取締役社長 高嶋民雄
06 イカリ消毒株式会社 代表取締役会長 黒澤眞次
07 びわこホーム株式会社 代表取締役会長 上田裕康
第2章 企業経営の目的・志を確立する
08 双童日用品有限公司 主講人 楼 仲平
09 株式会社武蔵境自動車教習所 代表取締役会長 高橋 勇
10 株式会社さくら住宅 代表取締役 二宮生憲
11 社会福祉法人アンサンブル会 理事長 小椋年男
12 株式会社マルト 代表取締役社長 安島 浩
13 税理士法人報徳事務所 代表社員・理事長 赤岩 茂
14 株式会社ふくや 代表取締役会長 川原正孝
15 株式会社黒木本店 代表取締役社長 黒木敏之
第3章 企業の永続成長に欠かせないもの
16 水上印刷株式会社 代表取締役会長 水上光啓
17 島根電工株式会社 代表取締役社長 荒木恭司
18 株式会社協和日本ホールディングス 専務取締役 若松秀夫
19 九州電設株式会社 代表取締役会長 穴井憲義
20 株式会社坂東太郎 代表取締役会長 青谷洋治
21 伊那食品工業株式会社 代表取締役社長 井上 修
22 コープみやざき 理事長 真方和男
23 株式会社マキオ 代表取締役社長 牧尾英二
第4章 モチベーションを高める言葉
24 十勝バス株式会社 代表取締役社長 野村文吾
25 未来工業株式会社 取締役社長 山田雅裕
26 株式会社障がい者つくし更生会 専務取締役 那波和夫
27 東海バネ工業株式会社 元代表取締役社長 渡辺良機
28 株式会社吉村 代表取締役社長 橋本久美子
29 萩原工業株式会社 代表取締役会長 萩原邦章
30 株式会社ISOWA 代表取締役社長 磯輪英之
31 株式会社ケーズホールディングス 元代表取締役社長 加藤修一
目次
はじめに
序章 人を大切にする経営こそが正しい 坂本光司
第1章 困難を乗り越える心のあり方
01 フィール・ザ・モーメント いまの瞬間をしっかり感じて生きる 井上株式会社 代表取締役社長 井上大輔
02 遠回りこそ人生の最短ルート 人生において2点間の最短距離は直線ではない 株式会社日本レーザー 代表取締役会長 近藤宣之
03 諦める一歩先には必ず宝がある どんな苦境も思いがあれば道は開かれる 株式会社クロフーディング 代表取締役 黒岩 功
04 明るい未来しか見ない 七難八苦の先には必ずいいことがある 出雲土建株式会社 代表取締役 石飛裕司
05 失敗は尊い月謝である 苦難は幸福に至る入り口 株式会社ウインローダー 二代目代表取締役社長 高嶋民雄
06 努力を積み重ねた者のみが成功への乗車券をいただける イカリ消毒株式会社 代表取締役会長 黒澤眞次
07 ここにいられるのは社員のおかげである びわこホーム株式会社 代表取締役会長 上田裕康
まとめ あなたに経営者としての覚悟はあるか
第2章 企業経営の目的・志を確立する
08 人本経営は善意や道徳ではなく 企業経営のあるべき姿 双童日用品有限公司 主講人 楼 仲平
09 共尊共栄 共に認め感謝し、共に学び成長し、共に豊かになる 株式会社武蔵境自動車教習所 代表取締役会長 高橋 勇
10 税金を1円でも多く払いたい 社会に必要な存在なら赤字になるわけがない 株式会社さくら住宅 代表取締役 二宮生憲
11 定義がない改革論議は不毛である 目的を具体化することが実現への第一歩 社会福祉法人アンサンブル会 理事長 小椋年男
12 会社も不安だったが、社員はもっと不安だったと思った 株式会社マルト 代表取締役社長 安島 浩
13 益はないけど意味がある 目先の損得より社会にとっての善悪を優先 税理士法人報徳事務所 代表社員・理事長 赤岩 茂
14 受けた恩は石に刻め 施した恩は水に流せ 株式会社ふくや 代表取締役会長 川原正孝
15 真のブランドには満足しない謙虚さと信念、志がある 株式会社黒木本店 代表取締役社長 黒木敏之
まとめ あなたが会社を経営する目的は何か
第3章 企業の永続成長に欠かせないもの
16 NO TRY, NO SUCCESS. 水上印刷株式会社 代表取締役会長 水上光啓
17 腐った肉は食べない 戦略の失敗は戦術ではカバーできない 島根電工株式会社 代表取締役社長 荒木恭司
18 経営で大切なのは本当は地味なことにある 株式会社協和日本ホールディングス 専務取締役 若松秀夫
19 経営者は人・モノ・カネに責任を持たなければならない 九州電設株式会社 代表取締役会長 穴井憲義
20 夢は掛け算、日々は足し算、努努 株式会社坂東太郎 代表取締役会長 青谷洋治
21 世界でいちばん目立たない社長になる 伊那食品工業株式会社 代表取締役社長 井上 修
22 “見えない建設”で組合員とのより近い関係をつくる コープみやざき 理事長 真方和男
23 他店を見ないでほしい 真似したくなるから 株式会社マキオ 代表取締役社長 牧尾英二
まとめ 企業を永続させる3つの精神はあるか
第4章 モチベーションを高める言葉
24 撒かぬ種は生えない 種はいつか大きく花を開く 十勝バス株式会社 代表取締役社長 野村文吾
25 どう生きるも人生!社員に最高の舞台を提供したい 未来工業株式会社 取締役社長 山田雅裕
26 伝わらないのは伝える側の力量がないから 株式会社障がい者つくし更生会 専務取締役 那波和夫
