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出版者情報
ルソーと人間の倫理
自由・平等・友愛に向かって
- 初版年月日
- 2019年7月25日
- 書店発売日
- 2019年7月17日
- 登録日
- 2019年6月12日
- 最終更新日
- 2019年7月5日
紹介
加速化し、深刻化する人間らしさの消滅。思想的には、新たな「人間機械論」「自由意志否定論」が論点となり、社会思想においても「市場主義と自己責任論による新たなアナーキズム」と「快最大化の解を導出する社会工学」が重視される。本書はこうした状況や思想に対抗する「ヒューマニズムの倫理」を展開する。
ルソーは近代社会の「人間疎外」をはじめに理論的に解明し、その克服の道を示した思想家である。それは歴史的にも今日的にも大きな意義を持つ。ヒューマニズムと民主主義との一体性の観点から、いま新たに『エミール』読み解く。
目次
第一部 ルソーの『エミール』と民主的人間の形成
第1章 『エミール』第一篇:幼年期
1.個人教育と公民教育/2.全面発達論/
3.体の自由について/4.支配欲の源/
5.貧乏人の教育/6.民主的人間の形成/
7.いわゆる公共教育論との関係/
第2章 『エミール』第二編:少年期
1.自由と依存について/2.権力と権威の排除/
3.学芸と道徳性/4.賞罰と競争心の排除/
5.所有と契約の世界へ
第3章 第三篇:少年後期
1.市民社会への移行/2.労働による社会化/
3.市民社会的平等/4.労働の義務と尊厳/
5.教育における労働/6.職業の評価と選択/
7.理性の自立/8.補足的結語
第4章 思春期
1.はじめに/2.社会的情念について/
3.「自己愛」について/4.「憐れみ」の教育について/
5.歴史教育について/6.おわりに
第5章 哲学・宗教と教育
1.本章の課題/2.哲学の端緒と認識関心/
3.ルソーの哲学と民主主義/4.ルソーの宗教と民主主義/
5.ルソーの哲学教育論
第6章 思春期と趣味論
1.問題の所在と本章の観点/2.趣味の概念/
3.趣味の形態と陶冶/4.趣味論と民主的人間の形成
第7章 女性論と女子教育論
1.問題の所在と本章の視覚/2.「民主主義」と「男女平等」/
3.古典的批判の例/4.依存と自立/
5.性善説と女性問題/6.性差について/
7.小市民的家族の意味/8.家族共同体の意味/9.まとめ
第8章 留学論
1.本章の主題/2.留学の目的、あるいは外国を知ることの目的/
3.歴史的文脈/4.現実諸国の観察/
5.都市と田舎の社会認識/6.実存的出会いによる本性善の感得/
7.結びにかえて
第二部 ルソーの思想
第1章 ルソーの弁証法
1.はじめに/2.「矛盾」をめぐって/3.主僕関係/
4.個別と普遍/5.「媒介」をめぐって/
6.発展・疎外・救済/7.小結
第2章 「憐れみ」と「良心」の倫理思想
1.「憐れみ」の導入とその意味/2.「良心」の導入/
3.憐れみと良心の関連
第3章 「強さ」と「弱さ」の倫理
1.問題の所在と概念規定/2.幸福の観点からの人間の強弱/
3.道徳の観点からの人間の「強弱」/4.源泉と独自性
第4章 エルヴェシウスの倫理とルソー
1.問題の所在/2.一元論と二元論/
3.社会形成の原理/4.自我の解放と自我からの解放/5.総括
第5章 「憐れみ」における芸術と実生活
1.ミーメーシスの観点から/2.カタルシスの観点から/
3.イリュージョンの観点から
第6章 ルソーの芸術思想におけるリアリズムとロマンティシズム
1.ルソーの芸術思想/2.ルソーにおける二つの傾向/
3.啓蒙主義美学からの照射/4.芸術批判からの照射/
5.幸福観からの照射/6.ルソー的リアリズムの性格/
補章一 森村敏己著『名誉と快楽』
補章二 競争と倫理
上記内容は本書刊行時のものです。