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霧箱で見える放射線と原子より小さな世界 山本 海行(著) - 仮説社
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霧箱で見える放射線と原子より小さな世界 (キリバコデミエルホウシャセントゲンシヨリチイサナセカイ)

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発行:仮説社
B5変形判
144ページ
並製
価格 2,800円+税
ISBN
978-4-7735-0332-6   COPY
ISBN 13
9784773503326   COPY
ISBN 10h
4-7735-0332-7   COPY
ISBN 10
4773503327   COPY
出版者記号
7735   COPY
Cコード
C0040  
0:一般 0:単行本 40:自然科学総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年3月25日
書店発売日
登録日
2023年2月17日
最終更新日
2023年5月10日
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紹介

 目に見えない「放射線」の飛跡を飛行機雲のように見せてくれる「霧箱」をご存じですか?実はペットボトルで作った小さなものでも博物館で見るものと遜色ない観察ができます。

 東日本大震災での原発事故で急に身近な存在になった「放射線」。そもそも放射線とは何なのか。「放射線の正体」そして「原子より小さい世界」発見の歴史を「霧箱」というふしぎな箱を使ったたのしい実験で学んでみませんか。

 科学史をたどりつつ、豊富な写真や丁寧な解説で初心者でも基礎的な知識が学べる本著は,理科の授業で初めて放射線を教える先生方へ,今までになかった放射線入門本です!
 そして,他にはない写真の豊富さと参考文献の充実度では科学教育関係者にとっての資料としても類をみません!

目次

霧箱で見える放射線と原子より小さな世界
もくじ

第0話 はじめに― 霧箱と放射線
霧箱への招待/自作の霧箱

第1章 霧箱で見えるもの

第1話 放射線を霧箱で見る
霧箱で見えるもの/白い筋の正体/放射線が飛んだ後にできる白い筋=飛跡/白い 筋と静電気/クイズ:飛跡の順番は?/コラム「霧箱の発明」

第2話 もう一つの放射線の飛跡
もう一度,石から出る放射線を見る/石をアルミホイルで包んだら/石から出ている2つの放射線=アルファ線とベータ線/放射線の正体をさぐる実験/霧箱全体に 磁力を加える/アルファ線とベータ線の違い/第三の放射線

第3話 放射線と原子
エックス線の発見と蛍光の研究/ウランガラスの蛍光を見る/ウランの光線は写真
に写るか― ベクレルの実験の追試実験/ベクレルの実験の結果/〈ウランを含んで いる〉とはどういうことか/放射線を出す原子の発見

第4話 放射線が原子から出るのはなぜか
ラザフォードとソディの実験/3週間後の結果を確認する/すごい仮説1原子は壊 れ,変身する/すごい仮説2変身の速さは原子によって違う/次に起こる変身を霧 箱で見る/ラザフォードとソディの仮説と証明/放射線を出す原子は自然に壊れて いく

第5話 霧箱で見る原子の変身
ラジウムの変身を霧箱で見る/予想外の現象に出会う/トリウムが変身した気体を 集める実験/変身速度の違い― V字の飛跡/半減期という言葉

霧箱をつくってみよう

第2章 放射線はどこからどうやってくるのか

第6話 空っぽの霧箱を見てみれば
空っぽの霧箱を観察する/空っぽの霧箱をしばらく見ていると....../世界一大きな 霧箱を見る/放射線の飛跡を数えてみる実験/ペットボトル霧箱と比べてみる/霧 箱で放射線の活発さを比べる実験/「放射能」という言葉/放射能・放射線に関す る言葉の整理/放射能(放射活性)の大きさを表す単位=ベクレル/放射能(放射 活性)を測る実験

第7話 放射線はどこから来るのか
放射線は地球の中から出ているのか?/岩石がたくさん使われている場所で測って みる/海の上の放射線はどうなるか/温泉の放射線の発見/ラジウム温泉で霧箱を 見る/静電気で身の回りの放射性原子を集める/原発事故で身の回りの放射線が 100倍になったところで霧箱を見る/いろいろな放射性原子/どうやって原子を区 別するか/カリウム原子の同位体が出す放射線を霧箱で見る

第8話 宇宙の中の地球と放射線
東京タワーで放射線を測る/飛行機の中で放射線を測る/山の上で霧箱を見る/実験:宇宙線に磁力をかけてみる/実験:鉛板を貫く宇宙線を見る/宇宙線が作った 放射線のシャワーを見る

第3章 霧箱で原子より小さい世界を見る

第9話 原子の中はどうなっているか
金箔にアルファ線をぶつける/はね返されるアルファ線/原子の中を想像する/ラ ザフォードの出した答/アルファ線の空中衝突をさがす

