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こうして店は潰れた 小林 久(著/文) - 商業界
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こうして店は潰れた (コウシテミセハツブレタ) 地域土着スーパー「やまと」の教訓 (チイキドチャクスーパーヤマトノキョウクン)

ビジネス
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発行:商業界
四六判
重さ 238g
240ページ
並製
価格 1,500円+税
ISBN
978-4-7855-0539-4   COPY
ISBN 13
9784785505394   COPY
ISBN 10h
4-7855-0539-7   COPY
ISBN 10
4785505397   COPY
出版者記号
7855   COPY
Cコード
C0063  
0:一般 0:単行本 63:商業
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2018/8
書店発売日
登録日
2018年7月30日
最終更新日
2018年8月30日
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紹介

2017年12月6日早朝、倒産劇は一本の電話から始まった。
「やまとが今日倒産するという話が市場で出ている!本当なのか?」
「社長、今日納品予定の商品が入ってきません!」
「社長、魚屋からも納品がありません!」「米問屋が売場から商品を引き揚げています!」

“地域土着”を信条に、地域の人々の暮らしを支えるために
移動スーパーを走らせ、頼まれればシャッター街へも出店した。
住民から熱烈に愛され、最盛期には16店舗、64億を売り上げた
スーパーやまとは、なぜ倒産しなければならなかったのか?

三代目で元社長の著者による、“倒産ドキュメンタリー”。
当事者だけが語ることのできる生きた「教訓」が、そこにある。


<目次>

はじめに 「負け犬の遠吠え」にこそ宿る真実

第1章 師走商戦の某日、やまと突然の撃沈!
 やまと沈没の瞬間
 倒産劇は一本の電話から
 最悪の中でも最善の方法
 運命のときまでの数時間
 朝刊一面トップでの報道
 あたたかい言葉のオンパレード
 ライフライン喪失で湧き起こる悲鳴
 救世主か? 乗っ取り屋か?

第2章 三代目の若造社長、復活をかけ改革断行
 県外大手スーパー進出に激震走る
 県内大手スーパーからの買収話
 競合激化で経営状況は暗転
 赤字脱却を目指して改革断行
 「月夜の晩ばかりではないぞ……」
 公正で公平な職場環境を整備
 継承2期目で実現した黒字転換
 方向を決めた個人スーパー倒産の記事

第3章 誰かが喜ぶなら、迷わず即断即行
 「家庭の生ゴミ仕入れます!」
 全国ネットのテレビ番組に登場
 地域密着を超えて「地域土着」へ
 舞い込んだレジ袋有料化計画
 マイバッグ無料配布とレジ袋下取り
 有料レジ袋を実質無料にする
 環境保護で儲けてはいけない
 貧困家庭へ食料品支援
 ホームレスを正社員として採用
 失踪先からの一通の手紙
 障がい者を雇用するとは
 正義の味方「やまとマン」誕生

第4章 頼まれたら、選挙以外は断らない
 発祥の地からの出店要請
 「移動スーパーやまと」発進!
 続々と届くやまとマンへのSOS
 クレームの最初の窓口は社長
 やまとばかりでロケが行われた理由
 激安大盛り弁当に活路求める
 爆発的ヒットとなった298円弁当
 東日本大震災でも一番乗り
 ヴァンフォーレ甲府応援どんぶり誕生!
 ポイントカードは貴重な個人情報

第5章 夢の街への出店で、見えたもの学んだこと
 夢の街からの出店要請
 やまと甲府銀座店開店
 請われて出店したものの……
 商店街で商売をするとは
 巨大モール増床計画の見返り
 新たな起爆剤登場でお払い箱に

第6章 正義の味方やまとマン、教育委員長になる
 将来の夢は金八先生だった
 教育委員日誌◯月◯日「また会える?」
 教育委員日誌□月□日「震災を乗り越えて3年目の春」
 教育委員日誌△月△日「贈る言葉」

第7章 やまと航海、終わりの始まり
 おんぶ日傘ながら不憫な幼少期
 駄目なものは駄目、子どもに示しがつかない
 赤字でも店を閉めない大切な基準
 取引銀行との丁丁発止
 そうは問屋が卸さない
 仕入先からの強い要求
 見えてきた光明……

第8章 生かされている身の上、感謝と恩返しで生きる
 広がるやまとマン支援の輪
 順調な元従業員の再就職
 自己破産で起きたこと
 静かな債権者集会
 大丈夫! 心配ない! なんとかなる!
 やまとマンからの伝言

あとがき これからも、やまとマンは断じて滅びず

目次

はじめに 「負け犬の遠吠え」にこそ宿る真実

第1章 師走商戦の某日、やまと突然の撃沈!
 やまと沈没の瞬間
 倒産劇は一本の電話から
 最悪の中でも最善の方法
 運命のときまでの数時間
 朝刊一面トップでの報道
 あたたかい言葉のオンパレード
 ライフライン喪失で湧き起こる悲鳴
 救世主か? 乗っ取り屋か?

