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出版者情報
児童精神科入院治療の実際
子どもの心を守り・癒し・育むために
- 初版年月日
- 2022年9月6日
- 書店発売日
- 2022年9月6日
- 登録日
- 2022年8月10日
- 最終更新日
- 2022年8月23日
紹介
現在の児童精神科医療の現場では,これまで“発達障害”と呼ばれてきた神経発達症群の特性を持つ子ども,養育環境での児童虐待をはじめとする逆境体験に傷つき複雑性PTSDに苦しむ子ども,小中学生の年代で神経性やせ症となり生命の危険に直面している子どもが増えている。家族や施設職員は対応に行き詰まり,しばしば児童精神科入院治療に希望を託すしかない状況となり,それらに対応する児童精神科診療,およびその一環としての入院治療への期待が高まっている。
このように入院治療への需要が膨らむ状況に応じ,児童精神科専用病床数は増えてきてはいるものの,それに応えるだけの数には至っておらず,常に入院待機者が存在している現実がある。
そこには児童精神科病棟とはどのような環境で,その中で子どもはどのような入院生活を送り,治療がどのように行われ,また教育はどう保障されているのかなど,児童精神科入院治療の実際が外部から見えにくいことが理由としてあるだろう。
本書は,こうした児童精神科における入院治療の現状と課題を,症例も含め複数の観点から論じることを通し,今後の児童精神科入院治療の進むべき道を探り浮かび上がらせる。
目次
緒言●齊藤万比古
第Ⅰ部 児童精神科臨床における入院治療の意義と課題
第1章 児童精神科入院治療の特異性およびその意義と課題 齊藤万比古
第2章 児童精神科入院治療の実際――治療概要とその目標―― 岩垂喜貴
第Ⅱ部 入院治療の諸側面
第1章 児童精神科入院治療の精神療法性――集団精神療法を中心に―― 渡部京太
第2章 児童精神科入院治療における家族支援の意義と方法 牛島洋景
第3章 逆境体験下で生育してきた児童の児童精神科入院治療 笠原麻里
第4章 ChallengingBehaviorを伴う神経発達症(知的発達障害を含む)の入院治療 會田千重
第5章 二次障害を持つ軽症神経発達症の入院治療 岩垂喜貴
第6章 長期化した不登校を主訴とする子どもの入院治療 大石 聡
第7章 公認心理師として関わる児童精神科入院治療 佐藤徹也
第8章 ソーシャルワーカーとして関わる児童精神科入院治療 谷口斐香・竹井 淳
第9章 看護師として関わる児童精神科入院治療 恩田陽子・木村智一・岩垂喜貴
第10章 全国児童青年精神科医療施設協議会の意義と現状について 新井 卓
第11章 児童精神科入院治療と精神保健福祉法について 宇佐美政英
第Ⅲ部 児童精神科入院治療を取り巻く環境
第1章 児童精神科外来専門施設からみた入院治療の意義と課題 小平雅基
第2章 小児科と児童精神科の連携――神経性やせ症の入院治療を例にして 柳橋達彦・倉田和美
第3章 児童相談所と児童精神科入院治療――一時保護委託を中心に―― 小平かやの
第4章 児童福祉施設(児童養護施設,児童心理治療施設など)と児童精神科入院治療 早川 洋
第Ⅳ部 入院治療をめぐるケース検討
症例1 思春期の4年間を病棟で過ごした摂食障害女児の治療経過――こころが自由になること―― 黒江美穂子
症例2 孤独を恐れ,必死にしがみついては暴れるしかなかった男児Aとの治療経過 早川宜佑
症例3 児童精神科入院治療とアートサイコセラピーで育ちを支えた被虐待児例 中土井芳弘・森 香保里
症例4 数年にわたり主治医と言葉を交わさなかった,自己破壊的な行動を繰り返す女子の治療経過 大重耕三
症例5 入院治療における描画を用いた象徴的交流の一例――大切な存在としての“うんこ”の旅―― 佐藤真菜
症例6 致死的な異食,拒食,衝動行為が持続し,2病院が連携して治療を継続した症例 庄 紀子・森脇久視
症例7 虐待を受けた子の成長を見守って 青木優子
あとがき●岩垂喜貴
上記内容は本書刊行時のものです。