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カント 未成熟な人間のための思想
想像力の哲学
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年9月30日
- 書店発売日
- 2019年9月20日
- 登録日
- 2019年8月5日
- 最終更新日
- 2019年9月19日
紹介
▼啓蒙されるべき未成熟な理性は、いかにして自らを啓蒙するのか?
▼カント哲学がはらむ〈啓蒙のジレンマ〉を〈想像力〉を読み解くことで解決しようとする意欲作。
本書の目的は、これまで看過されてきた想像力(Einbildungskraft)の理論をその全体像において示し、カントのテクストにそくして「啓蒙の循環」という問題に対する方策を提示することにある。中間的な存在者としての人間の、やはり中間的な能力としての想像力に照明をあてることによって、カントの批判哲学を本来のダイナミズムにおいて提示しようとする試みである。
『判断力批判』のきわめて難解な、しかし豊かな記述には、完全な理性的存在者の王国でもなければ、不完全な感性的存在者の結合でもない、その中間としての文化的共同体の可能性が潜在している。それは理性と感性だけでなく、想像力と感情をそなえた人間が歴史的に創造する人工物であり、啓蒙の拠点である。
目次
序論
第Ⅰ部 想像力と理論理性
第1章 綜合とは何か――「世界」の秩序をつくる
1・1 超越論的演繹の構造
1・2 覚知と再生の綜合
1・3 再認の綜合
第2章 想像力と自己意識――「わたし」の意識をつくる
2・1 批判哲学における「わたし」
2・2 綜合と自己意識
2・3 「行為するわたし」へ
第Ⅱ部 想像力と実践理性
第3章 自律の構想――実践哲学の目指すもの
3・1 実践哲学の全体像
3・2 『基礎づけ』の議論構造
3・3 理念としての自律
第4章 想像力と歴史哲学――理性の発展を跡づける
4・1 意思の自然素質
4・2 非社交的社交性
4・3 「実践的創造力」の可能性
第Ⅲ部 想像力と『判断力批判』
第5章 美感的判断の構造――「想像力の自由」とは何か
5・1 合目的性概念の問題圏
5・2 反省と調和
5・3 想像力の自由
第6章 想像力と感情――啓蒙の原動力を探る
6・1 共通感覚の理念
6・2 感情の伝達
6・3 人間の能力としての想像力
結論 想像力の哲学
謝辞
参考文献
注
人名索引
事項索引
上記内容は本書刊行時のものです。