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虚偽検出
嘘を見抜く心理学の最前線
原書: DETECTING DECEPTION: Current Challenges and Cognitive Approaches
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2017年4月
- 書店発売日
- 2017年4月13日
- 登録日
- 2017年2月22日
- 最終更新日
- 2017年4月7日
紹介
「虚偽と真実の発見」に焦点をあて,
犯罪・警察・法の心理学における研究の<現在>を一望する。
生理反応の測定,行動観察,会話分析,脳活動の計測など,虚偽検出の確立された手法を網羅的に解説。また,「記憶」「認知的負荷」「リアリティ・モニタリング」「プランニング」「エピソード的未来思考」「戦略化」といった概念との関連性を論じ,不安に基づく伝統的な手法を「認知的アプローチ」で補完することの重要性を指摘する。また,虚偽発見のための面接など,この研究領域の新たな潮流も紹介。
◆主なもくじ
●Section 1 虚偽検出:確立された手法
Chapter 1 言語的な虚偽検出のツール:供述妥当性分析,リアリティ・モニタリング,科学的内容分析
Chapter 2 非言語的虚偽検出の新知見
Chapter 3 ポリグラフ:現在の実務と新たなアプローチ
Chapter 4 有罪知識検出のための事象関連脳電位の法科学的応用
Chapter 5 神経イメージングを用いた虚偽検出
●Section 2 最近の挑戦
Chapter 6 虚偽に関する信念の本質と起源の探究:一般の人と専門家と考えられる人の潜在的,顕在的知識
Chapter 7 犯行意図の真偽の区別
Chapter 8 異文化間の虚偽検出
●Section 3 虚偽検出の改善:新たなアプローチ
Chapter 9 虚偽検出への認知的アプローチ
Chapter 10 証拠の戦略的利用技法:概念の概観
Chapter 11 脳刺激法を用いた虚偽の探索および虚偽検出
Chapter 12 反応時間による虚偽検出
Chapter 13 被疑者の言語的な取調べ対抗戦略:統合モデルを目指して
Chapter 14 虚偽の秘密裏の検出
◆訳者紹介
菅原郁夫* 早稲田大学大学院法務研究科[Chapter 1, 8, 10]
荒川 歩* 武蔵野美術大学教養文化・学芸員課程研究室 [Chapter 2, 12, 14]
常岡充子 科学警察研究所法科学第四部情報科学第一研究室[Chapter 3]
小川時洋 科学警察研究所法科学第四部情報科学第一研究室[Chapter 4, 5]
太幡直也 愛知学院大学総合政策学部[Chapter 6]
石崎千景* 九州国際大学法学部[Chapter 7, 9, 13]
河野直子 名古屋大学未来社会創造機構[Chapter 11]
(*は監訳者を示す)
目次
シリーズ序文
序論
謝辞
日本語版出版にあたって
●Section 1 虚偽検出:確立された手法
Chapter 1 言語的な虚偽検出のツール:供述妥当性分析,リアリティ・モニタリング,科学的内容分析
1.供述妥当性分析
2.基準に基づく内容分析
3.妥当性チェックリスト
4.リアリティ・モニタリング
5.科学的内容分析
6.供述妥当性分析,リアリティ・モニタリングおよび科学的内容分析の比較
Chapter 2 非言語的虚偽検出の新知見
1.理論史
2.虚偽の非言語的手がかりの実証的証拠
3.現在の研究
4.非言語行動に基づく虚偽判断の決定要因
5.虚偽検出の正確さ
6.結論
Chapter 3 ポリグラフ:現在の実務と新たなアプローチ
1.ポリグラフ
2.対照質問法
3.対照質問法の正確性
4.疑似科学
5.暴露:求職者と性犯罪者
6.対照質問法の今後
7.隠匿された情報
8.隠匿情報検査の理論
9.隠匿情報検査の正確性
10.隠匿情報検査の適用
11.新たなアプローチ:探索的隠匿情報検査と集団隠匿情報検査
12.隠匿情報検査の今後
13.結論の所見
Chapter 4 有罪知識検出のための事象関連脳電位の法科学的応用
1.P300 有罪知識検査とは
2.実務に適用可能なP300 有罪知識検査の発展への重要な視座
3.P300 有罪知識検査の最適化
4.P300 有罪知識検査の実用化に向けて
5.結論
Chapter 5 神経イメージングを用いた虚偽検出
1.理論的枠組み
2.神経イメージングアプローチ
3.虚偽検出のfMRI 研究
4.fMRI による虚偽検出の正確性
5.fMRI の虚偽検出結果は再現できるか?
