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台湾で日本人を祀る
鬼(クイ)から神(シン)への現代人類学
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年3月25日
- 書店発売日
- 2022年3月18日
- 登録日
- 2022年2月4日
- 最終更新日
- 2022年3月17日
紹介
記憶の媒体としての「日本神」を探る
台湾には、かつての支配者を信仰対象とする廟や祠が多数存在する。本書では、これを「日本神」と名付け、民間信仰に埋め込まれた植民地経験・戦争経験と民衆の歴史認識や、新しいメディアを通した観光化の中で生成する「日本神」像を探る。
▼「台湾で日本人を神として祀る」という行為はなぜ成立しているのか。
▼台湾に現存するうちの49か所の祭祀施設(廟)の調査結果をもとに、その問いに迫る。
▼台湾の日本人祭祀を日本統治の肯定と結びつける風潮に対しても、歴史人類学の立場から論考を行う。
台湾では日本人を祀る祭祀施設(廟)が相当数ある。
日本統治時代の記憶と台湾の民間信仰の関係から、民衆の歴史認識がどのようにかたちづくられていくのかを探る。
目次
まえがき
序章 台湾の民間信仰と日本神(三尾裕子)
はじめに
第一節 日本神とは何か
第二節 台湾漢人の民間信仰
第三節 民間信仰に埋め込まれた日本神
第四節 日本神の霊験の顕現
第五節 陰神から正神へ?
おわりに
第1部 メディアと観光の中の日本神
第一章 英霊と好兄弟のあいだ――メディア言説、現地の実践、新たな
コミュニケーション(藤野陽平)
はじめに
第一節 日本のメディア言説上の日本神
第二節 現地の宗教実践上の日本神
第三節 英霊と好兄弟の間の新たなフィールド
おわりに
第二章 台湾の日本神をめぐる信仰と観光――高雄の保安堂における歴
史の選択と新たな展開(原 英子)
はじめに
第一節 台湾高雄保安堂が日本神を祭祀するまで
第二節 新堂建立と日本神祭祀の廟としての新たなる出発
第三節 インターネットの活用による史実との照合
第四節 日本神祭祀の新たなる展開
おわりに
第2部 民衆の記憶と日本神
第三章 田中綱常から田中将軍への人神変質――民族・国家の境界を超
える民衆史学(林 美容・三尾裕子・劉 智豪(五十嵐真子・三尾裕子
訳))
はじめに
第一節 田中綱常の生涯と台湾との関係
第二節 〈抓乩〉〈成神〉および廟建立の経緯
第三節 田中大元師の祭祀と行事
第四節 討論と結論:民族・国家の境界を超える民衆史学
おわりに
第四章 植民地経験、戦争経験を「飼いならす」――植民地・戦争経験
の記憶の媒体としての日本人の霊魂(三尾裕子)
はじめに
第一節 集合的記憶、社会的記憶
第二節 霊聖堂の建立と伝承
第三節 民間信仰への埋め込み
第四節 「日本」を飼いならす
おわりに
第3部 台湾の在来宗教信仰と日本神
第五章 廟神の出自により儀礼に差異は見られるか
――台湾の日本神を祀る廟と中華神を祀る廟における儀礼・祭祀の比較
(山田明広)
はじめに
第一節 日本神を祀る廟における道教儀礼
第二節 日本神を祀る廟におけるその他の儀礼・祭祀
第三節 考察
おわりに
第六章 台南市内における日本人の神々――主に航空事故に起因する事
例から(陳 梅鄕)
はじめに
第一節 日本人神の諸廟
第二節 考察
おわりに
第七章 漂流物が神となる――日本神の外来性解析(林 美容(五十嵐
真子・三尾裕子訳))
はじめに
第一節 民間信仰における漂流物が神になることについての概観
第二節 日本神の漂流事例と分類
第三節 水漂成神の外来性の分析
おわりに
補章 日本神信仰と出会う――民族誌映画撮影の経験と視点(遠藤
協)
はじめに
第一節 日本神信仰と出会う
第二節 神の肖像写真と縁起
第三節 成長する青年の神
おわりに
あとがき
「日本神」の分布
「日本神」一覧
索引
執筆者・訳者紹介
上記内容は本書刊行時のものです。