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神戸 闇市からの復興 村上 しほり(著) - 慶應義塾大学出版会
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神戸 闇市からの復興 占領下にせめぎあう都市空間

A5判
388ページ
上製
定価 4,200円+税
ISBN
978-4-7664-2566-6
Cコード
C3036
専門 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年11月1日
書店発売日
登録日
2018年10月12日
最終更新日
2018年11月5日
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書評掲載情報

2019-01-13 読売新聞  朝刊
評者: 藤原辰史(京都大学准教授、農業史研究者)
2018-12-16 毎日新聞  朝刊
評者: 松原隆一郎(放送大学教授・社会経済学)
2018-11-25 毎日新聞  朝刊
評者: 松原隆一郎(放送大学教授・社会経済学)

紹介

――ただ人間は人間をもとめて集うのだ。

「日本一の大闇市場」とも称された神戸 三宮の闇市。
1945年夏以降、戦災復興とGHQによる占領政策が同時期に進むなか、
多様な人びとがひしめき、せめぎあって、神戸の都心は形成された。

語り継がれてこなかった当時の人びとの活動を、新聞記事の引用と聞き取り調査、
豊富な視覚資料にもとづき生き生きと描く、新たな都市空間の近現代史。
  
 第二次世界大戦が終わり、焼け跡となった神戸の駅前には、民族や年齢、性別の異なる多様な民衆が生きる手段を求めて集まり、やがて「大闇市」を形成していった。
 本書は、戦災復興の原点となった闇市の発生から衰退までの軌跡を辿り、そこから新たな商業空間が根付き、また展開していく過程を描き出す。
 戦災復興期はGHQ占領期(1945‐1952年)と重なる。瀬戸内海に面した陸海交通の要衝として栄えた神戸には、戦後も変わらず人・物の流れが集中した。 「何でも揃う」神戸の闇市を舞台に、民衆はGHQや地方自治体の政策と激しく衝突し、折衝を繰り返しながら、新たな組織を結成し、新興市場を築き、商店街を復興させていった。さらに、目を見張る速度で国際港都として復興に向かう姿と神戸で売られる物資の魅力は、戦後の観光復興の資源としても大いに注目を集めていく。
 新聞の悉皆調査をはじめ、日米の公文書、豊富で多彩な図像資料、インタビュー調査といった多角的な資料分析にもとづき、これまで忘却されていた占領下神戸のせめぎあいを民衆の視点から生き生きと再現する!

目次

序章 海港都市・神戸をめぐるせめぎあい
 一 闇市と占領――研究対象の定義
 二 占領下神戸の解し方――研究方法 
 三 本書の構成


 第一部 戦災と占領――近代都市の戦後

第一章 海港都市の近代化
 一 近代三宮における都市空間形成
 二 近代湊川新開地における都市空間形成
 三 一九三〇年代日本の観光事業機構
 四 観光資源としての娯楽・慰楽機関

第二章 戦災と復興の初動
 一 神戸市の空襲被害と都市復興の初動
 二 一九四五年秋の食糧難――不作と物価統制

第三章 GHQによる神戸の占領政策
 一 GHQによるメディア検閲体制
 二 『神戸新聞』報道にみるGHQの空間的表象
 三 「接収」をめぐる「進駐軍」と民衆
 四 「娯楽施設」をめぐる「進駐軍」と民衆
 五 「街路」をめぐる「進駐軍」と民衆


 第二部 GHQ占領下の闇市

第四章 闇市の生成と変容――三宮・元町・湊川新開地
 一 新聞記事にみる三宮における闇市の生成と変容
 二 三宮自由市場の変容
 三 湊川新開地における闇市の生成と変容
 四 興行街・娯楽地としての湊川新開地の再興
 五 湊川新開地の復興とテキヤ社会

第五章 記録・表象にみる闇市
 一 『神戸新聞』における闇市呼称の変遷
 二 図像・映像資料にみる焼け跡の神戸
 三 神戸の闇市における経験
 四 「闇」と警察の関係性


 第三部 闇市からの復興

第六章 在日朝鮮人のサバイバル――三宮国際マーケット
 一 在日朝鮮人の生活基盤の構築と展開
 二 三宮国際マーケットの形成経緯
 三 三宮自由市場の移転と朝鮮人自由商人連合会
 四 変わりゆく三宮国際マーケット
 五 三宮東地区における土地所有の推移

第七章 雑業者の台所――三宮ジャンジャン市場
 一 三宮ジャンジャン市場の営業形態と客層
 二 阪急三宮駅南側における土地所有の推移
 三 変わりゆく三宮ジャンジャン市場
 四 三宮ジャンジャン市場から市心駅前へ
 五 戦後都市雑業層の生活基盤の構築と展開

第八章 轟音直下のマーケット――鉄道高架下のふたつの商店街
 一 三宮高架商店街の定着過程
 二 飲食営業緊急措置令と露店飲食営業の転業
 三 元町高架通商店街の定着過程
 四 元町高架通商店街の盛衰
 五 阪神・淡路大震災の影響とそれから

第九章 引揚者の拠り所――湊川公園商店街
 一 湊川公園商店街の開業経緯
 二 一九五〇年神戸博開催と立退き問題
 三 神戸博開催後の再不法占拠と解消
 四 引揚者・復員者の生活基盤の構築

第十章 暮らしと観光の復興
 一 戦後日本の「観光」復興
 二 〈観光神戸〉の連続と断絶
 三 戦後都市に息づく商業集積

終章 戦後神戸の都市空間とせめぎあい――占領・復興・震災後
 一 戦後神戸というまちのあゆみ
 二 戦後神戸の都市空間と闇市
 三 多様な主体の織りなすせめぎあい――GHQ・地方自治体・住民の
 折衝と妥結


あとがき
図表一覧
参考文献

索  引

著者プロフィール

村上 しほり  (MURAKAMI Shihori)  (

都市史・建築史。神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究員。

1987年生まれ、神戸育ち。2014年、神戸大学大学院人間発達環境学研究科人間表現専攻博士後期課程修了。博士(学術)。

2012–2014年、日本学術振興会特別研究員(DC2)、2014年より現職、2014–2016年、阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター 震災資料専門員、2017年より(株)スペースビジョン研究所研究員。

著書に『盛り場はヤミ市から生まれた・増補版』(共著、青弓社、2016年)、『神戸スタディーズ #4 "KOBE" を解す』(デザインクリエイティブセンター神戸、2016年)、『神戸スタディーズ #6 "KOBE" を語る』(同前、2018年)ほか。2012年、本書の元となる修士論文「神戸市の戦災復興過程における都市環境の変容に関する研究」で日本建築学会優秀修士論文賞受賞。

上記内容は本書刊行時のものです。