第 10 話 原子核の中へ
原子核を回る電子を見る/ベータ線との違い/吹っ飛ばされる電子/ 10兆倍の原子 核模型/水素原子の原子核にアルファ線をぶつける/窒素原子にアルファ線をぶつ ける/原子の種類が変わる/プロトン(陽子)の発見― 原子核は陽子が集まった粒 かもしれない/チャドウィックの予想/見えない粒をさがす実験/原子核を形作る 2種類の粒/アルファ線とヘリウムの原子核/霧箱にヘリウムガスを入れてアルフ ァ線をヘリウムの原子核と衝突させる実験/原子核の粒と同位体

第 11 話 さらに原子より小さな粒へ
実験:陽電子を見る/原子核から電子が出てくる理由は難しい/さらに見えない粒を探す/反粒子(反物質)の発見/宇宙で物質が作りだされる瞬間を見る/究極の 粒を探して

巻末
付録1 霧箱が展示されている全国の施設
付録2 放射線年表 付:科学者の生没年グラフ
付録3 文献と補足説明─ もっと研究したい人のために
霧箱に関係したもの/霧箱の発明者チャールズ・ウィルソンに関係したもの/放射 線の研究史に関係したもの/アルファ線を曲げる磁場について/自然放射線につい て/放射能という言葉/福島の原発事故/原子の写真/年表を作るのに使ったもの /ウランガラスについて/霧箱ということばの歴史/陽子ということばの歴史/授 業プランに関するもの/放射線を出す石について/飛跡の交差について

あとがき 謝辞

前書きなど

第0話 はじめに
霧箱と放射線

霧箱への招待
ここは名古屋科学館。黒い円形テーブルのまん中にあるのは,ガラス製の窓がついた箱のような装置です。
窓の中をのぞくと右の写真のように白い筋がたくさん見えました。科学館の説明文を読むと,この装置は「霧箱」というもので,白い筋は「放 射線」だとありました。しばらく見ていると大小さまざまな白い筋が絶え間なく見えて は消え,消えてはまた現れていました。

放射線は肉眼では見えません。そのとき高校で物理を教えていた私は,この霧箱を見るたびに「目に見えない放射線をこんなふうに目で見えるようにしてくれる霧箱が教室にもあったらなあ。これなら放射線のことをもっとわかりやすく,たのしく教えられるんじゃないかな」と思っていました。しかし,何百万円もするこんな大がかりな装置を,学校では買ってくれないよな,とも思っていました。

ところがある日,私は名古屋大学の素粒子研究室のホームページで,名古屋大学客員研究員の林煕崇さんが考案された霧箱のことを知りました。 その霧箱の説明には「放射線がバンバン見える」とあり,さらに「ペットボトルで簡 単に作れる」というのです。 私は,教材用の霧箱はいくつか使ったことがありますが,どれも「放射線がバンバン 見える」ということはありませんでした。林さんの霧箱についても半信半疑でしたが, ためしにその説明の通りに作ってみました。

右下の写真が私の作った霧箱です。できるだけ大きくしようと4L のペットボトル(焼 酎などが入っている大きなペットボトル)で作ったので,直径は 13cm あります。(霧箱の 作り方は 50 ページの「霧箱をつくってみよう」にあります) この霧箱にエタノールとドラ イアイスをセットして,上か ら LED ライトで照らしました。 しばらく見ているとたくさんの 白い筋が現れ,それはまるで科 学館の霧箱を見ているようで, 私はとても感動しました。

この霧箱なら材料を全部揃えても 1000 円ぐらいです。それで科学館の霧箱と同じよ うに白い筋が見えるのですから,素晴らしい発明です。しかも,ただ観察するだけでな く,この霧箱には中にいろいろなものを入れて実験できるのではないかと私は思いつき ました。そう思うと,どんどん実験のアイディアが浮かんできました。 そこで私はこの霧箱に夢中になって実験をはじめてしまいました。 実験が一区切りしたとき,私がやった実験について調べてみると,ほとんど誰もやっ たことがなく,どこにも紹介されていないことが分かりました。そこで私は自分のやっ た実験を写真に撮り,知人に見てもらいました。すると知人も感動して,私の実験を一 緒に楽しんでくれるようになりました。 この本はこうしてできた,写真を見ながら〈目に見えない放射線の世界〉を楽しむ本 です。
私と一緒に未知の放射線の世界を見ていきましょう。

著者プロフィール

山本 海行  (ヤマモト ミユキ)  (

1960年  静岡県袋井市生まれ。
1981年4月,静岡大学教育学部中学理科課程に入学。
1985年4月,静岡県立高校の理科教師に就任。
2000年3月,気象予報士の資格を取得。
2021年3月,県立高校を定年退職。

著書:小林眞理子と共著『きみは宇宙線を見たか』仮説社

上記内容は本書刊行時のものです。