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出版者情報
ビオン・イン・ブエノスアイレス 1968
- 初版年月日
- 2021年3月3日
- 書店発売日
- 2021年3月3日
- 登録日
- 2021年2月13日
- 最終更新日
- 2021年2月16日
紹介
1968年という年はW.R.ビオンにとって人生の一つの節目といえる。本書は、ビオンが英国から米国へ移住したその夏に行ったブエノスアイレスでのセミナーシリーズの記録である。
本書の構成は、講義形式のセミナー、ケースプレゼンテーション、スーパーヴィジョンの3部となっている。
貴重なビオン自身によるケースプレゼンテーションが収録されている点は、本書の最大の特徴であり、ビオンのなまの臨床を読者は目の当たりにするであろう。また詳細なスーパーヴィジョンの記録によっても、ビオンの臨床姿勢を存分に味わうことができる。
講義形式の語りの中では逆転移、投影同一化など分析家に広く馴染みのある概念から、コンテイナー/コンテインド理論、グリッド、「記憶なく欲望なく」などのビオン独自の概念までがわかりやすく解説されている。
難解と言われるビオンの多くの著作に比して、本書の中の彼は、聞き手を前にして自身の言葉がわかりやすく届くよう心を配っているように感じられる。セミナー参加者とビオンとの豊富な質疑応答も、読者がビオンの概念をより深く理解するために役立つだろう。
目次
監訳者まえがき(松木邦裕)
謝辞
編者紹介
序文(R. D. ヒンシェルウッド)
まえがき(ジョセフ・アグアヨ,リア・ピスティナー デ コルティナス)
第Ⅰ部 ビオンの臨床セミナー
第1セミナー
症例ヴィネット―逆転移―臨床技法における一因子としての分析家の主観―記憶と欲望の放棄―参加者の質問
第2セミナー
内的対象と外的対象の性質―メラニー・クラインの精神分析的モデル―投影同一化―コンテイナー/コンテインド理論―神秘家と体制―科学とキリスト教―参加者の質問
第3セミナー
考えることの進展と退歩を評価する機器としてのグリッド―グリッドはいかに活用されるか―潜在内容を発見する道具としてのグリッドの活用―分析家独自のグリッド―グリッドに対する疑念と懐疑―参加者の質問
第4セミナー
文化的コンテイナーの中での正常発達,洗練された衝迫と原始的な衝迫に関する問い―問題についての患者の自己定義対分析家の定義―精神分析の存亡―参加者の質問
第Ⅱ部 ビオン自身による分析症例の提示
第5セミナー
妄想性ヒステリーを伴うボーダーライン患者―陰性治療反応―変形に関する質問―解釈の役割―羨望の犠牲者
第Ⅲ部 ビオンによるホラシオ・エチゴーエンへの
スーパーヴィジョン
第6セミナー
B氏の精神分析的治療の初期
患者の背景史―分析の初期―最初の夢―患者の内的肛門宇宙―患者の現在の心理状態に対するビオンのアセスメント―参加者の質問
第7セミナー
翌年のB氏の精神分析的治療
過剰な投影同一化の問題―更なる夢分析―患者による自身の心のモデルと分析家による患者の心のモデルの違い―分析の支払いに関するB氏の困難さ―参加者の質問
第Ⅳ部 その他のアルゼンチン分析家に対する
ビオンの更なるスーパーヴィジョン
第8セミナー
背景となる病歴の提示のまったくない,成人アナリザンドについての「局面ごとの」プレゼンテーション―参加者の質問
第9セミナー
症例のプレゼンテーションの続き―参加者の質問
第10セミナー
ビオンによる分析スーパーヴィジョン:ホルヘ,思春期のアナリザンド―参加者の質問
第11セミナー
思春期症例のプレゼンテーションの続き―参加者の質問
第Ⅴ部 スーパーヴィジョンにおける問いをめぐる,
ビオンと参加者との対話
第12セミナー
ビオン博士のスーパーヴィジョンでのコメント―観察,定式化,そして解釈のための分析家の能力について―参加者の質問
第13セミナー
ビオン博士のスーパーヴィジョンでのコメント―患者の反復強迫に関する質問について―共生的関係―分析の契約―参加者の質問
解題(清野百合)
あとがき(清野百合)
索引
上記内容は本書刊行時のものです。