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悲しい曲の何が悲しいのか 源河 亨(著) - 慶應義塾大学出版会
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【利用不可】

悲しい曲の何が悲しいのか (カナシイキョクノナニガカナシイノカ) 音楽美学と心の哲学 (オンガクビガクトココロノテツガク)

哲学・宗教
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四六判
228ページ
上製
価格 2,500円+税
ISBN
978-4-7664-2634-2   COPY
ISBN 13
9784766426342   COPY
ISBN 10h
4-7664-2634-7   COPY
ISBN 10
4766426347   COPY
出版者記号
7664   COPY
Cコード
C3010  
3:専門 0:単行本 10:哲学
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年10月22日
書店発売日
登録日
2019年9月11日
最終更新日
2019年10月11日
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紹介

悲しい曲で人は悲しくはならない――
心の哲学を利用した美学の観点から、「音」とは何か、「聴取」とは何なのかを考察する。

 美しい音楽を聴いたとき人は感動を覚える。このような美的経験は日常にあふれているが、美しい/美しくないという判断にはどのような基準があるのだろうか。そしてどれほどの客観性があるのだろうか。
 
 本書では、美に関する経験や判断の問題を扱う美学に、心の哲学を利用してアプローチする。とりわけ「音楽聴取」に焦点をあわせ、美的判断の客観主義を擁護する立場をとりつつ、音とは何か、なぜ人は悲しい音楽を聴くのか、音楽と情動はどのように結びついているのか、などさまざまなトピックについて論じていく。

目次

 はじめに

第1章 音楽美学と心の哲学
 1 聴取経験の分析
  問題となる聴取経験/情動とのアナロジー/概念分析と心の分析
 2 音楽美学の自然化
  哲学的自然主義/反自然主義に関して

第2章 「美しい音楽」は人それぞれ?
 1 基本概念の整理
  判断と経験/美的判断と美的経験/美的性質と非美的性質
 2 実存性と客観性を分ける
  客観主義と主観主義/色をめぐる議論

第3章 「美しい音楽」の客観性
 1 正しい美的経験の条件
  ゼマッハ/ウォルトン
 2 なぜ評価が重要なのか
  ゴールドマン/レヴィンソン/ベンダー/評価と行為

第4章 心が動く鑑賞
 1 情動とは何か
  身体反応の感じ/感情価/評価
 2 情動なしに「鑑賞」できない
  感受性の学習

第5章 心が動けば聴こえが変わる
 1 知覚と情動は独立か?
  認知的侵入可能性/知覚と情動の複合体
 2 考えることと感じること
  情動以外の評価的状態/美的判断の個別主義

第6章 音を見る、音に触れる
 1 音はどこにあるのか
  出来事としての音/誰もいない森で木が倒れたら音はするのか
 2 現象学と知覚システム
  音が定位する場所/環境を聴く/知覚のマルチモダリティ

第7章 環境音から音楽知覚へ
 1 音楽とは何か
  芸術としての音楽/合目的性の鑑賞
 2 音楽を見る、音楽に触れる
  音楽パフォーマンス/マルチモーダルな音楽鑑賞

第8章 聴こえる情動、感じる情動
 1 音楽の悲しみと聴き手の悲しみ
  表出的性質/問題点の整理/問題となる事例
  表出的性質に関する四つの理論
 2 表出説と喚起説
  作者の情動と表出的性質/聴き手の情動と表出的性質

第9章 なぜ悲しい曲を聴くのか
 1 二つの問題と音楽情動
  負の情動のパラドックス/対象の欠如/キヴィーの音楽情動
 2 悲しむべきことがあるのか
  情動と気分の違い/自分の情動を間違える

第10章 悲しい曲の何が悲しいのか
 1 類似説とペルソナ説
  類似性と擬人化傾向/想像と物語的解釈
 2 二つは本当に対立しているのか
  表面上の対立点/擬人化と想像の違い/高次情動の表出性

結論 美学の自然化

あとがき
文献一覧

著者プロフィール

源河 亨  (ゲンカ トオル)  (

2016年、慶應義塾大学大学院にて博士(哲学)を取得。現在は、慶應義塾大学文学部・日本大学芸術学部・立正大学文学部にて非常勤講師。専門は、心の哲学、美学。
著作に、『知覚と判断の境界線――「知覚の哲学」基本と応用』(慶應義塾大学出版会、2017年)。訳書に、セオドア・グレイシック『音楽の哲学入門』(慶應義塾大学出版会、2019年、共訳:木下頌子)、ジェシー・プリンツ『はらわたが煮えくりかえる――情動の身体知覚説』(勁草書房、2016年、単訳)、ウィリアム・フィッシュ『知覚の哲学入門』(勁草書房、2014年、監訳:山田圭一、共訳:國領佳樹・新川拓哉)、など。

上記内容は本書刊行時のものです。