第2章 三代目の若造社長、復活をかけ改革断行
 県外大手スーパー進出に激震走る
 県内大手スーパーからの買収話
 競合激化で経営状況は暗転
 赤字脱却を目指して改革断行
 「月夜の晩ばかりではないぞ……」
 公正で公平な職場環境を整備
 継承2期目で実現した黒字転換
 方向を決めた個人スーパー倒産の記事

第3章 誰かが喜ぶなら、迷わず即断即行
 「家庭の生ゴミ仕入れます!」
 全国ネットのテレビ番組に登場
 地域密着を超えて「地域土着」へ
 舞い込んだレジ袋有料化計画
 マイバッグ無料配布とレジ袋下取り
 有料レジ袋を実質無料にする
 環境保護で儲けてはいけない
 貧困家庭へ食料品支援
 ホームレスを正社員として採用
 失踪先からの一通の手紙
 障がい者を雇用するとは
 正義の味方「やまとマン」誕生

第4章 頼まれたら、選挙以外は断らない
 発祥の地からの出店要請
 「移動スーパーやまと」発進!
 続々と届くやまとマンへのSOS
 クレームの最初の窓口は社長
 やまとばかりでロケが行われた理由
 激安大盛り弁当に活路求める
 爆発的ヒットとなった298円弁当
 東日本大震災でも一番乗り
 ヴァンフォーレ甲府応援どんぶり誕生!
 ポイントカードは貴重な個人情報

第5章 夢の街への出店で、見えたもの学んだこと
 夢の街からの出店要請
 やまと甲府銀座店開店
 請われて出店したものの……
 商店街で商売をするとは
 巨大モール増床計画の見返り
 新たな起爆剤登場でお払い箱に

第6章 正義の味方やまとマン、教育委員長になる
 将来の夢は金八先生だった
 教育委員日誌◯月◯日「また会える?」
 教育委員日誌□月□日「震災を乗り越えて3年目の春」
 教育委員日誌△月△日「贈る言葉」

第7章 やまと航海、終わりの始まり
 おんぶ日傘ながら不憫な幼少期
 駄目なものは駄目、子どもに示しがつかない
 赤字でも店を閉めない大切な基準
 取引銀行との丁丁発止
 そうは問屋が卸さない
 仕入先からの強い要求
 見えてきた光明……

第8章 生かされている身の上、感謝と恩返しで生きる
 広がるやまとマン支援の輪
 順調な元従業員の再就職
 自己破産で起きたこと
 静かな債権者集会
 大丈夫! 心配ない! なんとかなる!
 やまとマンからの伝言

あとがき これからも、やまとマンは断じて滅びず

前書きなど

「負け犬の遠吠え」にこそ宿る真実


経営破綻から早3カ月、思い出の詰まった会社の社長室で一人この文章を書いている。すでに電気や水道は止められ、トイレも使えない。かつての自分の城にもそう長くはいられない。
思い起こせば、苦しいことのほうが多かった商人としての人生だった。たくさんの人に助けられながら生き延びてきたが、この会社もついに幕を下ろすときが来た。
土地や建物もいずれ人手に渡り、当たり前のように自分がいた場所も墓標となって消えていく。お世話になった地域の消費者の記憶からも、日々消え去られていくのだろう。

私は経営者として失格だった。100年以上続いた家業を倒産させ、180名にも上る従業員を解雇して路頭に迷わせた。金融機関や関係者、長年の取引業者に迷惑をかけ、何よりやまとを頼みに生活している地域のお客様、とりわけ高齢者から買物の手段を奪ってしまった。いまさらながら本当に申し訳なく思っている。
資産も人脈もノウハウもない田舎のスーパーマーケットが、巨大資本や地元の大企業と戦ってきた。勝てるはずのない戦いと知りつつも命を削り、知恵を絞ってつないできた。

経営者としては失格だった私が、もう二度と戻ることのないこの業界へ「遺言」を記しておこうと決めた。そして、私ができなかった地域への恩返しを、読んでいただいた誰かに、同じ過ちを繰り返すことのないように託したいと思った。
逆境や絶望からよみがえった人間の体験談ならいざ知らず、会社や地域を救えなかった人間の思いである。「負け犬の遠吠え」だと思ってお付き合いいただければ嬉しく思う。
 ただ、そこにはいくばくかの真実もあるはずだ。


やまと元社長 小林 久

著者プロフィール

小林 久  (コバヤシヒサシ)  (著/文

株式会社やまと元代表取締役社長。
1962年生まれ。山梨県韮崎市出身。1912年(大正元年)創業の「スーパーやまと」の
三代目として育ち、明治大学を卒業後「いちやまマート」に入社。

青果担当で修業した後、家業である株式会社やまとへ入社。
39歳で代表取締役社長に就任すると、経営改善に着手。赤字経営をV字回復させた。



民生分野では県の教育委員長も務め、学校などで講演会は300回を超える。
2017年12月に破産を申請。翌年3月、甲府地裁にて破産宣告を受けた。
妻、放送局勤務の長女、デザイナーの次女の4人家族。

上記内容は本書刊行時のものです。