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「日本は海国である」林子平伝
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2025年3月11日
- 書店発売日
- 2025年3月15日
- 登録日
- 2024年6月12日
- 最終更新日
- 2025年3月12日
紹介
林子平は、国内の移動が制限されていた時代に長崎に3度、さらに蝦夷から薩摩まで歩き、カラフトから琉球、小笠原諸島にまで視野を広げ日本の領土を意識していた。
出島のオランダ商館長らから世界情勢を学んだ子平は、海に囲まれた「海国」日本は海の防衛こそが重要と訴え「三国通覧図説」や「海国兵談」を著した。
鎖国をしていた幕府に外国による日本侵攻の危険を指摘し、国家の再構築、教育、産業の育成など世界を見据えた戦略的視点を持つことの大切さを説いたのだ。
しかし、幕府からは世を惑わすとして罰せられてしまう。
作者は書く。「林子平の評価は時代によって乱高下してきた。しかし、果してその思想は十分理解されたことがあったのだろうか」と。
混迷が深まっていく近年の世界情勢の中で林子平という「奇人」の生き方と思想は、私たちに何らかのヒントを与えてくれるかもしれない。
目次
序 章 林子平の墓
第一章 子平の家系と父の出奔
第二章 父の刃傷とその後
第三章 戦う場のない武士
第四章 飛花落花の暗転
第五章 嘉善を中心にした林>
第六章 仙台藩主・宗村の藩政と最期
第七章 子平の建白書
第八章 遊学の旅へ
第九章 新たな刺激
第十章 長崎で世界と出合う
第十一章 世界地図と兵学
第十二章 長崎の暮らし
第十三章 仙台、江戸、長崎を股に掛けて
第十四章 経済先進地への視察
第十五章 田沼意次に渡された『赤蝦夷風説考』
第十六章 『三国通覧図説』刊行なる
第十七章 予期せぬ転落
第十八章 最期の日々
終 章 「海国」日本の先駆者
版元から一言
江戸時代、世界地図に衝撃を受け、兵学を説いた奇人を描いた約500頁の長編歴史小説を出版します。著者は俳人・作家の本間俊太郎さん。本間さんが長年、同人誌で書き留めていたものを渾身の一冊にまとめました。
小説のテーマは林子平の生涯。林子平(1738年~1793年)は、鎖国中の江戸時代に海で囲まれた日本とその周辺の国の地理書を書き、外敵からの国防の重要性を指摘していた先覚者です。しかし当時の幕府は世の中を混乱させるとして子平の訴えを退けるだけでなく、子平の書いた書を発禁本にし、罰しました。
その約60年後、1853年にペリーが開国を求めて来航した後に、「砲台を数多く製造し、これらを陸地に設置する」という子平の発想が実現しました。さらに、外国船に打ち勝つ方策を学んだ蝦夷(北海道)の武士たちはロシアからの脅威に「黒船恐れるに足らず」との自信を持ち、それが維新への原動力になっていったといいます。
上記内容は本書刊行時のものです。