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読解!「ドラえもん」講座 中川右介(著/文) - イースト・プレス
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読解!「ドラえもん」講座 (ドッカイドラエモンコウザ) 世代・フェミニズム・国際政治・スクールカースト・郊外と家族 (セダイフェミニズムコクサイセイジスクールカーストコウガイトカゾク)

文庫
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文庫判
縦148mm 横105mm 厚さ12mm
重さ 145g
248ページ
定価 700円+税
ISBN
978-4-7816-7186-4   COPY
ISBN 13
9784781671864   COPY
ISBN 10h
4-7816-7186-1   COPY
ISBN 10
4781671861   COPY
出版者記号
7816   COPY
Cコード
C0130  
0:一般 1:文庫 30:社会科学総記
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2019年8月10日
書店発売日
登録日
2020年2月8日
最終更新日
2022年12月21日
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紹介

国民的マンガ『ドラえもん』。この有名すぎるマンガの裏には、現代社会を予見したかのようなテーマが隠されている。
藤子・F・不二雄が描いた人間ドラマは、世の中の縮図だ!

なぜ、「クラスでいちばんかわいい女の子」しずかちゃんは、凡庸なのび太の妻となるのか?
なぜ、ジャイアンとスネ夫は、必ずタッグを組んでのび太をいじめるのか?
なぜ、のび太は、いじめっ子と絶縁する道を選べないのか?
なぜ、ドラえもんは、のび太を助けに学校には行けないのか?
なぜ、『ドラえもん』世界の住人は、ドラえもんを見ても驚かないのか?

世代論、女性学、政治学、教育論、郊外論……。『ドラえもん』を多角的に読み解けば、現代社会が見えてくる。
もしドラえもんが大学のテキストになったら? 楽しく読める「ドラえもん」講座!

※『源静香は野比のび太と結婚するしかなかったのか』(PHP新書)を加筆のうえで、文庫化。

――――――――――――――――――――

本書では、『ドラえもん』をいくつかの角度から論じていく。
『ドラえもん』が描くもの、とくに「ひみつ道具」については、現実世界には存在しないものであり、たとえ二十二世紀になっても実用化不可能と思われるものが多い。とくに、タイムマシン系、多元宇宙系、空間ワープ系のものがそうで、まさに、奇妙奇天烈・摩訶不思議、奇想天外・四捨五入なものだ。
ところが、『ドラえもん』で描かれる人間関係は、現実世界の縮図でもあり、デフォルメでもあり、さらには、何かを隠蔽することで主張しているとも思われる、奥の深い、とても出前迅速・落書無用なものではない。
本書は、『ドラえもん』のホンワカパッパな社会学的考察である。     (「はじめに」より)

目次

はじめに――現実社会の縮図としての『ドラえもん』

講座1 ドラえもん世代学――「ドラえもん世代」は存在するのか
『ドラえもん』は時代の象徴ではない?
時代の空気とは無縁の誕生
アニメ史における『オバケのQ太郎』の位置
『ドラえもん』までの紆余曲折
失敗続きのSF設定なのに
一九六〇年代生まれは『ドラえもん』を読んでいなかった?
ドラえもんをめぐる三つの世代+団塊の世代
ロボットアニメとしての『ドラえもん』
のび太はいつ生まれたのか?
時間がループする落語的構造
のび太はなぜ永遠に小学生なのか?

講座2 ドラえもん書誌学――「六つのドラえもん」作品研究序説
大全集でパラレルワールドの全貌が明らかに
いくつもの第一回と最終回が存在した
ドラえもんとセワシの登場順の微妙な違い
ドラえもんは六回、登場していた
なぜCIAはドラえもんを捕獲に来ないのか?
最終回らしくない最初の「最終回」
最終回らしい二作目の最終回
『ドラえもん』『オバケのQ太郎』二本立て時代
最終回の、とりあえずの決定版
物語は終わらなければならない
衝撃の復活
ふたたび未来へ……と思ったら
「てんとう虫コミックス」の大ヒット
その後の大団円なき「最終回」
パラレルワールドとループ構造
最後の作品

講座3 ドラえもん女性学――源静香と「紅一点」のフェミニズム批判
のび太は義経、ドラえもんは弁慶だった
紅一点の戦闘美少女・源静香
男から見て「女はよくわからない」の象徴
「かわいい女の子」以外の役割がない
フェミニズム批判は正しいか?
「地球を救った少女」としての源静香
入浴シーン問題
男女雇用機会均等法第一世代としての源静香
絶対悪としての「ママ」

講座4 ドラえもん政治学――ジャイアンとスネ夫にみる日米関係
名前もまた様式である
民主主義の呪縛
国際政治学者が認めるジャイアン=アメリカ論
スネ夫・のび太同盟は必ず破綻する運命にある
日本政治におけるジャイアン的なるものとスネ夫的なるもの
政治家たちが『ドラえもん』から学べば
政治家になるための義務

講座5 ドラえもん教育学――のび太は日本最初のスクールカースト被害者なのか
見えないドラえもんから可視化されたドラえもんへ
のび太を助けに学校には行かないドラえもん
災厄の原因は学校であるにもかかわらず
「いじめ」そのものを笑いものにする
『ドラえもん』はいじめのルーツ?
スクールカーストにおける、のび太とスネ夫
上位カーストである出木杉君と源静香

講座6 ドラえもん郊外学――なぜ野比家は郊外に住んでいなければならないのか
のび太はどこに住んでいるのか
無国籍でもある『ドラえもん』
練馬区における現実はマンガを模倣する
野比家は借家である
団地ではないが「団地化された郊外」
「郊外の崩壊」前で止まった時間
のび太はなぜひとりっ子なのか?
野比家はなぜ一戸建てなのか?

おわりに――『ドラえもん』とは何か

著者プロフィール

中川右介  (ナカガワユウスケ)  (著/文

中川右介(なかがわゆうすけ)
1960年東京都生まれ。早稲田大学第二文学部文芸科卒業。幼少期よりアニメ、マンガに親しむ。少年期はSF、ミステリに浸る。青年期からクラシック音楽にはまる。出版社IPC編集長時代はおもに写真集を出版、93年に出版社アルファベータを興し、代表取締役編集長に就任(2014年まで)。音楽家、映画作家、文学者などの評伝や音楽書の編集・出版と並行して、クラシック音楽、歌舞伎、映画、歌謡曲などの分野で著作活動も。著書に『手塚治虫とトキワ荘』『江戸川乱歩と横溝正史』(集英社)、『歌舞伎 家と血と藝』(講談社現代新書)、『松田聖子と中森明菜』(朝日文庫)、『現代の名演奏家50』(幻冬舎新書)、『冷戦とクラシック』(NHK出版新書)、『松竹と東宝』(光文社新書)、『1968 年』(朝日新書)、『サブカル勃興史』(角川新書)など多数。

上記内容は本書刊行時のものです。