27 無茶はあかん!でも、無理はしてやりなはれ! 東海バネ工業株式会社 元代表取締役社長 渡辺良機
28 制度ファーストではなく人ファースト 株式会社吉村 代表取締役社長 橋本久美子
29 一隅を照らし、社員一人ひとりと向き合う 萩原工業株式会社 代表取締役会長 萩原邦章
30 自分と自分の愛する家族の幸せのために働いている 株式会社ISOWA 代表取締役社長 磯輪英之
31 現場が稼いだお金を本部が無駄に使えない 株式会社ケーズホールディングス 元代表取締役社長 加藤修一
まとめ モチベーションの高い会社は例外なく好業績
おわりに
前書きなど
松下幸之助や本田宗一郎など「名経営者」と言われる企業人が遺した言葉に関する書物は、すでに複数が刊行されています。たしかに、誰でも知っている名経営者の言葉には心に響くものがあります。
一方、「人を大切にする経営学会」の坂本光司会長と一緒に活動するようになって感じたのは、たとえ小さな会社であったとしても、その経営者の生きざまや意思決定には、有名大企業に経営者に勝るとも劣らない、むしろそれ以上に印象に残るものが数多くあるということでした。何より、私自身が彼らの言葉に強く心を打たれました。
会ったこともない偉大な経営者ではなく、こんなに身近にも命がけで素晴らしい経営をしている経営者がいることをぜひとも伝えたいと、「月刊人事マネジメント」の伊藤彰彦代表に提案をして、2年間連載してきました。
本書はこれまでに連載したもののリライトに加え、私がこれまで出会った素晴らしい経営者の言葉を追加して書き上げました。さらに、一緒に活動を共にし、本書で紹介するほとんどの会社に私を連れて行っていただいた恩師、人を大切にする経営学会会長の坂本光司先生に監修をお願いしてまとめたものです。
以前、まだ若く未熟で世の中がわからなかった私は、有名大企業、さらに有名大企業で舵を切る経営者に対して、無意識に憧れを持っていたかもしれません。コンサルタントファームに勤めていたおかげで、個人でコンサルタントをやっていたらとても経験を積むことができなかった企業で仕事をすることもできました。その当時は、「俺も、こんな有名大企業でコンサルや研修の仕事ができるようになった」と、正直嬉しく誇らしげでもありました。
しかし、年を重ねていき、50歳直前といった年齢で起業して、十数名の小さな会社を経営する自分自身の経験に照らしてみると、社内で上り詰めた上場会社の経営者よりも、地方の中小・中堅企業の経営者たちの言葉の中にこそ、自らの指針ともなる心に沁みる言葉があったように思います。
それはなぜかと言えば、背負っているものが違うからではないでしょうか。中小企業の社長は、あ会社の全リスクを一身に家族と共に背負っていることが珍しくありません。少し緩和される傾向にあるものの、まだまだ銀行など金融機関から設備資金/運転資金の借入金をする際に、社長の個人保証によるものが少なくないのが現状です。
ですから、もし会社が倒産してしまえば、全財産を一瞬して失う危険を常にはらんでいます。中には社長の配偶者も連帯保証をして、その実家の家屋敷まで担保になっているケースもあります。
昔から金融機関をたとえて、「晴れの日に傘を貸し、雨が降ると傘を取り上げる」といった言葉があります。もちろん、人を大切にする経営学会が事務局を務める「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」を受賞したような金融機関であれば、取引先の事業継続のために必死に支援しますが、そうでないところもあります。
なぜかと言えば、例えば銀行で言えば、企業評価ができる銀行員がまだまだ少ないからです。そのために、確実な担保をとることで回収リスクを低めているのです。
また、日本の中小企業は企業間の力関係から、発注先の大手企業から限界を超えたコストダウンなどの理不尽な要求をされたり、自社開発技術が大手企業に模倣されたりするなど、絶えず会社の命運を左右するリスクにさらされています。社員をリストラして、その責任を負わない一部の大企業経営者には、頭でわかっていても実感できない世界だと思います。
もちろん、大手企業の経営者に苦労がないとは言いません。しかし、中小企業の経営者には財産を含めてすべてを失ってしまうリスクがあり、社員とその家族の命と生活をなんとしても守らなければならない苦労とは、性質が異なるものではないでしょうか。
本書では、単に彼らの言葉とその解説だけでなく、取り上げた会社の概要や、経営者の言葉に込められた思いや背景を書きました。なぜなら、経営のすべてを負っていて必死に取り組む経営者から聞いた私が感銘を受けた言葉は、前述のような背景の中で、もがき苦しんだ中で発せられたものだからです。
紙幅の都合で、31人の経営者の言葉になりました。偶然ですが、1カ月間一日一話[コメント]になっています。毎日一話を読むことで、経営の意思決定、行動を振り返ることができると思います。
いい会社をつくった経営者の言葉とその背景が、本書を手に取っていただいた経営者、社員の方々にとって、感じるものがあると確信しています。
できるだけ、多くの方々に、いい会社をつくった経営者の思いが伝われば、著者としてこれ以上の喜びはありません。
上記内容は本書刊行時のものです。