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出版者情報
制度でわかる世界の経済
制度的調整の政治経済学
- 初版年月日
- 2020年3月30日
- 書店発売日
- 2020年4月5日
- 登録日
- 2020年3月7日
- 最終更新日
- 2020年3月7日
紹介
より広範な合意とより多くの公共の福祉を達成するために――
市場だけでなく制度や政治から経済の現実に鋭く迫る!
北欧、アメリカ、中国、韓国、日本、トルコなど世界各国の経済を制度的調整、なかでも権力・命令を基盤におく「規制」のみならず協議・妥協を基盤においた「コーディネーション」に着目して分析する。
本書の執筆者たちが共有する問いは次のようなものである。制度的調整,とくにコーディネーションは,経済調整においてどのような役割を果たしているのか。グローバル化,金融化,情報化,規制緩和などにともなって経済制度や企業組織は変化を遂げているが,それは資本主義の動態にどのような影響を及ぼしているのか。現代資本主義が抱えている問題点や限界を解決するためには,どのような制度的改革が必要なのか。「まえがき」より
●著者紹介 *は編者
徳丸宜穂(とくまる・のりお)
名古屋工業大学大学院工学研究科教授(第1章担当)
梁峻豪(やん・じゅんほ)
韓国仁川大学経済学部教授(第2章担当)
厳成男(げん・せいなん)*
立教大学経済学部教授(第3章・あとがき担当)
金峻永(きむ・じゅんよん)
韓国雇用情報院研究員(第4章担当)
呂守軍(ろ・しゅぐん)
中国上海交通大学国際与公共事務学院教授(第5章担当)
山田鋭夫(やまだ・としお)
名古屋大学名誉教授(第6章担当)
宇仁宏幸(うに・ひろゆき)*
京都大学大学院経済学研究科教授(まえがき・第7章担当)
薗田竜之介(そのだ・りゅうのすけ)
佐賀大学経済学部准教授(第8章担当)
嶋野智仁(しまの・のりひと)
松山大学経済学部准教授(第9章担当)
エムレ・ウナル(えむれ・うなる)
トルコFirat University経済学部准教授(第10章担当)
藤田真哉(ふじた・しんや)*
名古屋大学大学院経済学研究科准教授(編集)
目次
まえがき(宇仁宏幸)
第I部 社会諸領域における制度的調整
01 イノベーション:ミッション指向型イノベーションとコーディネーション(徳丸宜穂)
1 はじめに
2 進化的政策と(社会単位)コーディネーション
3 フィンランドにおける「イノベーションの公共調達」(PPI)政策とその制度的基礎
4 考察:MOI政策の制度的基盤
5 結びにかえて
02 金融:アメリカの地域開発金融機関における社会的金融(梁峻豪)
1 はじめに
2 地域開発金融機関(CDFI)とは
3 アメリカにおけるCDFIの類型と現況
4 アメリカCDFIを支える制度的要因:「CDFIファンド」による国家レベルの支援体制を中心に
5 アメリカCDFIを支えるガバナンス的要因:「CMFプログラム」を活用するCDFIの事例を中心に
6 結びにかえて
03 社会保障:中成長を模索する中国における社会保障制度改革(厳成男)
1 はじめに
2 中国における社会保障制度改革の軌跡
3 社会保障制度改革と安定的な中成長への移行
4 「調和のとれた社会」の構築と社会保障制度改革
5 おわりに
04 労働:プラットフォーム労働の増加と社会保障の課題(金峻永)
1 はじめに
2 プラットフォームの労働の類型と関連概念
3 プラットフォーム労働の普及と労働世界の変化
4 韓国のプラットフォーム労働者の規模と労働実態
5 結びにかえて:社会保険制度の改革の方向
05 環境:中国におけるPM2.5問題の原因と対策(呂守軍)
1 はじめに
2 中国におけるPM2.5問題に関する規制の現状と問題
3 PM2.5問題の解決困難に関する理論的説明
4 実証分析
5 結論と対策
第II部 制度の変化と資本主義の動態
06 制度の内部代謝と成長レジームの転換(山田鋭夫)
1 はじめに
2 出発点としての経路依存論
3 制度変化の諸類型
4 制度変化の概念的理解
5 新自由主義における経済と政治
6 おわりに
07 グローバル化・金融化時代における日本企業の利潤と投資(宇仁宏幸)
1 はじめに
2 現代の大企業の組織,資産,利潤
3 企業規模と利潤率との関係
4 実物的投資と金融的投資の決定プロセス
5 おわりに
08 日本の分配レジームの変化に関する産業別分析(薗田竜之介)
1 はじめに
2 モデル
3 産業別推計
4 時代別推計
5 結 論
09 日本経済の金融化と資本蓄積の様式変化の産業別分析(嶋野智仁)
1 はじめに
2 日本経済の金融化と資本蓄積の様式の変化
3 金融化が日本経済の資本蓄積に与える影響
4 所得の機能的分配が資本蓄積に与える影響
5 結 論
10 トルコにおける成長レジームの転換とポピュリズム(エムレ・ウナル)
1 はじめに
2 農業成長とポピュリズムの誕生
3 国内消費の成長とポピュリズム的制度改革
4 制度の歴史的経路依存性と輸出依存の経済成長への転換
5 ポピュリズムと高いインフレの関係
6 おわりに
あとがき(厳成男)
上記内容は本書刊行時のものです。