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物理学講義 統計力学入門
- 初版年月日
- 2019年7月15日
- 書店発売日
- 2019年7月19日
- 登録日
- 2019年6月8日
- 最終更新日
- 2019年6月19日
紹介
教室で黒板を前に語りかけるような解説で、“丁寧でわかりやすい”と定評のある松下貢先生による「物理学講義シリーズ」の最終巻。
本書は、微視的な世界と巨視的な世界をつなぐ統計力学とはどのように考える分野であるかを、はじめて学ぶ方になるべくわかりやすく解説することを目標にしたものである。
まず最初に、サイコロを例に確率・統計の考え方について解説した後に、そこから自然と統計力学の考え方へと入っていくようなストーリーになっている。これは、サイコロ投げの背後にある基本的な規則性を浮き彫りにすることで統計力学の最も重要な前提となる原理を紹介し、そこから統計力学の骨組みを解説することが、他の分野との違いをはっきりと浮き上がらせることになり、一見遠回りのようでも、初学者にとっては理解の早道ではないかと思われるからである。
「物理学講義」シリーズの掉尾を飾るに相応しい、松下先生渾身の一冊。
◆本書の特徴◆
・初学者が陥りやすい下記の(1)~(3)に丁寧に対応しました。
(1) 与えられた状態(問題)に対して、何から手をつければよいのかがわからない。
→ 問題に対するアプローチの仕方(目の付け所)を解説しました。
(2) アプローチの仕方がわかっても、どのアンサンブル(統計集団)を用いればよいのかがわからない。
→ どのアンサンブルを用いるのかを明示しました。
(3) 用いるアンサンブルがわかっても、途中で何を求めているのかがわからなくなる。
→ いまここでは何をしようとしていて、出てきた結果は何を意味しているのかを丁寧に解説しました。
目次
1.サイコロの確率・統計
1.1 偶然現象の実験
1.2 統計分布の平均値と標準偏差
1.3 2項分布
1.4 2項分布の特性
1.5 中心極限定理
1.6 系・状態数・アンサンブル
1.7 多数のサイコロからなる系の確率・統計
1.8 サイコロの確率・統計から統計力学へ
1.9 まとめとポイントチェック
2.多粒子系の状態
2.1 自由粒子の量子状態
2.2 量子力学的な1個の自由粒子の状態数
2.3 古典力学的な1個の自由粒子の状態数
2.4 古典力学的な N 個の自由粒子系の状態数
2.5 熱平衡状態・孤立系・等確率の原理
2.6 まとめとポイントチェック
3.熱平衡系の統計
3.1 孤立系の熱平衡状態
3.2 結合系の熱平衡状態
3.3 結合系の熱平衡条件
3.4 ボルツマン関係式
3.5 熱浴とボルツマン因子
3.6 ギブス・パラドックス
3.7 まとめとポイントチェック
4.統計力学の一般的な方法
4.1 等確率の原理とアンサンブル
4.2 ミクロカノニカル・アンサンブルの方法
4.3 カノニカル・アンサンブルの方法
4.4 グランドカノニカル・アンサンブルの方法
4.5 もう1つのグランドカノニカル分布
4.6 まとめとポイントチェック
5.統計力学の簡単な応用
5.1 理想混合気体
5.2 2準位系
5.3 固体表面での分子の吸着
5.4 化学反応における質量作用の法則
5.5 固体の格子振動による比熱
5.6 まとめとポイントチェック
6.量子統計力学入門
6.1 ボース粒子の統計性
6.2 フェルミ粒子の統計性
6.3 理想フェルミ気体
6.4 理想ボース気体とボース‐アインシュタイン凝縮
6.5 量子統計からマクスウェル‐ボルツマン統計へ
6.6 まとめとポイントチェック
7.相転移の統計力学入門
7.1 相転移と臨界現象
7.2 イジングモデル
7.3 平均場近似
7.4 ランダウの相転移現象論
7.5 臨界現象と臨界指数
7.6 まとめとポイントチェック
付録
付録A 2項分布から正規分布へ
付録B スターリングの公式
付録C n 次元単位球の体積
付録D ラグランジュの未定乗数法
付録E フェルミ分布関数に関する低温での積分
付録F 理想ボース気体の熱力学的諸量
付録G 1次元イジングモデルの分配関数
上記内容は本書刊行時のものです。