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実験で楽しむ宮沢賢治 銀河鉄道の夜
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2021年7月9日
- 書店発売日
- 2021年7月9日
- 登録日
- 2021年7月30日
- 最終更新日
- 2021年8月25日
紹介
改訂版です。実験動画のQRコードを付けました。
宮沢賢治は,たくさんの詩や童話を書いていますが,その中には科学の言葉がたくさん出てきます。たとえば,「銀河鉄道の夜」という童話には,
「川の向こう岸が俄かに赤くなりました。……ルビーよりも赤くすきとおりリチウムよりもうつくしく酔ったようになってその火は燃えているのでした。」
という表現が見られます。
この,「リチウムよりもうつくしく」という,リチウムの赤い炎とは一体どんなものなのでしょうか?
それは,塩化リチウムの粉末とカセットガスコンロがあれば,実際に見ることができます。
そんなふうに,「銀河鉄道の夜」の中に出てくる言葉で,実験や実物が見られるものを再現してみたのが本書です。
宮沢賢治がどんなことを思い描きながらこのお話を書いたのか,その幻想的な世界がよりリアルに浮かんできます。
目次
第1章 実験で楽しむ「銀河鉄道の夜」
1.地球・太陽・月・銀河系
2.午后の授業
3.カムパネルラのつぶやき
4.白鳥の停車場とプリオシン海岸
5.光とエネルギーの輪廻
6.原子の輪廻と命の輪廻
7.強く願うことの大切さ
8.鳥捕りとインディアン,それぞれの幸い
9.アルビレオを観て想いをめぐらせる
10.学び続ける賢治
11.ジョバンニの切符
12.楽しいことを一緒に体験する
13.真っ赤な火に込められたサソリの想い
14.カムパネルラの父と三角標
第2章 「銀河鉄道の夜」の実験
1.銀河(ミルキーウェイ)の実験1
2.銀河(ミルキーウェイ)の実験2
3.燐光&蛍光の実験(鳴き砂,摩擦発光,熱伝導)
5.炎色反応
第3章 「銀河鉄道の夜」と音楽
おわりに 「真理の泉に柄杓を入れる仲間として」
「銀河鉄道の夜」本文(青空文庫・第4次稿)
前書きなど
はじめに
「宮沢賢治のお話に科学の言葉がたくさん出てくるんだけど、それを実験で見せる先生役をできるをできる ?」 ――中学校の頃からの同級生からそんな依頼がきました。
( 宮沢賢治? 「アメニモマケズ」 だったかな? 馴染みがないけど有名な作品が多いから読めばわかるかな )と タカをくって (?)「大丈夫。やれるよ」と引き受けたのが、私と賢治との出会いになりました。ところが、代表作「銀河鉄道の夜」を読んでもよく 分からず、面白くもなかったのです。それが、作品に出てくる科学的な表現を実験 で試していくうちに、潜んでいるものがどんどんイ メージできるようになり、すっかり賢治の世界に引き込まれてしまいました。
そう やって始めた 「実験で楽しむ・銀河鉄道の夜」講座は、 多く の方々に共感して頂くことが出来、新しい実験を加えながら回を重ねることになりました。講座にはシナリオを作成して臨んでいたのですが、 「静岡自然を学ぶ会」での講座の際に、会代表の池上理恵さんが素晴らしい記録にまとめ直して下さいました。 更に「東京教研音楽部会」での講座の際に 「「銀河鉄道の夜」に出てくる歌を歌いた」というご希望を頂き、この準備を通じて「賢治と音楽」という新しい世界が見えてきました。そこで「静岡自然を学ぶ会」での講座の記録 (文献1)を基にして本にまとめてみることにしました。
この本には「銀河鉄道の夜」 に登場する科学的表現をイメージする実験、音楽をめぐる話の他に 「銀河鉄道の夜・第4次稿」 (文献 2)の全文と第1~3次稿(文献 3)からの引用を加えました。また金沢在住の画HISAさん 、「静岡自然を学ぶ会」の勝山陽子さんが素敵な挿絵を描いて下さい 下ました。
「銀河鉄道の夜」には科学や宗教を基にした賢治の空想が溢れています。紹介した実験と表現との関連についても私の推測が多く含まれていますが、賢治が大好きだった実験を楽しんで頂きながら、賢治が求める本当の幸いについて、ご一緒に考えて頂ければ幸いです。
関連リンク
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784773503074
上記内容は本書刊行時のものです。