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エリザベス・ボウエン
二十世紀の深部をとらえる文学
原書: ELIZABETH BOWEN
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2020年6月
- 書店発売日
- 2020年6月29日
- 登録日
- 2019年11月28日
- 最終更新日
- 2020年6月22日
紹介
20世紀英国文壇の重鎮、
エリザベス・ボウエン(1899~1973)。
二度の世界大戦を経験した20世紀に
ボウエンが見た荒廃と絶望は、今も終わりが見えない──
リアリズムの手法を超え、時にゴシック性を取り込み、
内面の心理をとらえたモダニスティックで斬新な作品は、
現在も高く評価されているものの、日本での紹介は遅れてきた。
昨今、『最後の九月』(而立書房、2016)、
『日ざかり』、『心の死』(晶文社、2015)、
『パリの家』(晶文社、2014)、
『ボウエン幻想短篇集』(国書刊行会、2012)等、
翻訳紹介が続くなか、
ボウエン文学の稀有な魅力を伝え、ボウエン研究の成果を問う論集。
目次
序章 ボウエンの文学的評価の変遷と現状
――ボウエンという遠雷
(太田 良子/東洋英和女学院大学名誉教授)
第1章 ボウエンにとっての場所とアイデンティティ
――文学的ヴィジョンの核心
(木村 正俊/神奈川県立外語短期大学名誉教授)
第2章 アングロ・アイリッシュとしてのボウエンの源流
――『七たびの冬』にみる自我の形成
(米山 優子/静岡県立大学国際関係学部准教授)
第3章 「熱気〔ヒート〕」から「残骸〔リメインズ〕」へ
――ボウエンの『日ざかり』と
イシグロの『日の名残り』に見る冷戦構造
(小室 龍之介/上智大学非常勤講師)
第4章 ボウエンと乱舞する怪奇幻想の世界
──そのゴシック小説の水脈を探る
(立野 晴子/立正大学非常勤講師)
第5章 ボウエン文学の土壌としての少女領域
──『エヴァ・トラウト──移りゆく風景』を中心にして
(伊藤 節/東京家政大学名誉教授)
第6章 〈もの〉は語る
──人・家・自然が生み出す詩的でない言葉
(杉本 久美子/東北女子大学家政学部教授)
第7章 語られない過去をめぐって
──『心の死』におけるゆがんだ世界、
ゆがめられた心
(渡部 佐代子/神戸市外国語大学非常勤講師)
第8章 『日ざかり』における饒舌と寡黙
──アンチロマンス・アイデンティティ・戦争
(窪田 憲子/都留文科大学名誉教授)
第9章 虚構という孤独の言葉
──『エヴァ・トラウト』における
語りえない言葉を求めて
(丹治 美那子/兵庫医科大学医学部助教)
第10章 〈どこにもない場所〉を生きる
──「あの薔薇を見てよ」における場所の狂い、
ファンタジー、そして無
(垣口 由香/龍谷大学農学部准教授)
第11章 時空間を飛翔する想像力
──「幸せな秋の野原」を読み解く
(奥山 礼子/東洋英和女学院大学国際社会学部教授)
第12章 〈私〉が〈彼女〉になる時
──「第三者の影」、「林檎の木」、
「幻のコー」論
(川嵜 真智/エリザベス・ボウエン研究会会員、日本キプリング協会会員)
第13章 戦争のエピファニー
──「ラヴ・ストーリー 一九三九」、
「幻のコー」を中心に
(太田 良子)
第14章 ロンドン空襲下のさまよえる孤独な魂
──ボウエンと
グレアム・グリーンの短編を比較して
(甘濃 夏実/専修大学非常勤講師)
第15章 ハーディを通して読むボウエン
──隠れた共通点を探って
(木梨 由利/金沢学院大学名誉教授)
第16章 ボウエンのT. S. エリオットとの邂逅
──私人、作家、書評家として
(松本 真治/佛教大学文学部教授)
第17章 ボウエンが見た若い娘たち
──「現代娘であること」を読む
(田中 慶子/静岡産業大学経営学部准教授)
上記内容は本書刊行時のものです。