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読解!「ドラえもん」講座
世代・フェミニズム・国際政治・スクールカースト・郊外と家族
- 初版年月日
- 2019年8月10日
- 書店発売日
- 2019年8月10日
- 登録日
- 2020年2月8日
- 最終更新日
- 2022年12月21日
紹介
国民的マンガ『ドラえもん』。この有名すぎるマンガの裏には、現代社会を予見したかのようなテーマが隠されている。
藤子・F・不二雄が描いた人間ドラマは、世の中の縮図だ!
なぜ、「クラスでいちばんかわいい女の子」しずかちゃんは、凡庸なのび太の妻となるのか?
なぜ、ジャイアンとスネ夫は、必ずタッグを組んでのび太をいじめるのか?
なぜ、のび太は、いじめっ子と絶縁する道を選べないのか?
なぜ、ドラえもんは、のび太を助けに学校には行けないのか?
なぜ、『ドラえもん』世界の住人は、ドラえもんを見ても驚かないのか?
世代論、女性学、政治学、教育論、郊外論……。『ドラえもん』を多角的に読み解けば、現代社会が見えてくる。
もしドラえもんが大学のテキストになったら? 楽しく読める「ドラえもん」講座!
※『源静香は野比のび太と結婚するしかなかったのか』(PHP新書)を加筆のうえで、文庫化。
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本書では、『ドラえもん』をいくつかの角度から論じていく。
『ドラえもん』が描くもの、とくに「ひみつ道具」については、現実世界には存在しないものであり、たとえ二十二世紀になっても実用化不可能と思われるものが多い。とくに、タイムマシン系、多元宇宙系、空間ワープ系のものがそうで、まさに、奇妙奇天烈・摩訶不思議、奇想天外・四捨五入なものだ。
ところが、『ドラえもん』で描かれる人間関係は、現実世界の縮図でもあり、デフォルメでもあり、さらには、何かを隠蔽することで主張しているとも思われる、奥の深い、とても出前迅速・落書無用なものではない。
本書は、『ドラえもん』のホンワカパッパな社会学的考察である。 (「はじめに」より)
目次
はじめに――現実社会の縮図としての『ドラえもん』
講座1 ドラえもん世代学――「ドラえもん世代」は存在するのか
『ドラえもん』は時代の象徴ではない?
時代の空気とは無縁の誕生
アニメ史における『オバケのQ太郎』の位置
『ドラえもん』までの紆余曲折
失敗続きのSF設定なのに
一九六〇年代生まれは『ドラえもん』を読んでいなかった?
ドラえもんをめぐる三つの世代+団塊の世代
ロボットアニメとしての『ドラえもん』
のび太はいつ生まれたのか?
時間がループする落語的構造
のび太はなぜ永遠に小学生なのか?
講座2 ドラえもん書誌学――「六つのドラえもん」作品研究序説
大全集でパラレルワールドの全貌が明らかに
いくつもの第一回と最終回が存在した
ドラえもんとセワシの登場順の微妙な違い
ドラえもんは六回、登場していた
なぜCIAはドラえもんを捕獲に来ないのか?
最終回らしくない最初の「最終回」
最終回らしい二作目の最終回
『ドラえもん』『オバケのQ太郎』二本立て時代
最終回の、とりあえずの決定版
物語は終わらなければならない
衝撃の復活
ふたたび未来へ……と思ったら
「てんとう虫コミックス」の大ヒット
その後の大団円なき「最終回」
パラレルワールドとループ構造
最後の作品
講座3 ドラえもん女性学――源静香と「紅一点」のフェミニズム批判
のび太は義経、ドラえもんは弁慶だった
紅一点の戦闘美少女・源静香
男から見て「女はよくわからない」の象徴
「かわいい女の子」以外の役割がない
フェミニズム批判は正しいか?
「地球を救った少女」としての源静香
入浴シーン問題
男女雇用機会均等法第一世代としての源静香
絶対悪としての「ママ」
講座4 ドラえもん政治学――ジャイアンとスネ夫にみる日米関係
名前もまた様式である
民主主義の呪縛
国際政治学者が認めるジャイアン=アメリカ論
スネ夫・のび太同盟は必ず破綻する運命にある
日本政治におけるジャイアン的なるものとスネ夫的なるもの
政治家たちが『ドラえもん』から学べば
政治家になるための義務
講座5 ドラえもん教育学――のび太は日本最初のスクールカースト被害者なのか
見えないドラえもんから可視化されたドラえもんへ
のび太を助けに学校には行かないドラえもん
災厄の原因は学校であるにもかかわらず
「いじめ」そのものを笑いものにする
『ドラえもん』はいじめのルーツ?
スクールカーストにおける、のび太とスネ夫
上位カーストである出木杉君と源静香
講座6 ドラえもん郊外学――なぜ野比家は郊外に住んでいなければならないのか
のび太はどこに住んでいるのか
無国籍でもある『ドラえもん』
練馬区における現実はマンガを模倣する
野比家は借家である
団地ではないが「団地化された郊外」
「郊外の崩壊」前で止まった時間
のび太はなぜひとりっ子なのか?
野比家はなぜ一戸建てなのか?
おわりに――『ドラえもん』とは何か
上記内容は本書刊行時のものです。