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消費と労働の文化社会学 永田 大輔(編集) - ナカニシヤ出版
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消費と労働の文化社会学 (ショウヒトロウドウノブンカシャカイガク) やりがい搾取以降の「批判」を考える (ヤリガイサクシュイコウノヒハンヲカンガエル)

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A5判
290ページ
定価 2,700円+税
ISBN
978-4-7795-1690-0   COPY
ISBN 13
9784779516900   COPY
ISBN 10h
4-7795-1690-0   COPY
ISBN 10
4779516900   COPY
出版者記号
7795   COPY
Cコード
C1036  
1:教養 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2023年1月31日
書店発売日
登録日
2022年12月23日
最終更新日
2023年1月20日
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紹介

私たちはどのように文化を消費し、どのように生み出しているのか。

労働の変化を問い直しながら、様々な現代の消費文化と関わる労働を描きだし、外在的な批判を超える多様な「批判」のあり方を考える。

執筆者紹介(五十音順,*は編者)

永田大輔*(ながた だいすけ)
所  属:明星大学等非常勤講師

石川洋行(いしかわ ひろゆき)
所  属:八洲学園大学非常勤講師

林 凌(はやし りょう)
所  属:日本学術振興会特別研究員(PD)

谷原 吏(たにはら つかさ)
所  属:神田外語大学専任講師,国際大学GLOCOM客員研究員

井島大介(いじま だいすけ)
所  属:東京大学大学院学際情報学府博士課程

?橋かおり(たかはし かおり)
所  属:立教大学社会情報教育研究センター助教

野村 駿(のむら はやお)
所  属:秋田大学教職課程・キャリア支援センター助教

上岡磨奈(かみおか まな)
所  属:慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程

中村香住*(なかむら かすみ)
所  属:慶應義塾大学文学部・同大学院社会学研究科非常勤講師

鈴木優子(すずき ゆうこ)
所  属:筑波大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程単位取得退学

松村 淳(まつむら じゅん)
所  属:関西学院大学社会学部准教授

中根多惠(なかね たえ)
所  属:愛知県立芸術大学音楽学部(教養教育等) 准教授

松永伸太朗*(まつなが しんたろう)
所  属:長野大学企業情報学部准教授

馬渡玲欧(まわたり れお)
所  属:名古屋市立大学大学院人間文化研究科専任講師

目次

序 章 消費と労働の文化社会学
「やりがい搾取」以降の労働を捉える新たな視座 永田大輔

1 消費と労働の関係を捉え返す文化社会学的視点
2 やりがい搾取を再考する
3 フレキシビリティとアイデンティティ(感情)労働
4 非標準的労働編成における「当事者の論理」
5 個人化した労働における批判と運動
6 本書の構成

第1部 消費社会と労働者社会

第1章 消費社会における認識問題
社会変動と〈日本共同体〉のゆくえ 石川洋行

1 消費社会論の基礎的問題構制
2 産業構造の過渡的変容と「消費文化」の登場
3 「第二の社会変動」への自己意識としての消費社会論
4 「産業社会論」からみる成長の斜面:
ポストフォーディズムと日本型消費社会
5 現状を乗り越えるための「道具」を手に入れる

第2章 労働問題の源泉としての「新自由主義」?
労働者/消費者としての私たちをめぐって 林 凌

1 労働問題の社会学的記述と社会理論
2 批判的労働研究における問題のありか:「新自由主義」と「消費者主権」
3 繰り返される構図:「消費社会」批判と「新自由主義」批判の相同性
4 「消費者主権」のルーツとしての「国家問題」:労働者の権利と消費者の権利の対立
5 労働問題の源泉を探り出すために

第3章 なぜ「二次創作」は「消費」と呼ばれたのか
大塚英志の消費社会論を中心に 永田大輔

1 「データベース消費」と「物語消費」をめぐる理解
2 「創作」を「生産」と論じないこと
3 大塚英志の「消費」論
4 「物語消費」と「製作者」
5 物語消費論の射程再考


第4章 サラリーマン雑誌の系譜学
戦後日本の「中間文化」 谷原 吏

1 サラリーマンと「教養主義」
2 サラリーマンと週刊誌
3 サラリーマンと月刊雑誌:1980年代という転換点
4 90年代以降の動向
5 00年代におけるビジネススキルの一般化
6 サラリーマンの新たな「知」

第5章 「仕事で自己実現」を語ることはいかに可能になるのか
日経連『能力主義管理』を事例に 井島大介

1 経営者が自己実現を語る社会
2 『能力主義管理』を通して社会を見る方法
3 「意欲」評価を正当化する「効率」
4 「効率」のための「人間尊重」
5 自己実現人をめぐる社会学的研究の可能性

第2部 現代社会における生活とマネジメント

第6章 「やりたいこと」と〈仕事〉の分離・近接・管理
美術作家と音楽家の実践を事例として 髙橋かおり

1 「やりたいこと」と安定の天秤
2 「やりたいこと」と〈仕事〉の区別
3 芸術や文化に関わる人たちにとっての「やりたいこと」
4 「やりたいこと」と〈仕事〉の相互作用
5 〈仕事〉に基づいて「やりたいこと」を定める

