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出版者情報
新訂増補 パーソナリティ障害の精神分析的アプローチ
病理の理解と分析的対応の実際
- 書店発売日
- 2019年6月12日
- 登録日
- 2019年5月23日
- 最終更新日
- 2019年5月24日
紹介
パーソナリティ障害は,自傷,多量服薬,性的奔逸,過食,ひきこもりといった病的行為が前面に現れ,“悩む”から“行為をする”病態へと変遷している。そして苦痛な感情や困難な葛藤を抱え対処するのが当事者のみならず関係者や治療者でもある点に,パーソナリティ障害の難しさがある。したがって,症状や病的行為という目先の問題の緩和をもって良しとするのは早計であり,その意味でこそ,“エビデンスベースト”の名のもとにある安易な治療実践にはない,病者のこころに真摯に働きかける精神分析的心理療法が求められる。
本書は,パーソナリティ障害への精神分析的心理療法という,病者のこころの本質を知り,その本質に働きかけていく治療手技の実際を提示することを試みる。さらに,そのために求められる理論や鑑別,治療手技が活きるための協働態勢や環境の準備についても提示している。
今日の心理臨床や援助活動の場面で,人々がもっともこころを砕いているこころの病がパーソナリティ障害ではないだろうか。好評で版を重ねた初版に新たに3編の論考を加え,全編にわたって再検討がなされた。「パーソナリティ障害」という病名で表現される臨床病態の困難さに真摯に向き合う臨床家にとって,本書が一助となることを願う。
目次
新訂増補版のための「紹介」―パーソナリティ障害
第1部 視点
第1章 パーソナリティ障害の今日的分類と力動精神医学
第2章 パーソナリティ障害のメタサイコロジィ
第3章 総説:パーソナリティの病理構造とパーソナリティ障害
第2部 分析的心理療法の実際
第4章 ねじれた愛情希求―万能的な充足願望と満たされなさへの不耐性
第5章 ひきこもり男性における薄皮のナルシシズム
第6章 治療の行き詰まりと,愚直に逆転移の吟味を反芻すること―パーソナリティ障害の事例との経験から
第7章 不在の乳房からの退避―乳房の不在という考えの芽生え
第8章 中年期におけるパーソナリティ障害―覆い隠されてきた罪責感の痛みと心的変化への抵抗
第9章 無知であることをめぐって―倒錯と実演
第10章 関係性の培地―病的依存から「孤立」を育む「依存」へ
第3部 コンテイニング
第11章 パーソナリティ障害における逆転移―“共狂い”から理解を産み出すこと
第12章 パーソナリティ障害の看護の実際―患者と向き合う看護
第13章 パーソナリティ障害と集団―その病理と協働の医療
第14章 マネージメントで行うことと注意すること―病理行動がきわだつパーソナリティ障害の場合
新訂増補版あとがき
索引
上記内容は本書刊行時のものです。