6.fMRI虚偽検出と現場での妥当性
7.結論
●Section 2 最近の挑戦
Chapter 6 虚偽に関する信念の本質と起源の探究:一般の人と専門家と考えられる人の潜在的,顕在的知識
1.虚偽の主観的手がかりに関する研究方法
2.主な知見
3.正確な信念と不正確な信念が生じる原因
4.虚偽行動に関するステレオタイプの起源
5.虚偽に関する潜在的信念と顕在的信念
6. 結びと,虚偽行動に関する信念についての今後の研究の方向性
Chapter 7 犯行意図の真偽の区別
1.我々のいる場所
2.我々はどこに向かっているのか
3.注意書き:犯行意図のとらえにくい性質
4.結論
Chapter 8 異文化間の虚偽検出
1.異文化間の虚偽判断
2.虚偽判定の文化差媒介要素
3.判定間違いの文化的起源
4.虚偽の手がかりに関する文化差
5.要約
●Section 3 虚偽検出の改善:新たなアプローチ
Chapter 9 虚偽検出への認知的アプローチ
1.嘘をつくことと認知的負荷
2.結論と最終的な考え
Chapter 10 証拠の戦略的利用技法:概念の概観
1.証拠の戦略的利用モデル
2.証拠の戦略的利用技法の一般原則
3.証拠の戦略的利用法の諸原則間の関係
4.証拠の戦略的利用戦術の採用
5.証拠の戦略的利用技法の全体としての目的
6.証拠のテーマ:今後に向けての挑戦
7.限界
8.結論
Chapter 11 脳刺激法を用いた虚偽の探索および虚偽検出
1.経頭蓋磁気刺激(TMS)の背景
2.TMS によって得られた知見
3.経頭蓋直流刺激(tDCS)の背景
4.tDCS によって得られた知見
5.展望
6.倫理的配慮について
7.全体をとおしての考察とまとめ
Chapter 12 反応時間による虚偽検出
1.はじめに
2.使用可能条件と新しい方向
3.要約
Chapter 13 被疑者の言語的な取調べ対抗戦略:統合モデルを目指して
1.序論と背景
2.理論的背景
3.被疑者による取調べ対抗戦略:基礎的な知見
4.因果モデルに向かって
5.今後の方向性
6.結論
Chapter 14 虚偽の秘密裏の検出
1.虚偽検出のための基本的な理論的アプローチ
2.顔の微表情の秘密裏の検出
3.心理生理学的虚偽検出
4.音声ストレス分析
5.眼球運動の追跡技術
6.赤外線画像
7.隠匿された情報の生理学的検出のために秘密裏に行われる呼吸測定
8.集団隠匿情報検査における秘密裏の呼吸の測定指標:将来への見込み
9.秘密裏の呼吸測定を用いた対照質問法に対する測定妨害行為
10.倫理的配慮
11.終わりに
引用参考文献
索引
監訳者あとがき
原著者紹介
訳者紹介
前書きなど
◆ 本書の内容(「序論」より一部引用)
「虚偽検出」の領域は,法心理学研究のうちでも,最も発展的な領域の一つである。法と心理学に関するすべての主要な科学雑誌は虚偽検出に関する論文を継続的に掲載しており,今日,虚偽に関する論文が毎年約150本公刊されている。さらに,「法と心理学」に関するほとんどの会議では,いかに虚偽を発見するかに関する特別セミナーが開催されている。そのため,折に触れて,この領域の研究状況を調べることは意味のあることなのである。
今回の最新版は,これまでのものとはいくつかの点で異なる。第1に,虚偽検出の確立された手法のほとんどを紹介することに加え,本書は,多くの新たな試みにも配慮をしている(たとえば,真実と過ちをどのように区別し,虚偽をいかに密かに見つけるか)。第2に,本書は虚偽検出に対する認知的手法を強調する。この点は,(基本的に,真実を話す人よりも嘘をつく人のほうが恐怖や不安が強いとの前提をとる)より伝統的な不安を基礎にする手法とは対照的である。たとえば,本書は,虚偽検出には,「記憶」「認知的負荷」「リアリティ・モニタリング」「プランニング」「エピソード的未来思考」「戦略化」さらには「視点取得」といった概念が高い関連性を有することを明らかにする。第3に,本書の各章の多くは,虚偽検出のための面接など,虚偽研究の新しい潮流を反映している。この新しい方向性のもとでは,面接者はきわめて重要な役割を演じ,戦略的に面接を実施することによって,虚偽検出の手がかりを引き出し,強調するという目的を果たす(Vrij & Granhag, 2012)。この一連の新たな研究は,(あったとしても)わずかな虚偽や真実の手がかりしかない短いビデオクリップを観察者が評価するという伝統的な虚偽検出の方法とは対照的である。
本書には14 章があるが,3つの大きなセクションに編成されている。Section 1 は,「確立された手法」で,5つの章を含み,今日までの虚偽検出の最も基本的な手法の包括的なレビューをなす。Section 2 は,「最近の挑戦」で,3つの章を含み,この領域における最近および将来の挑戦への注目を引き出す。最後のSection 3 は,「虚偽検出の改善」で,6つの章を含む。このセクションでは,虚偽検出のための新たな建設的な手法が示され展開される。これらすべての点において,本書が実務家にとっては実践的であり,研究者にとっては研究意欲を高めるものであることを我々は確信している。
上記内容は本書刊行時のものです。