第7章 夢を追うために正社員になる
文化・芸術活動者の労働を問う 野村 駿

1 問題の所在:夢追いフリーターはもう古い?
2 使用するデータ
3 夢追いバンドマンのフリーター選択・維持プロセス
4 正社員になった理由:「バンドマンはフリーターでなければならない」?
5 正社員バンドマンの困難と対処方法
6 まとめと考察:文化・芸術活動と労働の両立という難題

第8章 芸能という労働
「アイドル・ワールド」において共有される情熱の価値 上岡磨奈

1 アイドルという仕事
2 アイドル研究で語られてきたもの,こなかったもの
3 研究の対象と方法
4 アイドルの世界における時間,報酬,感情
5 むすびにかえて

第9章 メイドカフェにおける店員と客の親密性のマネジメント
「親密性の労働」としての「関係ワーク」の実践 中村香住

1 経済が介在するパターンの「親密性の労働」
2 「親密性の労働」の分析枠組みとしての「関係ワーク」
3 メイドカフェ店員の親密性のマネジメント実践:インタビューデータの分析
4 「キャラ」を介した「親密性の労働」と「生活」

第10章 学校における「心のケア」のマネジメント
心の教室相談員による実践の「外部性」と「限定性」に着目して 鈴木優子

1 ケアワーカーという管理的ワーク
2 本章の目的と問い:「心のケア」のマネジメントを捉える
3 分析視角
4 調査の概要
5 「外部の人」としての相談員
6 「できないと言っていい」:外部性と限定性
7 「心のケア」のマネジメント

第3部 個人化した労働と「批判」

第11章 親密性を基盤にしたネットワーク型の職業実践
建築系フリーランサーを事例に 松村 淳

1 建築家界の変容と多様なプレイヤーの流入
2 不安定職業としての建築職人
3 建築系フリーランサーのライフヒストリー
4 施主との関係性をつくる
5 フリーランス同士がつながるとき
6 彼らは新しいキャリアモデルを構築しうるのか
7 結  論

第12章 「労働」カテゴリーに抗う音楽家たちによる連帯への模索
芸術性と労働性の間にある「労働的なもの」のジレンマをめぐって 中根多惠

1 芸術と労働との距離をめぐるジレンマと労働運動
2 現代社会におけるカテゴリカルな連帯の困難性
3 労働運動のアクターとしての音楽家
4 「労働的なもの」を問い直す
5 希薄な労働者意識と労働者アイデンティティ
6 共鳴なき「労働」という運動フレーム
7 「労働」フレームに抗う音楽家と連帯への模索

第13章 労働者評価がもたらす個人間競争
熊沢誠の「強制された自発性」論とその含意 松永伸太朗

1 労働批判と労働者の自発性
2 消費文化と労働者評価
3 日本的経営における能力主義と「強制された自発性」
4 労働者評価と対人関係
5 いかにして労働者評価を透明化するのか:実践的な示唆
6 労働者評価をめぐる企業・職場要因とその改善

第14章 フランクフルト学派にとっての「文化と労働」とは何か
第一世代による社会批判に着目して 馬渡玲欧

1 フランクフルト学派第一世代の問題関心
2 プロレタリアートと全体性に対する逡巡/文化制度による社会統合:
ホルクハイマー
3 「文化産業」における労働批判の可能性:アドルノ
4 ワイマール労働者調査における労働者文化の実態:フロム
5 肯定的文化と労働国家,および感覚と身体化による抵抗:マルクーゼ
6 結  論

終 章 『消費と労働の文化社会学』の達成と広がり 松永伸太朗

1 本書の要約と到達点
2 労働社会学との接続
3 カルチュラル・スタディーズとの接続
4 個別性に即して消費と労働の結びつきを記述する

著者プロフィール

永田 大輔  (ナガタ ダイスケ)  (編集

明星大学・二松学舎大学・日本体育大学等非常勤講師
主著:「コンテンツ消費におけるオタク文化の独自性の形成過程」(『ソシオロジ』182:21–37.,2015年),「ビデオをめぐるメディア経験の多層性――「コレクション」とオタクのカテゴリー運用をめぐって」(『ソシオロゴス』42: 84-100.,2018年)

松永 伸太朗  (マツナガ シンタロウ)  (編集

長野大学 企業情報学部 准教授。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了 博士(社会学)。
主要業績:(1)『アニメーターの社会学――職業規範と労働問題』(三重大学出版会, 2017年),(2)『アニメーターはどう働いているのか――集まって働くフリーランサーたちの労働社会学』(ナカニシヤ出版, 2020年),(3)『産業変動の労働社会学――アニメーターの経験史』(晃洋書房, 2022年, 永田大輔との共著)


中村 香住  (ナカムラ カスミ)  (編集

所  属:慶應義塾大学文学部・同大学院社会学研究科非常勤講師
主要著作:「メイドカフェ店員のSNSブランディング――アイデンティティの維持管理という時間外労働」(田中東子[編]『ガールズ・メディア・スタディーズ』北樹出版: pp.46–63,2021年,共著収録論文)

上記内容は本書刊行時のものです。